明後日からスケート・アメリカ! いよいよ怒涛のGPSシーズンが始まりますねー!
地元アメリカでは去年から一気に人気者になったジェイソンくんへの期待がすごいみたいですけど、Icenetworkでは、そんなジェイソンくんを迎え撃つ海外の強敵たちをとりあげた記事がアップされています。筆頭はもちろんTatsuki Machida! 残念ながらまっちー本人には取材できなかったようですが、振付のフィリップ・ミルズ先生がプログラムのことなど熱く語ってくれています。
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Second City slices: Machida's best is yet to come Posted 10/22/14 by Lynn Rutherford
「シカゴあれこれ:町田の最良の時はまだこれからだ」
テンはまだ体調を回復中。ナム・ニューエン、ガチンスキー、ベセギエにもチャンスあり
今週、シカゴに近いホフマン・エステーツの「シアーズ・センター」で開催されるスケート・アメリカ。アメリカからはジェレミー・アボット、ジェイソン・ブラウン、そしてダグラス・ラザーノが出場するが、彼らは強力な海外勢と対戦することになる。その筆頭が町田樹だ。
町田は大阪出身の24歳。2012年のスケート・アメリカで、自身初のGPSメダルとなる銅メダルを獲得。昨シーズンの本大会では、同じ日本の高橋大輔と小塚崇彦を24点以上の大差で破って、金メダルをさらった。さらにGPFに進出し、ソチ五輪では5位、さいたまで開催された2014年世界選手権では銀メダルに輝いた。
町田の振付師であるフィリップ・ミルズは、町田はまだこれからもっと伸びると考えている。
「彼と組んで3シーズン目ですが、私たちはまだスタートしたばかりのように感じています」町田のコーチ陣のひとりでもあるミルズは、そう話した。
「彼はバレエダンサーの思考方法と、アスリートの強さを持ちあわせています。そして、私がこうしたいと思うことに前向きに取り組んでくれるんです」
ミルズは、町田が昨季次々と決めた4Tと3Aのコンビネーションジャンプを今季も入れつつも、彼を芸術的に成長させるようなプログラムを作った、という。
「彼にはただ美しい動きをするだけではなく、物語をよりよく伝えることができる、いわば俳優になってもらいたい。そのために、私たちは何か策を考えなくてはなりませんでした。トランジション(つなぎ)と振付、そして華麗なジャンプとスピンをうまく融合させようとしています。ずっと昔、カルロ・ファッシ【元イタリア選手でアメリカに渡って数々の名選手を育てたコーチ】にこう言われたことがあります。“忘れてはいけない、まず何よりもスポーツなのだ”と」
「今年はジャンプの入りに難しいトランジションを入れています。私は彼にこう聞いたんですよ。“もっと難度を落としたほうがいいかい?”すると彼は“No, no, no -- I must practice them(いえいえ、練習します!)”と答えましたよ」
昨季の全日本選手権で羽生結弦についで2位となった町田は、忙しいオフシーズンをすごしていた。ミルズによると、町田は関西大学を卒業する予定で、最近大学院の試験を受けたところだという。
ミルズは、さいたまワールド後に大阪へ行って町田を指導した。その後、5月にも日本を訪れた。6月には町田が南カリフォルニアのミルズのリンクを訪れ、夏の一時期をそこですごした。
「ここ1か月は彼とは会っていないんです。移動が大変ですからね。彼のコーチ(大西勝敬)が動画を撮影して、私に送ってくれます。それについて私の意見をメールで返しているんです」
町田の新SPの曲は、映画「ラヴェンダーの咲く庭で」より「ヴァイオリンと管弦楽のための幻想曲(Fantasy)」(作曲:ナイジェル・ヘス)だ。ミルズはこのSPを「悲劇的な愛の物語。誰もが必ず経験する、痛みにみちた旅路」と説明する。
ベートーベンの「交響曲第九番」を使ったフリーは、「Believe」と名づけられ、“Passion、Cherish、Celebration”の3つのパートの振付によって構成されているという。【ぴったりな訳かどうかわかりませんが、“情熱、慈愛、祝祭”といったところでしょうか?】
ミルズはアメリカン・バレエ・シアターで学び、ヨーロッパのバレエ団で活動してきた。ダンスの世界のトレーニング法をフィギュアスケートのコーチングに取り入れているのだという。
「振付に取りかかる前に、氷上で30〜45分のレッスンをおこないます。バレエのレッスンに似たものをスケートに取り入れたもので、バランスや体のライン、エッジの傾け方を学ぶためのレッスンです。もちろんその時にはピアノ曲をかけます。バレエと同じようにね」
8月には日本スケート連盟の役員がカリフォルニアを訪れ、町田と、同じくスケート・アメリカに出場する今井遥のプログラムを視察するために、3日間滞在していたという。
「連盟はとてもよく支援してくれていますよ」とミルズは言う。
「芸術面でどうしろとは決して言いません。各エレメンツとレベルをチェックして、IJSの採点ルールを満たしているかどうか見てくれます。彼らはルールにとても精通しているんです」
町田はこの秋、チャンレンジャー・シリーズには出場しなかったが、日本でショーに出演した時にプログラムの一部を滑ったことで、つかむものがあったという。
●デニスはまだ回復中
昨季のデニス・テンは、かかとの怪我、あごの感染症、靭帯の損傷、そしてスケート靴が合わないなど、さまざまな問題に苦しんだ。スケート・アメリカは欠場を余儀なくされ、中国杯では4位に終わった。しかし、21歳のテンはソチ五輪までに体調を回復し、フリーではみごとな演技を見せて、カザフスタン初のメダルとなる銅メダルを獲得した。
先月、テンはネーベルホルン杯に出場するため、ドイツのオーベルストドルフに入ったが、直前に棄権した。南カリフォルニアの練習拠点を出発する前から、ウィルス性胃腸炎を発症していたのだという。
「彼はオーベストドルフを発った後、ローマでクリニックに行って、医師と理学療法士にかかったんだ」そう話すのはテンのコーチ、フランク・キャロルだ。
「まだ100パーセントの状態ではないけれど、以前よりはずっといいよ。ネーベルでは犬みたいにヘバっていたんだ。全然力が出なくてね、リンクではただ滑ることさえ苦労する状態だった」
キャロルは、今年のスケート・アメリカでのテンの演技についてはそれほど心配していないものの、今季もGPSではスロースタートになるだろうと考えている。
「デニスはまだ準備を整えている段階なんだ、五輪シーズンと同じようにね。昨季もGPSではメダルを取れなかったが、オリンピックではメダルを獲得した。つまり適切な時期にピーキングしたということだ。今季は去年より体調がいいし、精神的にもハッピーだよ。かかとの痛みはもうなくなったからね」
キャロルは、テンの新しいフリープリグラムに興奮しているという。振付はローリー・ニコル。ヨーヨー・マとシルクロード・アンサンブルなど数曲を使ったプログラムだ。
「彼にぴったりの音楽だよ。エネルギーにあふれているし、その曲にのった彼の演技もすばらしいんだ」
3回転ジャンプなど各エレメンツの調子は「上々」だそうだが、練習では4回転ジャンプにやや苦労しているという。
「4回転は年中跳べるというわけにはいかないんだ。でも、望ましい感じで仕上がりつつあるよ。デニスのピークはシーズン後半になるだろうね」