TSL シェイリーン・ボーン インタビューより「ユヅルのオペラ座」部分
祝・羽生くんご退院!
…というわけで久々の更新ですきゃvネコ

おなじみ、元アメリカ女子選手ジェニファー・カーク(ジェニー)さんと、フィギュアブロガー(&最近はシニアスケーターでもいらっしゃるらしい)のデイブ・リースさんによるThe Skating Lesson。通称TSL。
そのTSLから、プロスケーター、振付師、そして母親として大忙しのシェイリーン・ボーンのインタビュー動画がアップされました。今回はそのPart1ということで、ウィバポジェ、羽生くん、アシュリーの振付の話。この中から羽生くんのフリー『オペラ座の怪人』に関する部分(11:30〜16:50)のみ、ざっと聞き取り&訳にトライしてみました。
いつもは辛口で知られるTSLですけど、今回はシェイがお相手ということで、2人ともとってもお行儀がよく(デイブさんにいたっては一言も発していませんw)トークとしてはやや物足りないかも?ですが、振付談としてなかなか興味深い内容でした。

インタビュー動画はこちら→
Pt. 1 of TSL’s Interview with Shae-Lynn Bourne: Choreography
(もし聞き取り&訳に間違いがありましたらご指摘いただけるとありがたいです〜<(_ _)>)


写真はシェイリーンさんのオフィシャルHPより


ジェニー:(ウィーバー&ポジェの振付の話題に続いて)今現在この競技でもっとも有名なスケーターのひとり、羽生結弦とも振付の仕事をされていますね。彼のフリーに『オペラ座の怪人』を選ばれましたが、この曲は今シーズンとってもポピュラーですよね(笑)。歌詞つきの曲といってもたくさんあるのに、なぜオペラ座を選んだのですか?

シェイ:たくさんの選手がこの曲を使ったのを知って、私もけっこうショックだったわ(笑)。本当に、なぜこんなに使われているのかわからない。きっとみんなが大好きな曲なのね。
でも、この場合は少し話が違うのよ。ユヅの振付を頼む、という電話をブライアンからもらったとき、どの曲がいいか私に聞いてきたというより、この曲をユヅルがやりたがっている、という話だったの。私はそれに反対したくなかった。なぜならユヅルの意志が強固だったから。

選手たちっていうのは普通…たとえばアシュリーの場合なんだけど、彼女は当初、今季『カルメン』を滑りたいと言っていたの。私は「そのフィーリングはいいと思うけど、違う曲にしましょ」と提案した。彼女の場合、何か違うものにチャレンジしたほうが意味があると感じたから。
けれども、ユヅについては別だった。ブライアンによると、ユヅは昔からずーっとオペラ座を滑りたかったというのよ。たぶん本当にこの曲が大好きなのね。彼は去年もこの曲にしたがったけど(ブライアンたちが)反対してやめたらしいの。で、今はオリンピック王者になったんだから何でもできるってわけ(笑)。
この話を聞いて私が気に入ったのは、彼は自分が何をやりたいかについて、とても強い意志を持っているということ。このことが、なぜ彼がチャンピオンになれたかを物語っていると思うの。多くのスケーターはそこまで踏み込まない。適当なところで妥協するというか、これがしたいとはっきり言わないことが多いわ。だから、選手が自分の望みをはっきり表明した場合には、その選手の性格がそこに現れるものなのよ。

むしろ、私のユヅへの最大の関心事は、「なぜその曲を?」ということだったの。この曲で何を言いたいの? 今季はこの曲によって、今までまだ見せてこなかったどんな面を見せたいの?ということだった。すると彼は、「自分には重さ(weight)があることを見せたい」と言ってきたのよ。
彼はとても軽やかなスケーターとして知られているわよね。まるで羽のよう。無理な力をこめずにとても軽やかに滑っていく選手よ。だから私は、彼はこの曲で成熟、重さ、スピードといったものを示したいんだな、と思ったの。彼の軽やかさを奪うことはできないけど、これらを加えることはできるわ。なぜなら、彼はこれまでの人生でさまざまな大きな経験を経て、成熟してきたんですもの。
このことについての彼の意志はとても強かったし、彼は氷の上で私に心を開いてくれたわ。プログラムを作るときは、まず骨格だけ作って、あとでおいしいところを足していくものなんだけど、その2度目の振付のセッションのときから、彼はどんどんオープンになっていったの。プログラムの物語や感情に対してオープンになっていったわ。

ジェニー:彼は本当にまれにみる才能の持ち主だと思います。今シーズン、すべてのオペラ座の中で彼のが私の一番のお気に入りなんですよ。

シェイ:あら(大笑い)…まあ彼にはチャンスがあったのに、今シーズンの彼はとてもかわいそうよね。中国人選手とあんな衝突事故があって。選手は試合に出ることで演技を向上させていくものなのに、彼はとにかく何とか乗り切ることで精いっぱいだった。彼には元気になってほしいわ。全日本後に入院したと聞いて、今も状態はわからないけれど、今度こそプログラムの内容を磨くことができるといいな、と思ってるわ。

ジェニー:デイブと私が気になっていることなんですが、彼は足先が伸びていないような気がするんです。それは彼のスケート靴などのせいなのでしょうか? 手足を伸ばすことについて、あなたが指導されることはあるんですか?

シェイ:ええ、もちろん。ブラッシュアップの機会があればね。でも、もっと選手たちとすごす時間があれば、といつも思うわ。最近はいろんな行事で忙しい選手が多いから。特にユヅは、最初のGP(中国杯)のためにトロントを発って以来、日本の病院で多くの時間をすごさざるをえなかったから、一度もトロントに戻ってきていないの。ああ、また彼に手をつけるのが待ちきれないわ!

シーズンを通してコンスタントに、十分に選手に接することができてこそ、プログラムの細部にまで目を行き届かせることができるの。クリケットのようにコーチや振付師が常駐しているクラブにいることは、すごくメリットだと思うわ。あらゆる手足の動きを指導してくれる人が常にそこにいるんですもの。選手はもっと頻繁にそう環境にいるべきだと思うわ。

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エルモ なぜジェニーの質問が(笑)混じりだったり、ユヅのオペラ座が一番好きと言われたシェイが大笑いしているのかというと…TSLに限らず北米系のスケート関係サイトで、とにかく今季は「オペラ座の怪人が多すぎ!」「もう聞き飽きた!」「日本人はなんでこんなにオペラ座が好きなの!」みたいな論調だからなんだと思います。
シェイもそんな声がたくさん耳に入っているんでしょうし、確かに多すぎるわね(苦笑)とは思っているご様子。でも、同じくフィギュアではおなじみの曲を提案してきたアシュリーの場合と違って、羽生くんの希望は受け入れた。その理由を語る彼女の言葉を聞くと、なるほどな〜、さすが振付師は選手の内面まで踏み込んで把握するものなのね〜、と感心してしまいました。
そして、シェイの「あたしのオペラ座はこんなもんじゃないのよ!」という気持ちも伝わってくるような気がします。

今季ここまでいろんなことがありすぎた羽生くん。退院して世界選手権まで2か月、いつからどんな練習ができるのかはわかりませんが、トロントでシェイに「また手をつけて」もらえる日が早くやってくるといいなあと思います。
とりあえず羽生くん、退院おめでとう! 以上ざっと訳でした!

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カテゴリ:羽生結弦 | 17:47 | comments(33) | trackbacks(0) | - | - |
挑戦は続く 羽生結弦インタビュー@GoldenSkate
NHK杯4位。つま先でGPFに引っかかった五輪チャンピオン。NHK杯を終えた羽生くんが、中国杯からここまでを振り返ったインタビューがGolden Skateにアップされました。聞き手は、おなじみのフィギュアジャーナリストのタチアナ・フレイドさん。中国杯とNHK杯の両方で羽生くんの戦う姿を見てこられたタチアナさんらしい、スケーターに寄り添った優しい視線が伝わるインタビューです。
ただし!時間がなくて超特急の雑訳です(゚∀゚;) 何かと問題あるかと思いますが、とりあえずご了解ください!

元記事はこちら→
Olympic Champion Hanyu keeps up the challenge



「五輪チャンピオン・羽生は挑戦を続ける」

日本の羽生結弦は昨シーズン、わずか19歳にして五輪金メダルとワールドタイトルを手にして、フィギュアスケートの頂点に到達した。だが、彼の新シーズンのはじまりは、ここまで決してたやすいものではなかった。

先月はじめに行われた中国杯で、全日本選手権2連覇中の羽生は、フリーの6分間練習中に中国のハン・ヤンと衝突した。この事故は世界中で大きく報道され、アスリートの安全についての議論を巻き起こした。

その瞬間、羽生もハン・ヤンも後ろ向きに滑走しており、お互いが見えなかったという。
「まず膝がぶつかったんだと思います」そのときのことを、羽生はそう振り返る。「彼の膝が僕の太ももにぶつかって、僕は左脚1本で立っている状態でした。そのショックと衝撃で、僕はその場に倒れこんでしまいました。このとき、僕は腹部を氷に打ち付けて、呼吸ができなくなったんです。脳震盪とかそういうものだとは、とっさに思いませんでした。自分では頭を打った感じはなかったんです。頭もはっきりしていましたし、意識もあった。ただ呼吸ができなかったんです」

彼はあごを縫うけがをし、ほかにも裂傷を負って出血していた。それでも彼はリンクに戻ってきた。頭に包帯を巻き、まるで負傷した兵士のように、再び戦場におもむいたのだ。演技では5回転倒したが、後悔はしていないと彼は言う。
「そのとき、僕は滑りたかった。だから僕が決断したんです。なにもかも、あれでよかったんだと思います。みんな(ファン)も僕があの状態で『ファントム』を滑ったことに感動してくれたと思います。みんなが僕を応援してくださっている姿が見えて、ものすごく感激しました。それが僕がキスクラで泣いてしまった理由です。得点が出て、みんな僕に声援を送ってくれて…それがすごく嬉しかったんです」

中国杯でなんとか2位に踏みとどまった羽生は、翌日に日本に戻ると、10日間の休養を余儀なくされた。
「スケートはなし、練習もなし。ただゴロゴロして、寝て、テレビを見ているだけでした。初めてリンクに戻ったときは、ものすごい痛みがありました。激しい痛みがやわらいできたらすぐに練習を始めました」

羽生は、この事故を何度も何度も見直すことになった。なぜなら、この件はテレビで繰り返し放送され、新聞やネットでも頻繁に取り上げられたからだ。演技を続行した彼の決断をめぐってさまざまな議論がかわされたが、羽生はその議論を十分認識しているという。
「いろんな意見を耳にしましたが、あれは僕が決めたことだったんです」羽生はそう明言した。「僕の決断に賛成の人もいれば、反対の人もいました。ブライアンを非難する人もいた。これは僕にはとてもつらく、悲しいことでした。ブライアンもきっと、そういうコメントにはすごくがっかりしただろうなあと思います」

事故から3週間後、NHK杯に出場した羽生は、当然まだ好調とはいいがたい状態だった。4位に終わり、GPFの切符をぎりぎり手にした。クワドを失敗し、他にもミスが相次いだ。ただし、公式練習や6分間練習では質のいいクワドを何本も跳んでいた。
「100パーセントとは言いませんけど、自分は回復したと思っています。気持ちも戻ってきました。僕が犯したミスの原因は、僕自身の問題でした。怪我のせいにするつもりはありません。これが今の自分の実力なんです」

オーサーコーチは、すべては練習不足のせいだと感じているという。
「秋ごろ、彼の腰に問題が起きたせいで、しばらく練習を休まざるをえなかったんだ」オーサーはそう話した。「きちんとした練習ができていなかった。そんなときに中国杯で衝突が起きて、さらに後退することになってしまった。だから、NHK杯ではほんのわずかでも向上が見られることを期待していたんだ。練習の状態を見ただけでも、前進はあったと思っているよ」

オーサーが言うには、五輪チャンピオンが新シーズンを迎えるのは常に難しいものだという。羽生にとってこの件はいい学びの経験になっただろうと、オーサーは感じている。
「僕らは広い視野で物事を見ているんだ。広い視野というのは、もちろん全日本選手権とワールドだよ。今回の件は彼にとって、練習を少しステップアップさせるいいきっかけになったと思うよ」

時差の多い地域の移動を避けるため、羽生はNHK杯後は日本にとどまり、GPFへの準備をすることになる。
「ブライアンはすぐに練習スケジュールを送るよ、と言っていました」羽生はそう話す。「確かに、練習時間はあまり十分とは言えないですね。僕は(NHK杯で)負けました。2つの(GPSの)試合でたくさんの課題が見えてきましたし、これから挑戦していかなくてはならないこともわかってきました」

羽生にとって、すべては挑戦だ。自分自身に挑戦し続けることこそ、彼があれほどの成功をおさめた後もなおモチベーションを維持できる理由なのだ。

「プライドとか、自分への誇りとか、そんなんじゃないんです。(再び)チャレンジャーになれること、これがすごく大事なんです。今シーズンはプログラム後半にクワド(4T)を入れようとしていますが、今のところまだ成功していません。努力を続けて、こういった新しい課題をクリアしていきたいと思っています。それでも、健康がすごく大切なことには気づかされましたね。ブライアンはいつも言うんです。君の体が一番だよって」

12月7日に20歳を迎える羽生。五輪金メダリストになった後も、自分ではまったく変わっていないつもりだ。だが、時にはメディアやファンから寄せられる注目の大きさに、対処しきれなくなることもあるのだと、彼は打ち明けた。彼は何よりもまず、アスリート――全力で競技し、演技にうちこむスケーター――でありたいのだ。

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エルモ いいインタビューですね。単独インタだったかどうかわかりませんが、羽生くんも何度も同じことを聞かれているだろうに、とても丁寧に答えています。
私が印象的だったのは、最後の「彼は何よりもアスリート、スケーターでありたいのだ」という一文。中国杯でもNHK杯でもリンクサイドで取材しているタチアナさんの姿がテレビに映っていました。きっとタチアナさん、今の羽生くんが置かれている状況を2つの会場で身をもって理解したのではないでしょうか?
そしてもうひとつ、メディアと「ファン」の注目がつらくなる、という羽生くん自身の言葉。彼を応援するのでなく「消費」するのは、ここらへんでちょっと自重したほうがいいんじゃないのかな、と思うのです。もちろん自戒をこめて、ですけどね…。



お ま け・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

twitterでちょっと話題になってました、羽生くんフリー演技後のキスクラでのオーサーとの会話。
BS放送で副音声の会場音にして、かつ音量マックスにしてもまだ聞き取りにくいところはあるんですが、一応私も聞き取りにトライしてみました。
細かいところはわかりませんが、だいたいこんな感じだったかと…。



【点が出て「暫定1位」とアナウンスされた後、カメラがちょっと引く】
羽生:Ok...
オーサー:Ok.

【羽生、うんうんとうなずいていたが、だんだん悔しそうな顔になって】
羽生:I want to do one more.... I want to do one more!(もう一回やりたい…。もう一回やりたいです!)←正しくはonce moreですがおそらくone moreと言っているような気がします
【ドン!ドン!と音が入るのは靴をけっている音でしょうか?】
オーサー:Right into there?(あそこ=リンクにってことかい?)←オーサーはたぶんI want to go one more.と聞いたんだと思われます
羽生:Yeah.(うん)
オーサー:Right now?(たった今から?)

羽生:I can!(僕にはできます!)
オーサー:I know you can, haha.(君ならできるだろうね・笑)
羽生:...oh my god.(…あーあ)


実はこの会話を聞いて、かーなーり安心しました。落ち込んでもいないし、疲れ果ててもいない。「ミスの原因はメンタルだった」とわかっているからこそ、今すぐやり直したい!そしたらもっと跳べてたはず!なんですね。まあ、実際にはすぐにもう1回滑る体力はなかったでしょうけど、この言葉、きっとGPFにつながっていくと思います。
そして、オーサー…お疲れ様でしたーw

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カテゴリ:羽生結弦 | 16:09 | comments(40) | trackbacks(0) | - | - |
ジェレミーのママから羽生くんとハンヤンのママたちへ。【追記あり】
思わぬ展開となってしまった2014中国杯男子。
緊急帰国して精密検査を受けたという羽生くん。この記事をアップするころには結果は発表されているでしょうか?

…などと書いているうちに結果出ましたね。

日本スケート連盟は10日、羽生結弦が都内の病院で精密検査を受けた結果、頭部挫創、下顎挫創、腹部挫傷、左大腿挫傷、右足関節捻挫により、全治2〜3週間と診断されたと発表した。羽生は「皆様にはご心配とご迷惑をおかけしてしまい、申し訳ない気持ちでいっぱいですが、まずは、ゆっくり休み治療したいと思います。今後のスケジュールについては、ケガの回復具合をみながら検討したいと思います」とコメントした。GPファイナル(12月、バルセロナ)出場の懸かるNHK杯(28日開幕、大阪、なみはやドーム)出場は厳しいと見られる。――デイリースポーツより

……想像の翼が広がりすぎて最悪なことまで考えてしまっていた私としては、大きく安堵しました。脳しんとう、脳挫傷のたぐいじゃなくて、ほんとよかった・゜・(ノД`)・゜・
NHK杯はたぶんなくなりましたね(とも言い切れないところが羽生くんですけど^^;)いい機会だからモンハンでも楽しみながら、ゆっくり治療に専念してほしいです。
NHK杯がなくなるなら、観戦予定者としてはもちろんとても残念ですが、それよりはるかに残念なことにならずに、本当に、本当によかったよ。もう無茶するなよ!


早くまたこんな笑顔が見れますように!もちろんハンヤンもね!!

……と思わず前置きが長くなりましたが、ちょっと意外な人が羽生くんとハン・ヤンくんの衝突の件について語っていますので、ご紹介したいと思います。
それはジェレミー・アボット選手のお母様のアリソン・スコットさん。インタビュアーの「僕」はアメリカ人ブロガーのライアン・スティーブンスさん。母親の立場からのせつない気持ちがあふれるインタビューです。

元記事はこちら→Getting Up And Saying No (Part 3)


「立ち上がってノーと言おう」

飛行機で世界中を飛び回ってフィギュアスケートの試合を見に行くことは、僕にとっては手が出ない贅沢だ。リアルタイムで毎試合見る時間を作ることも、僕には難しい。仕事が忙しいし、人付き合いも活発だし、毎日このブログを書く時間を作らなくてはならないからだ。
中国杯の男子フリーがおこなわれているときも、僕は移動中だった。後から見逃していた演技を1、2時間かけて追いかけて、大会全体をレビューするブログを書いたけれど、そのときにはこの大会についてじっくりと考える時間はなかった。
あらためて羽生結弦とハン・ヤンの衝突事故のことを考えると……そしてその後2人が棄権せず演技をしたことを考えると……このできごとに対してモヤモヤとした感覚に包まれてしまう。はたして選手たちの最善の利益と安全は、あのとき考慮に入れられたのだろうか? 2人とも意識を失っていたという事実を知り……そして羽生の演技を見ると、僕は正直、不安な気持ちにさせられてしまった。

僕は友達のアリソン・スコットのことを思い出した。彼女はフィギュアの大ファンで、ブロガーであるだけでなく、ジェレミー・アボットの母親でもある。ソチ五輪でジェレミーが演技中に壁に激突し、立ち上がって、負傷しながらも(衣装の下では出血していた)最後まで演技を続けたとき、アリソンはその会場にいた。
以前、このブログで "Getting Up And Saying No"という記事を書いた。これは二部構成の記事で、ジェレミーのソチSPの演技についてだけでなく、スケート界で匿名/非匿名でおこなわれる「バッシング」について書いたものだった。この記事の執筆にあたってアリソンに話を聞くチャンスがあったのだが、彼女は目の前で繰り広げられた息子のシーンをただ見守るしかなかった当時の気持ちを、じっくりと語ってくれた。
昨日、上海で起きたあのショッキングなできごとについて、アリソンならどう思うだろう、と僕は思った。

アリソンが語ってくれたのはこんなことだった。【←インタビューの形式は不明ですが、記事の感じからすると電話インタビューだったかな、と推測しています】

「昨日はとてもつらい1日だったわ。中国杯で起こったすべてのできごとを、私がソチで味わった感情に結びつけてしまったの。
その思いが頂点に達したのは、昨日、米国オリンピック・トレーニング・センター(OTC)で、あのジェレミーの転倒のビデオを初めて目にしたときだった。私はジェレミーのためにアメリカ国旗模様の手袋をもう2組買ってあげようと、OTCのグッズ・ストアでレジの列に並んでいたの。
商品棚の上にテレビが3台あって、ソチ五輪のビデオが流れていた。それはソチで勝敗を分けたターニングポイントを集めたビデオで、その中でジェレミーも取り上げられていることを私は知っていたの。画面にスノーボードのショーン・ホワイト選手がうつったわ。ジェレミーはショーン選手のすぐ後だと聞いていたので、そばにいた私の母と『ママ、見て。もうすぐジェレミーがうつるわね』なんて話していた。
レジの女性は私の買い物のレジ打ちを終えようとしているところだった。『お買い物は以上ですか?』とその女性が言うので、『ちょっと待って。ビデオに私の息子がうつるところなの』と言った。女性が顔を上げたのは、ちょうどジェレミーのあのひどい衝突のシーンが画面に流れたときだった。彼が立ち上がってスケートを続けるのを、私と母と女性はじっと見ていたの。『あれが息子さんなんですか? あそこから立ち上がって演技を続けたんですか?」レジの女性はそう聞いたわ。
そのときまで、私はそのビデオを見たことがなかったの。あの場面はもう見たんだもの。またあれを見る必要なんてないと思っていた。でもその瞬間、OTCのレジに立ちつくしながら、あのたったひとつのできごとが私の人生にどんな強い衝撃をもたらしたのか、私は初めてわかったのよ。私は何も言えなくなってしまった。懸命に涙をこらえながら、お金を払って店を出たわ。

昨夜、あの(中国杯の)衝突が起きたとき、「あなたのことを思った」とネットで何人もの人に言われたわ。状況はまったく違うわよね。ジェレミーは演技をスタートした後だったし、他の選手ではなくボードに激突した。氷で頭を打つことはなく、痛めたのは胴体だった。彼のコーチが扉を開けて彼をリンクから上がらせようとしたけれど、それはできなかった。なぜなら、彼が立ち上がって、演技を続けると決めたから。そう決めたのは彼自身だった。
あの演技の数時間後、ジェレミーは、コーチたちとチームドクター、それとアメリカスケート連盟の人々によって、詳しい検査を受けたの。治療を受け、テーピングして、慎重に練習を始めた。彼が自分にできると思うことだけをやるべきだと、医師とコーチと彼自身が相談して決めたのよ。体は傷ついていたけれど、頭部はまったく無傷だったわ。だから、中国杯の状況と同じではなかったの。
でも……ソチで息子が衝突するビデオを見て、私は羽生とヤンの母親たちのことを考えてしまった。自分の息子が氷の上に倒れて……1人はしばらく意識を失っていたと言われていて、2人とも出血し、放心していた……そんな場面を彼女たちは見たのよ。
彼女たちの気持ちをおしはかることなど、私にはできない。脳振とうの可能性、いやもっと深刻な可能性があるのに、2人が演技することを許した連盟の役員やコーチたちの気持ちもわかりません。だれもがそれぞれの判断にもとづいて動いたはずだから。それをどうこう言うことは私にはできないわ。
私にわかるのは、2人が氷の上で身動きもせず横たわっているとき、彼らの母親たちは……そして一瞬にしてわが子がトップアスリートからもろい子どもへと変わり果てる瞬間を目にしたことがある母親ならだれもが……私がソチで感じたのと同じ「無力さと恐怖」を感じていたはずだということ。ここまで長い時間をかけて築き上げたキャリアを失う恐怖ではないわ。自分がこの世に送り出した命の、その安全が守られないかもしれないという恐怖なの。

アスリートの親として、私たちは人生で一番大事な財産――つまりわが子のケアを、とても多くの人の手にゆだねているわ。わが子を育成・強化してくれるだけでなく、自分には守れないときにわが子を守ってもらえるような指導や意志決定をしてくれる――そう思って、その人たちを信頼しているの。その信頼感に疑問が生まれたら、親としてわが子を他人にゆだねると決めたことにも疑問が出てしまうのよ。
私には、羽生とヤンが後遺症などに苦しむことがないよう、祈ることしかできない。2人の母親が、ほんの短い時間でもいいから、息子たちを抱きしめ、やさしくゆすってあげる時間をもてているように願うばかりよ。あんな思いをするのは、すべての母親にとって悪夢だから。
2人の母親たちに、私は心から思いを寄せているわ。なぜなら、彼女たちも今後いつか、あのシーンの映像に出くわしてしまう日が来るから。彼女たちが今感じている感情とはまったくちがう感情に、突如襲われる日が。それは思いがけないときに、まったく突然にやってくるの。
今、彼女たちにできることは、親として自分は全力をつくしたんだと思うこと。そして、息子に愛していると言ってあげることなのよ」


中国杯でいったい何が起こったのか、僕らが本当に知ることはできない。あの場面に対しては、多くの人がまったく異なるさまざまな意見を口にしている。ロシアのテレビ解説者は2人があんな状況下で滑ったことを英雄的だとほめたたえたという。ファンも意見が割れて、ときに対立さえ生まれている。勇敢に演技を続けようとした2人の意志を尊重するべきだというファンもいれば、2人に演技を許可したのは空恐ろしく、ぞっとすることだったというファンもいる。その両方の気持ちを持っているファンも多い。
 
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ブライアン・オーサーインタビュー 羽生マジックにご注目?
オーサーの最新インタビューが出ました!
10月14日付でアップされた、「オータム・クラシック」がらみの記事です。といっても、読んでみるとオータム・クラシックの話はちょっとしかなくて、なぜか羽生くんばっかりな記事なんですけど(゚∀゚;) いや、大いにありがたいんですけどね!

すみません、時間がなくてかなり荒っぽい訳ですが、とりあえずどうぞー!
元記事はこちら→ORSER COMING HOME TO AUTUMN CLASSIC


「オーサー、オータム・クラシックで故郷に戻る」

ブライアン・オーサーがカルガリー五輪の旗手として着たユニホームが、オンタリオ州バリーにあるアランデール・レクリエーション・センターの展示室に、今でも飾られている。バリーはオーサーが現役時代の大部分、拠点としていた街だ。

そのユニホームは、いつまでも色あせることのないカナディアンレッドに、白いフリンジがついたもの。色あせることがないのはオーサーも同じらしい。新設されたシニアB級大会「第1回オータム・クラシック」。その会場であるアランデール・レクリエーション・センターに彼が入ってきたときの様子は、まるで故郷に帰ってきたかのようだった。
オーサーはこのリンクの記念碑的な人物だ。壁には彼の戦績とともに、その名前が大きな文字で銘板にきざまれている。オーサーが2度の五輪銀メダルとワールドタイトルをとったのは、いずれもバリーの南部に位置するリンクで練習しているときだった。バリーは北米でもっとも急成長した都市とも言われている。

ただし、オーサーがこの会場に帰ってきたのは初めてのことではない。「オクトーバーフェスト」と呼ばれるテストマッチに、教え子を出場させたことがあるからだ。そんな教え子の1人が、今男子の世界ランキングを急上昇中のナム・ニューエンだ。ナムは現世界ジュニア・チャンピオンで、シニアデビューの世界選手権では12位に入った。

リンクに飾られたオーサーのフリンジ衣装を、ナムが目にしたことはあるだろうか? 彼は以前にもオクトーバーフェストに出場したことがあるから、もしかするともうおなじみなのかもしれないが、確かにナムは今週の火曜日、あの衣装の前でウォームアップをおこなっていた。だから間違いなく彼は衣装を目にし、それが何を意味するものなのかわかったことだろう。

オータムクラシックの公式練習がおこなわれた火曜日、ナムはきれいな4回転サルコウを2本着氷した。この大会ではその4回転サルコウをプログラムに入れる予定だという。
オーサーは言う。「何か目指すものがあったほうがいいんだよ。新しい“大人のジャンプ”を入れてみるのはいいことだと思う。アクセルに対するプレッシャーを取り払ってくれるからね」

ナムが優れている理由は、トロントの練習拠点で最高のリンクメイトに恵まれているからでもある。五輪と世界選手権のチャンピオンである日本の羽生結弦と、ヨーロッパチャンピオンのスペインのハビエル・フェルナンデスだ。
もし以前にも羽生のことをいいなと思ったことがあるなら、今年の羽生にも注目したほうがいい。オーサーが言うには、羽生は今季新しい2本のプログラムを用意しており、どちらもオーサーがこれまで見たことがないほど美しいプログラムなのだという。(しかもプログラムを山ほど見てきたオーサーがそう言うのだ。)

羽生は腰に痛みが生じたため、シーズン始めに戦線を離脱したところだ。1週間前にフィンランディア杯を棄権したのだ。オーサーによると、これはむしろ予防的な措置だったのだという。
「安全策をとったんだ。あまり急ぎすぎないほうがいいからね。シーズンの適切な時期に彼がトップフォームでいられるように気をつけたいんだ」

羽生はこの夏、五輪金メダリストとしてさまざまな行事をこなしたが、本当はもう少し休養の時間があるべきだった、とオーサーは考えている。羽生はすべての行事を引き受け、数多くのショーにも出た。そうした日本のショーに出演したときには、とんでもなくクレイジーなコンビネーション・ジャンプも跳んでいたという。
「日本のショーでは、みんなかわるがわるリンクに出ていっては、お互い技を見せびらかし合うんだよ」
そんなとき、羽生は尻込みするようなタイプではないらしい。
「彼はすごく張り切って、熱中しちゃうほうなんだ。僕がちょっとは抑えられたらいいんだけどね」

夏の間、羽生がトロントにいた期間はわずか2〜3週間だった。だが今は、3週間前からトロントに滞在して練習している。
シェイリーン・ボーンが初めて羽生の振付を担当した。フリープログラムで、曲は「オペラ座の怪人」。多くのスケーターに使い古された曲じゃないかって? だがボーンが作るオペラ座はこれが初めてだ。

オーサーは5月に、骨格だけ作られた時点でこのプログラムを見たが、特に鳥肌が立つようなものではなかったそうだ。だが今から1か月前、羽生は再びボーンと会い、振付の仕上げに取り組み始めた。これらの作業の結果生み出されたプログラムに、オーサーは仰天してしまったという。
「ほんとに信じがたいものだったよ。僕が知る限りシェイリーンにできることがすべてそこにあったんだ」

オーサーによると羽生は慎重な性格で、新しい人間とつきあうときにはいつも人見知りしてしまうそうだ。だが、ある日突然、羽生はボーンに気を許し始めた。そして、それが功を奏しているのだという。

羽生のショートはジェフリー・バトルの振付。曲にはショパンの「バラード第1番」を選んだ。オーサーはバトルからこの曲を受け取って、すぐに大いに気に入ったが、バトルには「いいけど、羽生にOKしてもらうには相当売り文句が必要になると思うよ」と言ったそうだ。
ところが、羽生もすぐにこの曲が気に入ったのだという。
振付にはバトルの好みが明らかに反映されている。プログラムの冒頭、羽生は14秒間、目をつぶったまま立ち続ける。それから目を開けると、「あとはもう明らかなんだ」とオーサーは言う。

中国杯とNHK杯では羽生マジックに要注目だ。中国杯にはナム・ニューエンと羽生が一緒に出場する。この秋、オーサーと彼の故郷で会うことはほとんどできないだろう。GPS6大会のうち5大会に遠征するからだ。


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羽生くん24時間TV 英語・中国語字幕つき動画
前回更新からもう1か月以上…(´Д`;)
仕事だとか心の問題だとか全米テニスだとか…なんだかいろいろありまして(はい、言い訳です)サボりまくってしまいました。JGPSもとっくに始まっているこの頃、みなさまいかがお過ごしでしょうか?

で、ものすごく今さらなんですが、8月30日に放送された日テレ「24時間テレビ」の『羽生結弦〜一夜限りのアイスショー』。この番組に英語と中国語の字幕をつけた動画を、数日前に中国のファンの方がアップしていました。

そのファンの方が動画につけた内容説明がこれ。

"Hi there, this is a video translated and subtitled by a group of Yuzuru's fans in China. We are translating it not only to Chinese but English, because we would like more people around the world to know about his story, to know that what used to be his struggle now became his motivation to fight. 

Yuzuru Hanyu, the 2014 Sochi Olympics Figure Skating Men's Singles champion, visited Tohoku region which is his hometown and the distressed area by the Great East Japan earthquake in 2011. He revealed his struggle within because he thought he had abandoned people in Tohoku and escaped, just for the sake of skating. He also revealed that he thought it was a burden. But later he realized his skating and achievements could help people in distressed area, and it encouraged him to continue fighting. The show also features Hanyu's performance, Romeo & Juliet in the ice rink in the distressed area, exclusvely performed to the people in the region. It was the Long Program which made him known to the world and brought him the 2012 Worlds bronze medal. It was choreographed in that ice rink right after the earthquake, and full of his emotions towards the distressed area."


「こんにちは。これは中国の結弦ファンのグループで翻訳・字幕製作した動画です。中国語だけでなく英語でも翻訳しています。なぜなら、世界中のより多くの方に彼の物語を知ってほしい、彼をかつて苦しめていたものが今は彼が戦うためのモチベーションになっていることを知ってほしい、そう私たちは考えるからです。

羽生結弦は2014年ソチ五輪の男子シングル金メダリストです。結弦は、2011年の東日本大震災の被災地となった、彼の故郷の東北地方を訪れました。彼は、自分がスケートのために東北の人々を置いて逃げたのだと考え、心のうちに葛藤をかかえていることを明らかにします。そして、そのことを重荷だと思っていたのだと打ち明けます。けれどもその後、自分の演技、自分が出した結果が被災地の人々の助けになっていることを知り、それが競技を続けていく励みとなったのです。
番組では、彼が被災地のリンクで地元の人々のために特別に滑った「ロミオとジュリエット」も放送されます。このフリープログラムによって、彼は世界で知られる選手となり、2012年世界選手権の銅メダルを獲得しました。大震災の直後にこのリンクで振付された、被災地への彼の思いがつまったプログラムです」


アップしてくださったpanda_weiさん、どうもありがとうございます!(右上の×をクリックするとすぐに動画が始まります)

20140830 24H TV - Yuzuru Hanyu - English... 投稿者 pandaatlarge

字幕が小さいのでちょっと読みづらいんですが、わりとやさしい英語で訳されています。英語で読むと不思議とまた違う感覚で伝わってくるような気がします。(あ、中国語は全然わかってないです…^^;)
例えば、羽生くんが石巻の中学生たちに向かって語った言葉。

   If you could say "thank you" to everything, face life with gratitude, 
   something good will happen eventually.
   This is what I believe in.



…番組をご覧になった方には、特に目新しい情報でもなんでもなかったですね。でも、日本語のままではなかなか外には伝わらない。こうして英語や中国語にしてもらって、初めて世界に伝わるんだと思うんです。実際、GoldenSkate微博など海外のSNSやフォーラムでも取り上げられていますし。
彼が「震災を忘れないでください」と語り続ける覚悟をした以上、私も機会があるたびに記事にしていきたいな、と思っています!

そして…これからはもっと更新がんばりますー!(;_;)

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「ゆづバラ1」を語る。 ※長文ポエム注意です!
「パリの散歩道」で羽生くんの新たな一面を引き出したジェフリー・バトルが、またやってくれました。
新シーズンのSPはショパンの「バラード第1番」。フィギュアファンには真央ちゃんの3シーズン前のエキシでおなじみすぎる曲ですね。

で、この「ゆづバラ1」ですが、私、昨日ドリーム・オン・アイスの楽公演で観てきました! そしてそれは……多くの人が絶賛しているので今さらですけど……私としては超・待ち望んでいたプログラムでした。もう放送され、動画も上がっているので見られた方も多いと思いますが、ちょっとばかりポエム多めで語らせてください。かなり鬱陶しいですw いやな方はどうぞスルーしてくださいね!



私が羽生くんの魅力にハマったのは、ジュニア時代のFS「パガニーニ」。特に優勝した2010世界ジュニアでの最後のスピン。私はスケオタ界の諸先輩方に比べればかなりニワカでして、それまではスピンは早くて軸がきれいならよし!ぐらいの認識だったんですが、このスピンで衝撃を受けました。消えゆくピアノの音符をスピンで表現できるなんて!しかもジュニア男子が…。けっして「抜群に踊れる」選手ではないけれど(もちろん下手では全然ないですけど)、その音楽性、特にやわらかな曲をはかなく繊細に表現する彼の演技に、私は強く引き込まれました。

しかしシニアに上がると、「はかなさ」は「弱さ」に通じてしまう。ちょうどクワドを入れていく時期でもあって、彼は強弱のはっきりしたドラマチックな表現を多くするようになりました。代表格は「ロミオとジュリエットver1」。あの必殺ロミオ、ニースでの渾身の演技は確かに劇的で感動的ではあったけれど、正直に言うと私の「理想の羽生くん」ではなかったんです。
しかし、彼の向上心と才能は彼を立ち止まらせることをしなかった。ジャンプを含む各エレメンツを、急速に、徹底的に向上させる道を選んだ彼は、技術的にはこれが男子の限界ではないかと言われるほどのプログラムで世界の頂点に到達してしまいました。もちろん、「パリ散」ではジャンプさえビートに乗せる抜群の音ハメっぷりでしたし、「花になれ」や「ホワイトレジェンド」の情感たっぷりの演技など、表現をおろそかにしていたわけでは決してなかった。でも、ショーでJ-popのコラボが続いたりもして、いつ「理想の羽生くん」に戻ってくれるんだろう(勝手に上から目線ですよね…ほんとごめんなさい^^;)と、ちょっぴり心配していたんです。

ところが、彼は素人ファンに心配されるまでもなく、自分の長所・短所、今後の課題など、もちろんちゃーんとわかっていたんですね。そして彼の周囲の人も。そして今また、すごい努力でもって新たな進化に向かっているんだなあ……そのことを痛切に感じた「ゆづバラ1」初見でした。

前置き長すぎっ!w

昨晩の動画をさっそく上げてくださった方が。収録は2日目の公演だったそうで、初回や楽公演よりジャンプミスが多かったのが残念ですが、貼りつけさせていただきます。


Yuzuru HANYU 「バラード第1番」 会場音 投稿者 yusu01207

本人談によると、「まだ10%の完成度」らしいですね。確かにこの動画の演技では、ジャンプのミスが続いたせいで後半がいっぱいいっぱいになってしまった印象はあります。楽公演では最初の3A、次の4Tがともに見事に決まり、3つ目は3Lz+2Tになってしまったものの、全体の印象はこれよりもはるかによいものでした。

音楽が始まっても微動だにしない冒頭から、ゆっくりと首を回して滑り出します。このスタートポーズやピアノのバラード曲ということから、最初私はパトリックの「エレジー」を連想していました。でも、共通点は多いけれど、全体の印象はかなり違ったものでした。パトリックのほうは力強く雄大で男性的な、モダンダンスのような感じ。「ゆづバラ1」は気品があってクラシック、女性っぽいわけでは決してないけれど女子の演技のような繊細な美しさがありました。

なんといっても、前半の3Aから2つのスピンまでの流れがもう……。アウトイーグル〜3A〜再びアウトイーグル→頭上で腕を組んだインイーグルから、曲調とテンポの変化に合わせて軽やかにステップ〜シットスピンで曲の高まりを表現→フライングキャメルスピンで再び静まっていく曲調を表現、というあたりは、パガニーニのスピンに惚れた私には至福の流れ。
もうひとつの見せ場は、3Lz(+3Tですよね本当は)以降のステップ。体力的にものすごく苦しいこの終盤に、これほどこまやかでハイテンポなステップを踏ませるとは。そして全体を通して姿勢の美しさとスケーティングのなめらかさが要求されるという、これはものすごい鬼プロですね。ジェフ、なんというサディスト!

楽公演で私が一番感動したのは、彼の姿勢や上半身の動かし方が格段によくなっていたこと。そして彼が終始、それに気をくばり続けていたことでした。羽生くんは「演技の中に自然にジャンプが入るのが理想」と言っていますが、早くもそんなプログラムを課せられてしまったようですね。「パリ散」のように見る人をあっと言わせる動きではなく、音楽と一体化し、音楽表現の中にジャンプがありステップがありスピンがあり、というプログラム。そしてそれを、完成度10%と言いつつ全身で表現しようという彼のマインドに、私は一番心打たれてしまいました。身体を美しく使おうという意識はフィナーレの群舞でも見られましたし、このマインドの高さ、どこまでも努力できるところが彼の才能なんだなあと。

…おほほほっ、語りすぎましたわ!ヽ(*´Д`*)ノ

この「ゆづバラ1」、シーズンが進むにつれどう完成していくのか、期待をこめて見つめていきたいと思います。



同じ方がほかにも羽生くん関連の動画を上げてくださっています。ありがとうございます<(_ _)>
インタビュー→ オープニング→ フィナーレ→ 
舞台裏で織田くんパジャマプロのまねw→ そのほかの選手もupしてくださっています→


【追記】

DOIから約1か月たったFantasy on Ice富山公演の動画をアップしてくださった方が!→(「ゆづバラ1」は31:33あたりから)
解説の宮本賢二さんとアナウンサーさんが今いち会話がかみ合っていませんが(笑)、賢二先生の「この子」呼びがなんかツボ ヘ(゚∀゚ヘ)
後半の4Tは少々回転不足に見えますし、その後のコンボもうまくいったり失敗したり、みたいですね。やはり後半にクワド、3-3、鬼ステップをこなすのはかなり大変なんでしょうね〜。アクセル後、直接イーグルに入らないなどDOIのときとチョコチョコ変わっているみたいですが、もしかして富山のリンクがかなり小さ目だったせいもあるかもしれません。
フィンランディア杯出場が決まりましたね! 試合での初披露までどう進化していくのか、楽しみに待っていたいと思います!

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羽生くん外国特派員協会会見 The Washington Post(AP通信)より

昨日、オバマ大統領来日で交通規制がしかれる東京で、ANAで新制服PR特派員協会で記者会見早稲田大学で学長と面会読売新聞本社で君が代CD贈呈 (後半2つの順序は不明?)と、わかっているだけでもものすごい超過密スケジュールで飛び回っていた羽生くん。
この外国特派員協会での会見の記事が、AP通信から海外に配信されていました。もうニュースもたくさん出回っていますし特に新情報はないんですが、こんなふうに伝えられていましたよ、ということでご紹介。ちなみに、英文をそのまま訳しましたので、羽生くんの実際の言葉とは違いますのでご了解くださいませ!

ワシントンポストに4月24日付でアップされましたこちらの記事です。
元記事→Hanyu determined to build on success of Sochi By Associated Press




「羽生、ソチからさらなる成長を誓う」


羽生結弦は、2014年の最初の3か月で取ったオリンピックと世界選手権のタイトルをゆっくり味わう時間さえほとんどないまま、もう来季どうやって成長していくのかを考え始めている。

羽生は2月のソチ五輪で優勝し、日本男子初の五輪金メダリストとなった。これによって、彼は日本で最も著名なアスリートのひとりになった。そんな彼はすでに、2018年のピョンチャン五輪で2大会連続の金メダルを取ることを最優先事項においている。

「がんばらなきゃな、と思います」木曜日に日本外国特派員協会で開かれた記者会見で、羽生はそう話した。「来シーズン、そして4年後のオリンピックで結果を出したいです」

そのために、19歳の羽生は4回転ジャンプの種類を増やし、プログラムの独創性を上げていきたいという。

来シーズンのための練習を開始する前に、この土曜日には故郷の仙台市でパレードにのぞむ予定だ。仙台は2011年の大震災と津波で甚大な被害を受けた。

今後どの選手がライバルになってくると思うか、と聞かれると、羽生はまだ今の時点ではわからない、と答えた。

羽生は2010年に世界ジュニア選手権で優勝し、一躍脚光を浴びるようになった。今後いつ若い選手が現れ、羽生やその他の選手と争うようになるかわからない、というのだ。

「僕自身、4年前に世界の舞台に立ったばかりで、こんなに早くことが進むとは思ってもいませんでした。だから今から4年後のことなんて誰にもわかりません。きっと新しい選手が出てきているでしょうし、僕も年をとるので、誰がライバルになるかわからないと思います」

ソチ五輪では男子の上位6人のうち3人を日本選手が占めた。2010年五輪まで男子の表彰台にのぼったことがなかった国としては驚くべきことだ。

ソチで5位となった町田樹は24歳。まだ今後明るい可能性がある選手だ。6位だった高橋大輔は28歳。最近、1年間現役を休むことを発表している。

羽生はソチの男子ショートですばらしい演技をおこない、100点を超えた初めてのフィギュア選手となった。その後首位をキープし、日本男子初の五輪金メダルを獲得した。

五輪金に加えて、羽生はグランプリファイナルと2014年世界選手権でも優勝した。来年3月23-29日に上海で開催される2015年世界選手権で連覇をねらうことになる。




この会見の動画が外国特派員協会の公式youtubeチャンネルにアップされています。冒頭の写真撮影会がすごいことになってますねー!
撮影会のあと、司会の男性が羽生くんの紹介をするんですが、その中で「メダルの大きさにびっくりしています」という言葉に、通訳を待たず「えへへへー」と反応する羽生くん。英語の聞き取りはかなりできている様子!

この会見を書き起こしてくださっているサイトがありましたので、詳細はこちらでどうぞ。→BLOGOS  (写真一覧はこちら

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