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TSL デビッド・ウィルソンインタビュー ゆづ・ハビ・パトリックを語る
TSL (The Skating Lesson) のデビッド・ウィルソンインタビュー。2016世界選手権の男子SPの翌日におこなわれたもののようです。
仕事の前にちょっと聞いてみるか〜と軽い気持ちで聞き始めたら、止まらなくなってしまった^^;
ウィルソンさん、話があっちこっち行ったり、ちょっとまとまりがないところもあるんですが、そういうのも感性を研ぎ澄まして生きている人ならではなのかな、やっぱりおもしろい人です。

というわけで、ちょこちょこ省いたり、話が行き来しているところを整理したりしています。そして、かなりのざっと訳。アンド最後の30分はカットしてしまいました……時間がなくてこれが限界^^;
後半はハビについての話が多くなりますが、ウィルソンって本当に情が深い人なんだなあとしみじみ。
そして、最近羽生くんからウィルソンの話があまり出てこないな、と思っていたんですが、クリケでは振付を外れるとレッスンも外れるんですね。考えたら当然か〜。初めて知りました。





TSLインタビュー:デビッド・ウィルソン、羽生とフェルナンデスとチャンを語る

Q:羽生は日本で大スターになっていますよね。彼が出演する映画も公開されるそうで。彼はフリーで戦士を演じていますが、映画でもサムライ役らしいですね。

おや、映画に? ワーオ。彼は戦士だよ。誇張でもなんでもなくね。【映画の話、全然知らなかった様子…^^;】

Q:確かに実生活でも戦士だけど、映画でも戦士の役なんですよ。さて、あなたにはTSLでヨナについて語っていただきましたが、羽生はヨナと比べていかがでしょうか? ヨナも韓国のスターですが、スケーターとして普段ご覧になっている中で、2人はどのように似ているでしょうか?

確かに似ているね。2人ともかみそりの刃のように鋭く攻める。まさに戦士のように、虎のように。両者とも競技者としてとても強い。そして両者ともとても自分を律する人間だ。おもしろいことに、ゆづに振付をしたとき、ゆづは「ヨナは僕のアイドルだった」と言ったんだ。その理由は、彼女の演技だけでなく、おそらくバンクーバーまでの4年間の持っていき方も含めてだと思う。
ソチのためのフリープログラムの選曲を検討しているとき、彼は僕にとても感動的な手紙を書いてきたんだ。「ロミオとジュリエット」にしてほしいとね。僕自身はもう使い古されている曲だから乗り気じゃなかったんだけど、彼の心は決まっていた。すごく感動的な手紙だったよ。
「お願いですから手を貸してください。五輪チャンピオンになるためには何でもします。死んだっていいんです。2018年まで待ちたくない。今、どうしても取りたいんです。あなたが教えてくれることは何でもします。助けてください」って。
ジェリー・マグワイヤ(映画『ザ・エージェント』でトム・クルーズが演じた芸能エージェント役)が「僕を助けてくれ〜!」って叫んでいるみたいだった。ワーオ、なんてアツい子なんだろうと思ったよ。

Q:彼はリンクの外でも情熱的なんですか?

彼はスイートな子だよ。「ハ〜イ」っていって、よく笑うし、練習のときも周囲のみんなにとてもよくしてる。そう、そんなにアツい子じゃないと思うな。いや、もしかすると情熱的な面もあるのかもしれないけど、ゆづのことはそれほど知らないんだ。彼とは2シーズンしか仕事をしていないし、ヨナと強い絆ができたのに比べたら、彼とはそこまで近しくないんだ。

Q:今は羽生の振付はジェフとシェイリーンがやっていますが、クリケットのリンクでは一緒なんですよね。ハビエルや昔のヨナのように、羽生に毎日レッスンをされているんですか?

いや、彼とはもうレッスンしてないよ。ソチ以降、彼とは仕事をしてない。彼がジェフやシェイに振付してもらってることは嬉しく思う。2人は僕が大好きな人たちだし、本当にいい作品ができるのは2年、3年一緒にやってからだから。もちろん第一作で傑作が生まれることもあるけれど、人間関係を築くことが重要なんだ。
その点、織田信成など今でも継続して仕事している例外をのぞいては、日本のスケーターたちとは十分な仕事ができなかった。日本は大好きだし、日本のスケーターも大好きだよ。でも、日本人選手は世界のあちこちの振付師に手を出す傾向がある。ローテーションで複数の振付師を渡り歩くんだ。たくさんの日本人スケーターと仕事したけど、ほとんどが1、2作どまりだった。
ユヅがジェフとシェイリーンと継続して振付していることはうれしく思うよ。お互いによく理解し合って、その選手の能力を知ることがとても大切だから。1週間でぽっとできるようなものじゃない。

Q:羽生の昨日のSPは、4Tは完璧ではなかったものの、気迫でまとめましたね。今季の彼は攻撃モードに入ってるように見えますが、練習でも以前と違いはありますか?

うん、確かにあるね。ゆづとの仕事でひとつ不満があったとしたら、これはジェフにも言ったんだけど、なんで僕はSPの振付をやらせてもらえなかったのかってこと。だって、僕が振付していた当時はゆづにはスタミナがなくて、SPはすばらしいけどフリーでは死にそうになっていたからね。僕がやったフリー2本とも、最後は息もたえだえだった。シェイやジェフの振付に比べて僕の振付が特に大変というわけではないのにな。
今季はパトリックが復帰して、クワドとアクセル1本ずつでスケートカナダで勝ったよね。一方でボーヤンがクワドを連発し始めた。そしたら、スケカナから戻ってきたゆづは火がついていたんだ。ジェフとシェイリーンに電話してきて、「クワドを増やしたいから振付変えてください」って。僕がジェフと会ったとき、彼は「Oh my god!」と頭を抱えていたよ(笑)
でも、ゆづはまったく見事だった。それをやりこなしたんだから。今はフリーを滑りきれるスタミナがついて強くもなった。それをうれしく思う一方で、僕のときはなんで?って嫉妬しちゃうよ(笑)でも、すばらしいことだ。

Q:以前、私たちは彼について話すとき、プログラムの終わりごろにはヌードルみたいになってるね、なんて言っていたものでした。【TSLの2人は以前よく「ゆづるは疲れると濡れたヌードルみたいになってしまう」と言っていました。最近では「今の男子の中で一番非ヌードル的になったね!」などと、いわばネタみたいになってます】

まったくだよ(ぐねぐねと体を倒す仕草をしながら)本当に死にそうになっていた。彼は努力してスタミナをつけたんだ。ゆづは何かを望んだら自分の意志の力で実現してしまう人なんだ。

Q:あの2シーズンのフリーは、「ロミオとジュリエット」に「ノートルダム」と、非常によく使われる曲を使いましたよね。

そして翌年は「オペラ座」ね(笑)。ゆづと最初に仕事し始めたとき、彼は「オペラ座」がやりたいと言ってきて、僕が拒否したんだ。なぜならパトリックがローリー振付の「オペラ座」をやったばかりだったから。その年にはまだ僕はパトリックとは組んでいなかったけれど…いや、もう組んでたかな? とにかく他者の後追いはしたくないものだ。曲はたくさんあるんだからね。
ゆづは「ジョニー・ウィアーが好き」とも言ったので、「ノートルダム」は僕なりの着地点だったんだ。ジョニーはあの曲で滑ったことがあったからね。彼の代表的なプログラムではないけれど。だから、ゆづは気に入ってくれたよ。

Q:特に去年から今年の演技を見ると感じるんですが、羽生は芸術的な面で覚醒しつつあると思いますか?

正直、さっきも言ったように僕は練習を遠くから見ていただけだから、よくわからないんだ。振付にかかわっていないから、踏み込すぎないように距離をとっている。試合ではパトリックやハビに同行していたしね。

Q:パトリック、ハビ、そして羽生との仕事は、それぞれどう違うのでしょうか?

そう、僕はソチイヤーにはゆづ、パトリック、ハビの3人に振付をしていた。自慢するわけじゃないけど、表彰台にほとんど絡んでいたわけだ。ハビがあの余計なミスさえしなければ表彰台は全部僕のものだった。世界の男子トップ3に振付するなんていうのは、おそろしいものだよ。それぞれの個性を生かし、結果につなげなくてはならないのは、本当に大変な仕事だ。でも今でもそのうち2人とは楽しんで仕事してるわけだけど。
彼ら3人はそれぞれ本当に違うんだ。性格も違うし、体格も違う、スケーティングのスタイルもジャンプのテクニックも違う。世代を超えたスケーターのイメージってあるだろう? 例えば、この選手は昔のあの選手に似てるな、とかね。今回最終グループに入ったロシアの男の子、若くて才能ある子。彼はすごく「イリヤ・クーリック」だね。ジャンプがものすごく正確で。【ジェニーがここで「コリャダですね」と相槌を入れます】ところが、この3人は3人とも非常に個性的な、独自のタイプなんだ。歴史的上もっとも優れた3人だよ。本当にすごいことだ。
ハビにはハリウッド的なカリスマ、存在感がある。人々を爽快な気分にさせ、乗せてしまう演技ができるんだ。みんなに愛されてるし。僕が住んでいるコンドミニアムでも近所の人に聞かれるのはハビのことだよ。「あのスパニッシュボーイはどうだった?」「あなたのスパニッシュボーイ、テレビで見たわよ」って。
その魅力は愛から来てるんだ。彼の両親はものすごくいい人たちなんだ。彼の姉もね。ハビと彼のお姉さんと、マドリードでディナーを食べたときに聞いた話だ。お姉さんもスケーターでスペインチャンピオンだったんだけど、ジャンプが苦手でシングルとしては限界が見えつつあった。そこで五輪を目指してアイスダンスに転向することを検討していたんだ。パートナーも見つかってうまくいき始めていた。だがそのころ、ハビが目覚ましい成長をしていた。ジュニアGPに出て注目を浴び始めたところだった。彼女は「弟には本物の実力がある」とわかったんだ。そこで彼女はスケートをやめた。2人にスケートをさせるだけのお金はなかったから。僕は泣きそうになったよ。彼女はその決断をちっとも後悔していなくて、誇りに思っている。本当に愛だけなんだ。彼女は今看護師を目指してる。もう……ほんとにね。ハビの父はとてもハンサムで感じがいい人で、母はとても小柄でかわいい人。ハビは本当にいい息子なんだ。

Q:愛といえば、いろんな選手から話を聞くと、あなたはスケーターに本当に愛をそそぎ、彼らがいい結果を出せるように心から望む方だそうですね。そんなあなたにとって、教え子がお互いに競い合うのを見てどうなんでしょう?

僕自身、選手としてはほとんどダメだった。ノービスどまりで、ジュニアとしてさえ競技できなかった。友達が国内外の試合に出るのを外野から見ている子供だった。みんなの才能を本当に心からすごいと思って見ていたよ。ジャンプ以外の部分では僕のほうが勝ってたんだけどね(笑)
だから僕は、才能ある選手を見ると本当にすごいと思うんだ。ある意味、無欲でいられるんだね。選手たちに自分にできるものを最大限与えることは、僕の義務だと思ってる。
だからこそ、永遠に自分を許せないのは、ヨナが足のつま先を伸ばすよう指導してやることが最後までできなかったこと。古くからの友人にも「つま先は一番大事なものだよ!」って力説されていた。直してやろうと本当に努力したんだけどね。ヨナ本人にもジョークで言っていたよ。「きみがつま先を伸ばさないたびに僕がしかられるんだよ」ってね(笑) 
ともかく、そんな才能ある選手たちを教えるたびに、自分は恵まれてると感じるんだ。「この僕がよくこんな子たちと仕事ができるようになったもんだ」とびっくりするよ。だからこそ、その選手に対して責任を持たなきゃならないという意識を持っている。すべての選手に心を通わせようと努力するんだよ。

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話題たっぷり、充実のインタビューなので感想は書きませんが、少しだけ。
羽生くんが最初に「オペラ座」をやりたいと言ったとき、ウィルソンがNOと言ったのは、パトリックの「オペラ座」がらみのウィルソン側の事情だったの? えええっ!?
そして、ウィルソンともっと話しこんでいたら、ハビ家の姉弟関係と、羽生家の姉弟関係がとても似ていることを知ってくれただろうになあ…とちょっと残念。今ごろクリケでそんな時間が持てるといいな。

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カテゴリ:羽生結弦 | 14:57 | comments(12) | trackbacks(0) | - | - |
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