あああ、ここのところ仕事に追われまくっておりまして、全然更新できない間に上海ワールド、終わってしまいましたorz
昨日タチアナ・フレイドさんがアップしてくださった男子フリー
プレカン録音や、なごなごスモメダ会見など、記事にしたいことはたくさんあるのですが、まとまった時間がとれず悶々としています…><
とりあえず仕事の合間に、CCTV5(中国中央テレビ体育チャンネル)で放送されたブライアン・オーサー単独インタビューを訳しましたので、こちらをアップ。
もうすさまじいほどの羽生フィーバーだったらしい今回のワールドですが、このインタビューでも優勝したハビエルよりも羽生くんについての質問が先行してしまっています。しかも、このアナウンサー(男性)、名字なしの「ゆづる」呼びなんですよ(笑)
インタビュー動画へのリンクは→
こちら
(わりとゆっくりめの、わかりやすい英語で話しているので、オーサーの表情と見比べながら読んでいただけたら、より伝わるのではないかと思います)
アナウンサー:ハビエル・フェルナンデスにとっては、すばらしい瞬間でしたね。初の世界タイトルを手にしました。昨日のフリーでは、とても難しいプログラムをみごとに演じました。今大会では結弦が最強と見られていたので、これは驚きでした。
オーサー:結弦は今シーズン、とてもたくさんの問題に直面してきました。まず秋に腰痛、そしてここ中国で衝突事故、それから手術と捻挫…たくさんありました。だから彼は、ベストの状態で中国入りしたわけではなかった。ただただ状況に恵まれていなかったのです。
フェルナンデスは体調も万全でしたし、もともと遺伝的に強い体質です。フリープログラムはクワド3本に、つなぎもたっぷり入り、振付もすばらしい、非常に難しいプログラムです。これ(高難度、濃いつなぎ、よい振付)は結弦とハビの両方に対して僕らがとった戦略なのですが――フェルナンデスは健康な状態を維持してきたので、アドバンテージは彼のほうにありました。彼は通常どおりの練習を毎日できる状態でした。その意味で、フェルナンデスのほうが有利でしたね。
アナ:では、今後ハビエルは結弦にとって強力なライバルになっていくでしょうか? 3年後には次のオリンピックが来ますよね。
オーサー:ええ、もちろんそう思いますよ。この2人は何度も抜きつ抜かれつしてきましたからね。結弦が僕のところへ来るまでは、フェルナンデスのほうが結弦より少し先を行っていたんですが、結弦が来てからは上に立つことは結弦のほうが多くなりました。今のこの状態に、2人はなじんでいます。
一方、僕は中立をキープしています。どちらかを贔屓することなどありません。今回はフェルナンデスの優勝を大変うれしく思います。なぜなら、初めて世界タイトルを取るということは……もしかしてこれが唯一のタイトルになることだってありえます。とても特別なことなんです。だから僕はすごくうれしかった。羽生はすでにワールドも五輪もタイトルを持っています。だから、フェルナンデスが今回、スペインの歴史を作ることができて、本当によかったと思っています。
アナ:私たちから見ると、優秀な2人の男子選手たちのバランスを取るのは、コーチとして大変難しいことなのではないかと思うのですが。例えば試合当日、結弦に「今日はハビエルとどう対戦すればいいんでしょうか?」と聞かれたら? 今のこの状況で実際にどうやってバランスを取るのでしょう?
オーサー:僕は2人に対して、身体とメンタルの両方で用意を整えてきました。2人は同じメンタルトレーニングを受けてきています。それを試合で実行できるかどうかは、当人たちにかかっています。僕はただ、2人にいいスケートをしてほしい、それだけを望んでいます。それ以降のことを僕がコントロールすることはできません。フィギュアは採点競技です。結果がどうなるかは9人のジャッジと3人のテクニカルパネルにかかっています。僕の手の内にはありません。
2人のうちどちらかを贔屓することなどありません。彼らは僕のことをよくわかっているし、僕は彼らをよくわかっている。僕が2人によく言うのは、僕らはコミュニケートし合わなくちゃいけない、ということです。彼らが僕にもっと見てほしいなと思っていても、僕が先回りして判断することはありません。2人の間には嫉妬もありませんし、何か言いたければ僕に伝えてくれなくてはならないんです。
僕には2人の考えがとてもよく読めます。彼らのボディランゲージ(無意識的なものも含めての仕草や表情などのこと)もすぐに読み取れます。結弦は今、いつも以上のケアを必要としているなとか、今はハビにちょっと怒ったほうがいいぞとか、ハビがまだ寝てるだろうから自宅に迎えに行ったほうがいいぞとか――彼はスペイン式ですから(笑)。
2人の国の文化はまったく違いますからね。この点は、僕にとってはずいぶん楽なんです。もし2人が同じタイプのアスリートたちだったら、僕は苦労するでしょう。その点、この2人はまったく正反対なので、僕にとっては楽ですね。
アナ:結弦はベストなコンディションではなかったとおっしゃいましたよね。今回そのような状況でタイトルを逃したのは、彼にとっては残念なことだったでしょうね。今大会の結弦の演技を、あなたはどう評価されますか?
オーサー:(銀メダルが決まった後の)昨晩、そして今朝もう一度会ったとき、僕は彼にこう言いました。君のことがとても誇らしいと。あらゆる難題を克服しなくてはならなかった、このクレージーなシーズン、君がこの道のりに対処し、乗り切ってきたことをとても誇りに思っていると。そこには君が人生で学ぶべき大切なことがたくさんあったんだと。
五輪金メダリストになると、その人の人生は変わります。すべてが変わるんです。彼は今、日本でスーパースターです。誰もが彼に寄ってこようとします。誰もが自分のショーに出てほしいと思っている。彼には大変なことです。さまざまな活動もありますし、時間をずいぶんとられてしまいます。
五輪金メダリストというタイトルを身にまとうことには、大きな社会的責任がついてきます。その巨大な責任を、彼はよく果たしています。この大会でも、彼は唯一の五輪チャンピオンとして、上海にやってきました。五輪メダリストの中でも、競技を続け、GPSとGPFを通して滑り続けてきた数少ない選手のひとりです。彼が競技を続けている理由はたくさんありますが、彼はスケートを愛している、それが主な理由なのです。
羽生くんもハビも、クリケットへの信頼感をよく口にしますが、それはオーサーが「分け隔てしない」「とことん選手のことを思いやる」「言いたいことがあれば口に出させる」を実践しているからなんだなあ、としみじみ感じたインタビューでした。
そして、ソチ後に羽生くんが置かれた立ち位置についても。
歴代の五輪金メダリストがほとんど引退・休養してきた中、不遇な事故や病気があったにしろ、金メダリストが試合に出続けて結果を出すのがどんなに大変なことか教えてくれた、今季の羽生くん。なぜ続けるのか、それは「スケートを愛しているから」。シンプルなこの言葉に胸が熱くなります。
ハビエル、羽生くん、おめでとう。そしてオーサー、おめでとう!
では仕事に戻ります(;_;) 次のアップはいつできるのかな……><
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