昨日7月26日、福間洸太朗さんat「ネパール復興支援コンサート」(東京・国分寺市)聴いてきました!
初めて生で聴いた福間さんのピアノがすばらしく、Fantay on Ice神戸と羽生くんの話も出てきましたので、レポと感想を憶えている範囲で少しだけ書いておこうと思います。
会場は東京郊外の西国分寺駅に近い国分寺市いずみホール。東京でも少々マイナーな(失礼!)地域なので、なぜ国分寺?と思っていたのですが、福間さんがこちらのご出身だったのですね。福間さん以外の方々の演目も素敵で、会場の雰囲気もとてもあたたかく、すばらしいコンサートでした。
今回のチャリティコンサート、主催の
「ネパールの子どもを支援する会」代表の増田加代子さんという方が司会をされていたのですが、まずネパールの現状とこのコンサートについて説明がありました。
ネパールはアジアで一番、世界でも3番目に貧しい国で、子どもたちも働きながらその日の食べ物を食べるのがやっと。飲み水は井戸に頼る人が多いのですが、その井戸が数メートルの深さしか掘られていないため、日本の下水並みに汚れた水しか取れず、飲み水で命を落とす子供たちもいる。その現状を知った増田さんたちは、国分寺を中心に寄付を集めて、ネパール各地に深い井戸を掘ったり、学校を作ったりといった活動を16年前からされているのだそう。
そこに今回の大地震。支援物資をもって現地に向かったけれど、とてもひどい状況で、緊急に何かしなくては、と企画されたのが今回の「ネパール復興支援コンサート」だったそうです。増田さんも地元・国分寺の方で、福間さんのことを小さい頃から知っていて、自称(?)「福間さんを応援する会」の代表でもあるとか。そのご縁で出演が決まったそうですが、もともと今回のコンサートは7月22日だけの予定だったのですが反響がものすごく、急きょ昨日の25日に追加公演を決定。短期間での決定だったのに、福間さんはじめ出演者のほとんどが追加出演を快諾されたのだそうです。
コンサートの第1部では、地元の合唱団がネパール民謡やドイツの歌曲を歌ったり、地元の子どもたちによるダンス、ネパール人女子留学生でダンサーの方のネパールダンスなど。合唱にはネパール人男子留学生の方の太鼓の伴奏も。
特に、地元の創作ダンス・サークル『Joyダンスクラブ』の子どもたち10名による創作ダンスがとても印象的でした。空爆を受けたネパールの村にサーカスがやってきた、というストーリーで、メインダンサーをつとめる女の子がとっても可愛くてダンスも上手。10名の中には小学校低学年ぐらいの小さな子もいましたが、みんな笑顔で、特訓を受けたというネパールのダンスを一生懸命踊っているのが素直に胸を打ちました。終演後はロビーで募金箱をもって立っていました。みんな、小さい頃から目的意識があって偉いなあ。(とフィギュア観戦にばかりうつつを抜かしている我が身を激しく反省…。これはスケーターさんたちに対しても同じなのだけど><)
第2部では、まず
ロシア人声楽家、ヴィタリ・ユシュマノフさんが、みごとなバリトンでロシア民謡「カチューシャ」やイタリア歌曲、そして日本語で「夏の思い出」などを熱唱。日本が大好きで、現在日本に住んでいるそうで日本語がとても上手(しかもイケメンでいらっしゃる)。終始にこやかな笑顔を浮かべながら歌っているのがとても印象的でした。
司会の増田さんいわく、「ヴィタリさんは福間さんの親友でもあるので、洸太朗さんファンのみなさん、今後ヴィタリさんもよろしくお願いしますね〜❤」とのこと。9月にオペラ「ドン・カルロ」に出演予定だそうです。
そして、いよいよ
福間洸太朗さんの登場です!
少しラインストーンが入った白いドレスシャツに黒ズボン。ちょっとだけ内気そうな、上品な物腰でお辞儀されると、まずは1曲目、エルガーの
「愛のあいさつ」。会場のお客さんへのあいさつだったのでしょうね。
弾き終わると、立ち上がってマイクを握られて、「今日はリストとショパンを演奏します。2人は年は1つ違いですが、対照的な人生を送りました。リストは数多くの作品を残し、演奏のほか教育など幅広い活躍をした人でした」(←ずいぶんはしょっています。実際はもっとたくさんのことを、丁寧でやさしい語り口で語ってくださいました)
まずはリストの
「愛の夢第3番」。フィギュアファンにはおなじみすぎる曲ですが、とってもすばらしかった。実は私、子どもの頃ピアノを13年ほど習っていたんですが、もうピアノの道はあきらめると決めて(だいだいそれほどの才能もなかったのですが、ぐずぐず続けていたのでした)最後の発表会でこの曲を弾いたんです。それ以来この曲は何度も聴いてきたのに、福間さんの演奏を聴いているとおこがましくもその時のことが急激によみがえってきて、胸に感傷の嵐が吹き荒れてしまいました。
福間さんの「愛の夢」はとても華やかで、音がキラキラしていました。そしてスローパート、特に最終盤のパート(真央ちゃんの「愛の夢」における最後のスパイラルのあたり)をものすごく丁寧に、一音一音じっくりと弾いてらしたのが印象的でした。超絶技巧の難曲でなくても、ピアノってこうやって愛をこめて弾くのね、と改めて感じ入りました。
リストの2曲目は、まさしく超絶技巧の代表曲「ラ・カンパネッラ」。こんな曲になると素人の感傷の入る余地なんてなし。もう圧巻! 素人耳ですが、ちょっとしたミスもほとんどなかったんじゃないでしょうか? 特に高音の繊細で美しいこと! ふつうは演奏が終わって一呼吸して拍手をするものだけど、このラ・カンパネッラでは福間さんが弾き終わるや否や、フライング拍手が巻き起こりました。すごかった!
立ち上がって「この曲を弾くと汗かいちゃうんです…」とハンカチで汗をふきふき、ショパンの解説を始める福間さん。
「雨だれのプレリュード」「バラード1番」「アンダンテ・スピアナートと華麗なる大ポロネーズ」の3曲です。
「ショパンはリストと対照的に作品数が限られ、生涯病気がちで39歳の若さで亡くなりました。『雨だれ』は、マジョルカ島で雨音を聞きながら愛人ジョルジュ・サンドの身を案じ、愛人を失ったら自分はどうすればいいのかという不安を抱いた、その不安が表現された曲です。『バラ1』には、戦火に見舞われていた故郷ポーランドへの悲しみと戦争への怒りが表現されています。そして最後のポロネーズとは『ポーランドの曲』の意味で、本当に明るく美しい曲です」(ううう、もっと美しい言葉でたくさん語ってくださったはずなのに…壊滅的な記憶力…><)ショパンの人となりまで伝わってくるような、素人にもすごくわかりやすく丁寧な解説。福間さんの誠実さと、楽曲の魅力を少しでも伝えたいという気持ちが伝わってきます。
その
「バラード1番」。最初の一音からゾクッとしちゃいました。福間さんのピアノって、とても華麗できらびやかなんです。でもその音の間から、喜びとか悲しみ、せつなさなどいろいろな感情が立ち上ってくる。演奏中の福間さんは、時折音を口ずさむかのように唇を動かしたり、重厚な和音を奏でるときには天を見つめるように頭上をあおいだり…。けっして大げさな身振りではなく、あれほど高度な大曲を弾いているのに優雅とさえ言えるほどなのですが、それでも演奏中に浮かべる豊かな表情を間近で見られたのはとても嬉しかったです。それにね、その横顔が美しいのですよ!
(しかし、今回は開場前から長い列ができていて、完全に出遅れてしまったため、手元があまり見えない席だったのが失敗だったな…ううう、せっかくなのにもったいなかったです><)
そして、やっぱり思い浮かべてしまうのは羽生くんの「バラ1」。本当にあちこちツギハギで編集されていたのだなあと。ジェフが選んだ部分は、曲の中でも激情やもの悲しさが漂うパートばかりだったのだと改めて再認識。そして、この原曲を短時間で羽生バージョンに合わせ、ショーのクライマックスで弾いた福間さん、神業! 本当に大変だったでしょうねぇ!
演奏後、ふたたび増田さんが登場されて、しばし福間さんとトーク。といっても、この増田さん、とてもエネルギッシュで、立て板に水のごとく話される方で、話の3分の2は増田さんだったかな。とにかく福間さんは
子どもの頃からかっこよくて、足も速く運動会でも目立っていたそう。(推測ですが増田さんは以前、教育関係の仕事をされていたのかな? ご自身が担当された読書感想文コンクールで福間さんが1等賞を取ったこともあったそう)それに性格も素直で、親御さんもすばらしくて…。褒められるたびに、照れたようにいやいやいやと首をふる福間さん。「あら、ごめんなさい、長くなっちゃって」と言う増田さんに、福間さん、
「大丈夫です。半分ぐらいしか聞いてませんから」とボソッともらして笑いが起こる場面も。
Fantasy on Iceの話を始めたのは増田さんのほうでした。「先日もね、アイスショーに出られたんですよね。鈴木さんや安藤さんとコラボレーションをされて」ここで増田さんが取り出しのは仙台のお菓子「萩の月」の小箱。(増田さんは「月のしずく」とおっしゃったので、そんなお菓子があるのかと検索しちゃいましたよ^^; おそらく勘違いだったんでしょうね)
神戸で羽生くんが出演者のみなさんに配ったものを、福間さんから1ついただいたのだそうで、「羽生くんは洸太朗さんの次の次に好きな人ですからね。サインしてもらえたらもっとよかったんですけど〜」と、だんだんテンションが上がってくる増田さん。ところが、神戸初日の放送はご覧になっていたものの楽公演で「バラ1」コラボがおこなわれたことを知らなかったらしく、「次は絶対羽生くんとのコラボを実現させてくださいよ。必ずよ!」と若干暴走気味。とうとう福間さんがさえぎって、
「ええと、ちょっといろいろ訂正させてください(笑)。コラボはもうやったんですよ」と、神戸でのことを話し始められました。
内容としては福間さんがツイッターで書かれていたこととほぼ同じで、もともとフィギュアが大好きで、ジュネーブでステファン・ランビエールと共演したのが最初だったこと。神戸では氷に穴があくアクシデントがあり、製氷中に「何か弾きましょうか?」と自分からスタッフに持ちかけたこと。その演奏中、羽生くんがリンクサイドに出てきて演技の振りをしていたこと(ご自分は気が付かず、後から聞いたそう)。その夜、ホテルでの食事中に羽生くんから「コラボをやってもらえませんか?」と言われ、喜んで快諾したものの、かなり編曲されているので動画を見ながら苦労して音合わせしたこと。それでもあのような機会をもらえてとても光栄だったことなどなど。時間がおしていたのに、神戸でのことを丁寧に話すその笑顔に、あのショーを本当に特別なものと思ってくださっているのだなあと感じました。
これでお開きかと思ったとき、増田さんが「もう1曲お聞きになりたいでしょう?」と言うものだから、会場大拍手。
ふたたびマイクを握った福間さん、
「ストラビンスキーの『火の鳥』を弾きます。火の鳥=フェニックスは奇跡を起こす鳥です。ネパールのみなさん、そして会場に来てくださったみなさんに奇跡と幸福が訪れるよう、祈りをこめて弾きたいと思います」シンプルだけど力強い言葉。福間さんが東日本大震災からちょうど4年という日の海外公演で、アンコールで震災への哀悼の曲を弾いている
動画を先日見たばかりだったんですが、こういう思いをずっと抱き続けている方なんですね。
そんな福間さんの願いがこもった「火の鳥」、本当にすばらしかった! フィギュアではまたまたおなじみの曲ですが、私の脳内では町田くんがあの衣装で舞い踊っていましたよ…。