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町田樹、波乱万丈の中国杯を制す!! goldenskate記事 (+ちょこっとボロノフ・インタ)
ジュベールの棄権。リッポンとの衝突によりナン・ソンも棄権。圧勝と目されていた高橋くんが崩れ、町田くんが逆転優勝!!!……と、波乱にみちた展開だった中国杯男子。

Goldenskateに、おなじみのタチアナ・フレイドさんがまとめ記事をアップしていました。
元記事はこちら→Machida upsets Takahashi at 2012 Cup of China November 4, 2012

「町田が高橋を倒す、2012年中国杯」

 波乱万丈の中国杯男子は、優勝候補とは目されていなかった町田樹高橋大輔を破るという驚きの結果となり、日本選手のワンツーフィニッシュで終わった。ロシアのセルゲイ・ボロノフが銅メダル。

 第2グループの6分間練習が始まってまだ1分も経たない頃、アメリカのアダム・リッポンと中国のナン・ソンが正面衝突した。リッポンはすぐに立ち上がったが、ソンは立ち上がれない。彼は頭をおさえて氷の上にうずくまり、ほかの選手が気づくまで長い時間がかかったように見えた。ボロノフがかけよって助け起こそうとしてから、ようやくレフリーが笛を吹き、練習を止めさせた。
「たしか、方向転換してジャンプに入ろうとした時に、ナン・ソンも僕もお互いに気づいたんだと思います」リッポンは後からそう振り返った。「2人ともお互いを避けようとしましたが、同じ方向に行ってしまい、正面衝突してしまったんです」
「助け起こそうとしたんですが、彼がふり払ったため、練習を続けることにしました。彼がひどく痛んでいることは誰の目にも明らかでした。その後、僕にできることは自分がやるべきことに集中することだけだったんです」
 ソンはスタッフに抱きかかえられてリンクを去り、ほかの4選手もいったんリンクを出た。数分後、練習は再開されたが、ソンは病院へ搬送され、脳震盪と診断された。中国の連盟関係者によると、その後ソンの状態はよくなりつつあるが、その夜は経過をみるため病院にとどまったという。

 この出来事のあと、リッポンは第2グループの一番手として滑ることになった。
 曲は「ジ・インクレディブルズ」。冒頭の3Aが1回転になってしまったが、3Sと3Loを着氷し、後半の3Aも成功した。その後2つの3回転の後、ダウングレードされた3Lzでステップアウト。フリー4位となる133.67(技術点61.81/構成点71.86)で、総合205.48で4位となった。
 22歳のリッポンは、6分間練習でのアクシデントが演技に影響したと思う、と語った。「僕は、ひとつひとつの経験からたくさんのものを学んでいっていると思います。(新コーチの)ラファエル(・アルトゥニアン)と望む初めての試合だったし、対応しなくてはならないこともたくさんありました。アメリカに帰って、NHK杯に備えて練習を積みたいと思います」

 次はボロノフ。「ロミオとジュリエット」の最初の4Tに成功。その後も6つの3回転とレベル3を獲得したスピンとステップをきめた。元ロシア・チャンピオンのボロノフは144.03(73.59/70.44)、総合217.61で3位。
 ボロノフは、6分間練習での出来事でひどく動揺してしまったという。
「あのアクシデントの後に滑るのはかなりきつかったです」25歳のボロノフは語った。「僕の目の前で起こったんですから。頭から追い払うことができなかった。フリーではほとんどのエレメンツがうまくいったものの、2本目の4Tをとりやめるなど、いくつか変更した箇所があったんです」

 22歳の町田のフリーはストラビンスキーの「火の鳥」。3Aに続いて3Lz3Tをきめ、ほかに4つの3回転に成功。4Tでは転倒したが、よく練り上げられた、見ていて楽しいプログラムを披露した。フリーで153.44 (76.66/77.78)、総合236.92をマークして、表彰台のトップに立った。
「金メダルを取れてとてもうれしいですが、演技の内容は悪かったです。もっとよくしていかないと」と町田は語った。
「ソチでのグランプリ・ファイナルに出られるチャンスをもらえて、驚いています。ファイナルまで1か月あるので、それまでに向上できたらと思っています」
 スケート・アメリカで3位、中国杯で1位となった町田は、グランプリのスタンディングの首位に立ち、ファイナル進出をほぼ確実にした。

 ショートで1位だった高橋は最終滑走。フリーで2本の4回転にチャレンジしたが、1本目はダウングレード、2本目も回転不足とみなされた。現世界銀メダリストの高橋は、その後立て直し、3Aを含む4つの3回転をクリーンにきめたが、回転不足となった3Loで失敗。スピン3つとステップですべてレベル4をとり、146.96 (65.30/82.66)をマークしたが、町田には及ばず、総合231.75で2位に終わった。
「ひどい演技をしてしまいました」26歳の現日本チャンピオンの高橋は言った。「もっと練習しなきゃだめですね。NHK杯まであまり時間もありませんし」
「いくつも問題を抱えていたし、練習もうまくいっていなかったので神経質になっていたんです。自信を失っていました。練習のときから、ふだんの自分ではなかったですね。次はもっといい演技ができればと思っています」

 カナダのケビン・レイノルズは4Sを着氷し、3つの3回転をクリーンにきめたが、3A-3Tの着氷が乱れ、2Fで転倒。総合202.07で5位だった。

 フランスのブライアン・ジュベールは、午前の練習中に棄権を決めた。理由は腹痛と発熱だという。
「先週の日曜日に出たニース杯のEX後から、具合がおかしくなったんだ」現フランス・チャンピオンのジュベールはそう言った。「ニースで風邪を引いてしまい、その後(中国杯に来る)空港でも機内でも最悪だった」
 ジュベールのコーチ、アニック・デュモンによると、ジュベールは機内で3度も気を失っていたという。
「状態が上向くといいなと思っていたんだけど、ショートの出来は悲惨だった。これ以上続ける意味がなかったんだ」とジュベールは語った。「原因はまったくわからない。2年前も同じことがあって、回復まで3週間かかったんだ」
 ジュベールは急きょ飛行機を変更して、日曜日の午前中に中国を発つ。故郷ポワチエに帰って医師に見てもらう予定だという。

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 ナンソンくんとリッポンくんの衝突は、動画もあがっていますが、本当に怖かったですね!
診断は脳震盪とむちうちだそう。その後、深夜にナンソンくんが微博で「何が起きたのか覚えていない。誰か教えてほしい」というようなことをつぶやいていたので、すごく心配だったのですが、幸い次の日には中国杯のバンケットに出られるほと快復したようです。首にコルセットを巻いた痛々しい姿ではありますが。


おなじみの@love_chinaさんのつぶやきによると、このバンケの席上でリッポンくんがナンソンくんに謝罪したそうです。地元選手を負傷させることになってしまったリッポンくんにも、ずいぶん辛い試合になってしまいましたが、あたたかい雰囲気だったようでちょっと安心しました。ただ、ナンソンくん、次のフランス大会出場はかなり微妙かもしれませんね…。一刻も早く快復しますように!

そして…町田くんの優勝は本当におめでたい!ショートもフリーも見事な演技でした!本当に強くなりましたね!…なのですが、気になったのは高橋くんの状態。いったいどうしちゃったの!?

このことについて、ロシアのsport-expressというサイトの記事で、セルゲイ・ボロノフくんがひと言だけですが、こんなコメントをしています。ロシア語から英語への機械翻訳なので、正確でないところもあるかと思いますが、ナンソンくんや町田くんについてのコメントも含め、ざっと取り出してみました。
 (元記事→http://news.sport-express.ru/2012-11-03/545835/

ナン・ソンとリッポンの衝突時にはものすごい音がして、気分が悪くなるほどだった。素早く自分がやるべきことを考えなくてはならなかったけど、とても怖かった。
―でもナンを助け起こしに行ったんですね?
ほかに何ができる?あんな状況ではどの国の選手であろうと関係ない。それとも、素通りしてクワドやアクセルのことを考えるべきだったとでも?
―高橋大輔とは一緒に練習していますが、あんな結果になると予測していましたか?
いいえ、練習しているときはとても安定しているように見えていた。おそらく演技の前にスケート靴を変えたせいではないか。
―町田樹の優勝は意外でしたか?
おそらく、いいえ。僕はこの選手をずっと見ていたけど、彼のジャンプが好きだ。ジャンプ技術を持った選手だ。

…心なしか大輔さん、ショートもフリーもちょっと滑りにくそうかなあという気がしたのですが、やはり靴問題、なのでしょうか?ううっ、靴の問題というのは本当にやっかいだよなあ(;_;) でも、靴だけが問題ならかえって希望がもてるかも。次のNHK杯まで時間がありませんが、しっかり立て直してこれますように!! 祈!!!

JUGEMテーマ:フィギュアスケート
カテゴリ:町田樹 | 07:56 | comments(6) | trackbacks(0) | - | - |
カートとPJのポッドキャスト「中国杯」から〜高橋と男子フィギュアのこと
カート・ブラウニングの発案で、カナダのTV局CBCが開設したポッドキャスト。第1回目の前回は「スケート・アメリカふりかえり」でしたが、その第2回目「中国杯ふりかえり」がアップされました。(スケート・カナダについてのお話も期待していたんですけどねえ、なぜか飛ばされてしまいました…)

今回はカートとPJ・クウォンに加えて、元カナダ人選手で、現在CBCの解説をつとめているトレイシー・ウィルソンも参加して、中国杯についていろいろとぶっちゃけトークを展開しています。
といっても…前半の話の大半は男子について。というか、高橋大輔とパトリック・チャンについて、なんですけどねっ。

で、前回無謀にも聞き取りにチャンレジしてしまいましたが、今回もしょうこりもなくトライしてしまいました。ただし、0:00〜7:58のみで、その中のパトリックに関する部分ははしょってしまっています。
あくまでも私が聞き取れた範囲です。抜け、誤り…その他もろもろあると思いますので、そのつもりで読んでいただけましたら幸いです!!  (もし間違いを発見されたらご指摘いただけると助かりますーm(__)m)

ポッドキャストへのリンクはこちら→CBCSKATE After Show - Cup of China




「カート、PJ、トレイシー、2012年中国杯を語る」
(2012年11月3日)

カート:今回はPJ・クウォンに、トレイシー・ウィルソンも一緒だよ。今日のテーマは中国杯。とてもおもしろい大会だったね。まず高橋大輔だ。元世界チャンピオン。でもこの中国杯ではチャンピオンではなかったね。

トレイシー:カートが一番がっかりしたのは、たぶんこうね。あなたは9月のJOで彼の演技を見て、音楽とあまりコネクトしていない気がしたって言ってたわよね。私はJOを見ていないけど、同意せざるをえないわ。(今回は)音楽が彼をちょっと圧倒しているように感じたもの。大輔にそんな風に感じることはめったにないのに。

カ:そうなんだ。で、よく考えるんだけど、プログラムについてすばらしいアイデアを持っているスケーターでも、オリンピックの前の年にはそうでもないことって、あるよね?

ト:この中国杯での演技がうまくいかなかったのは、冒頭の2本のクワドが失敗したせいだけだったと思う?ダウングレードで両足着氷だったわよね。PJ、そのせいで彼は出鼻をくじかれたのかしら?

PJ:それもある思うわ。でもそれ以外に、彼のプログラムにはいつも何らかのキャラクターを感じるわよね。でも今回は、私が見たいと思っていたものが見えなかった。期待していたからちょっとがっかりしてしまったんだと思う。でも彼はゴージャスなスケーターよ。きっと戻ってくるわ。

カ:うん、その点は心配してない。必ず戻ってくるよ。僕は彼のファンだけど、彼のプレイボーイ的な(flirtatious)スケートが大好きなんだ。観客といちゃいちゃするだけじゃない、氷とも、音楽ともいちゃいちゃするっていう意味でね。大好きなスケーターのひとりだよ。

ト:でも私には大きな心配があるの。今日のフリーで見せたクワド…練習でもクワドが安定していなかったわよね。これまでパトリック・チャン、羽生結弦、フェルナンデス、小塚崇彦らがクワドをたやすく跳んでいるのを見てきたでしょ。比べた場合、大輔は相当苦労するんじゃないかと思ってしまうわ。

カ:つまり、君が大好きなスケーターの演技を見ていて、あと0.5インチ、ジャンプの高さがあればと…

ト:その0.5インチが大変なのよ!

カ:ソファーに座りながら、彼にそれをあげたいと必死になってるわけだね。

PJ:(笑)

カ:このポッドキャスト、クレージーになってきたぞ(笑)。

PJ:でもね、真面目な話、確かにジャンプのこともあるけれど、私は自分の記憶に残るものも求めているの。率直に言うと…彼の演技からそう時間が経っていない今でさえ、彼が何を滑ったかよく覚えていないのよ。

カ:いい指摘だね…。よし、じゃあパトリック・チャン。僕らも、スケート界も、彼にはすごく注目している。なぜなら世界選手権二連覇の彼が、今いきづまっているからだ。

(ここでしばらくチャンについて。シーズン初めによくなかったからといって、判断を急ぐべきじゃない。いつもカナダ選手権に向けて調子を上げてくるし、アスリートも人間だ…といった話)

カ:では、前回言ったように、寄せられた質問に答えていこう。

PJ:チャットで寄せられた質問よ。「トレイシーとカートに聞きたい。世界選手権でチャンにとって最も脅威になるのは誰ですか?」

カ:およそ1時間前までは高橋大輔だと思っていたけど…。まだ今でもJOで見た印象が強いんだ。わあ、クワドがすごくよくなってるじゃないか、って思った。ひとつの試合だけでは判断できないけどね。

ト:もちろん、経験豊かな高橋大輔は候補のひとりよ。それとショートで世界最高点を出した羽生結弦。あの演技を見てしまったらね。そしてクワドを成功させ、フリーに入れてきた小塚崇彦

カ:それと、セニョール・フェルナンデスだね?

ト:2種のクワドを持つハビエル・フェルナンデス。フリーでは3本予定していた。スケカナでは最初のクワド失敗を忘れさせるリカバリーをしたわ。だからエキサイティングよね。候補はひとりじゃない、たくさんいるわ。あなたもそう思う?

カ:うん、でも質問者は1人にしぼってほしいんだろう?僕の一押しは羽生。なぜなら、好調なときの彼はものすごいから。君もそう思う?

ト:もちろん彼は…彼は…候補のひとりよ。

一同:(笑)

カ:ツイッターからのコメントで、「タツキもタカヒコもハビエルも、去年の(世界選手権の)メダリストを破って優勝している」というのがあった。おもしろいコメントだ。

PJ:健全よね。フィギュアスケートにとってはすばらしいことよ。メダリストたちにとったらすばらしくないでしょうけど(笑)。

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 た、高橋くんへのご指摘が手厳しい…。こういうこと、日本のメディアでおおっぴらに言う人いないから、ものすごく新鮮ですね。まあ、期待値がすごく高いからこそこういう発言になるんでしょうね。(トレイシーさんなんて、かなりの大輔ファンみたいですし!)

これからロステレ、TEB、NHKと、ますます熾烈になっていく男子フィギュア。今後のポッドキャストでどんなお話が展開されるのでしょうか…ゴクリ。

JUGEMテーマ:フィギュアスケート 
カテゴリ:2012-13シーズン | 09:23 | comments(4) | trackbacks(0) | - | - |
遅ればせながら…ロステレ男子フリー Tony Wheelerのブログより (+動画)
ここのところ更新さぼってばかりで、訪れてくださった方にはほんとうに申し訳ありません…。
GPS第4戦ロステレコム杯もとっくに終わり、選手も帰国し始めて、今さら感満載なんですが、アメリカ人ブロガーのトニー・ウィーラー氏のブログから、男子フリーについての記事です。

このウィーラー氏、ジャーナリストでも評論家でもない、ただの一般人スケオタなのですが、言いたいことバンバン書く辛口ブロガーとして以前からフィギュアファンには有名な人。好みとしてはスケーティングスキル重視派で、小塚くんの大ファンとしてもおなじみです。
で、じつは私もSS大好き派なので彼の記事には共感することが多く、今回も個人的に深くうなずくことばかり…。フリーの動画とともに紹介させていただこうと思います。ただし、一部ほんとに辛口です!各選手のファンの方はどうかそのおつもりで…。

 元記事はこちら→Rostelecom Cup - Mens Free Skate by Tony Wheeler


「ロステレコム杯 男子フリー」

パトリック・チャンはとにかくすごかった。彼に対する好き嫌いはあるにせよ。
僕の意見では、ショートはPCSの面でもっと高得点が出てもよかったぐらいだ。クリーンな演技であろうとなかろうと、あのショートは傑作だし、この大会で目にしたほかの多くのプログラムとは比較にならないほど複雑で、ジャンプ間のつなぎの動きがぎっしりつまったプログラムだった。
フリーのほうは、僕はまだそれほど入れ込むまでには至っていないが、これも同じ傾向のプログラムだ。今年のチャンは、顔の表情や音楽の世界を理解するという点で、とても真剣に取り組んでいる。彼が滑っているときに耳を澄ませてみると、エッジを動かすたびにたえずカリカリと氷を削る音がしていることに気づくはずだ。エッジは深く、力強く、ほとんど瞬時にスピードに乗る。何度かジャンプが2回転になってしまう場面はあったが、これまでの2試合【ジャパン・オープンとスケート・カナダ】よりはるかにいい演技だった。
僕は彼の熱心なファンというわけではないが、彼がプログラムの中で自分をとても向上させようとしていること、そしてほかの多くの選手を大きくリードしていることに、僕は尊敬の念をいだいている。



小塚崇彦
はとても正統的な動きをする選手である。彼の演技について書くたびに言っていることだが、彼のスケートは本当に1日中見ていられるぐらい好きだ。
フリーの冒頭で2本のクワドに挑んだのは立派だったが、この日は2本ともミスをしてしまったことで、プログラムの残りの動きがやや生気がなく、重たいものになってしまったようだ。彼の振付はいつ見ても楽しいけれど、最初の試合【スケート・アメリカ】の時のほうがずっとプログラムに入り込んでいた気がする。
アメリカの放送の解説者が、彼の父親は1968年のオリンピックに出場したフィギュア選手だった、と言っていたが、これ、知っていた人はいるのかな?僕は初耳だったと思う。
ともあれ、これで彼とチャンがグランプリ・ファイナルへの切符を手にして、町田樹を含め3人の出場が決まった。



ミハル・ブレジナは今年、クワドに苦労しているものの、それでもなお、今まで僕が見た中で最も美しいトリプルアクセルを跳ぶ選手のひとりだ。フリーの「アンタッチャブルズ」を去年から持ち越したことに僕はもともと感心していなかったが、ショートの惨状に比べたらはるかにましだった。(僕がこのショートをどれほど嫌いかは、PCSに関する記事を見てもらえばわかるだろう)【→こちら
スピンにはまだ改良が必要だが、少しずつよくなっている気がする。スケート・アメリカの記事【→こちら】で書いたが、僕が彼のコーチならスピンは全て、音楽のスローパートに入れるだろう。このフリーの後半のジャンプ要素で、彼はスタミナを使い果たしてしまい、その後のスピンとステップがやや生気に欠けるものになってしまった。
2本の4Sをしっかりまとめることさえできたら(いや、どちらか1本でもいい)、高得点をたたきだせるだろう。ただ、今の時点では、彼のPCSはやはりかなり甘目だと思う。


 
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カテゴリ:2012-13シーズン | 18:23 | comments(10) | trackbacks(0) | - | - |
カートとPJのポッドキャスト「エリボン」から〜アボット、無良、リプニツカヤ、ワグナーなど
いつもながら更新とどこおりまくりです。うう、仕事が遅い上にいろいろ時間がとれなくて…ううっ。

そういうわけで、もうNHK杯まぎわという頃に申し訳ないですが、カナダCBC主催のフィギュアスケート・ポッドキャストの第4回「GPSエリック・ボンバール杯ふりかえり」です。
今回もPJ・クウォンとトレイシー・ウィルソンをゲストに迎えて、縦横無尽にいろんな話を展開しています。

最初におことわりしておきますが…すみません、今回は細かいところは省いてしまいました!&私がおもしろいと思った箇所(そして聞き取れた箇所…涙)だけをご紹介しています。それと、今回トレイシーさんの声がちょっとハスキーでPJさんの声と似ていたため、混同しているところもあるかもしれませんが、なにとぞご容赦を…。

ポッドキャストへのリンクはこちら→CBCSKATE After SCBCSKATE After Show - Grand Prix of France



「カート、PJ、トレイシー、2012年エリボンを語る」
(2012年11月18日)

K:今回はGPSエリック・ボンバールをふりかえるポッドキャスト。僕は「フランス杯」という名前のほうが好きなんだけどね。

(中略 4:30までペアのデュアメル&ラドフォード組の話)

K:さて、ジェレミー・アボット。試合には負けたけど男子で一番のハイライトだった。少なくともトレイシーと僕はそう感じたよね。彼はまだポテンシャルを試合でフルに生かせていないスケーターのひとりだと思う。いいやつだし、僕は彼がその瞬間を迎えるのを待ってるんだけど、問題はクワドなんだよね。彼自身、今大会ではクワドを入れないと言っていたのに、結局戻してしまった。結果といえば、フリーで跳んだクワドで転倒して、ショートで2位との間につけていた5点もの差をふいにしてしまった。無良ジュベールを意識したのかどうかわからないけど、リスクを犯してクワドを入れたせいで、3点差で金メダルを逃してしまったんだ。ううっ!



T:ショートの後、彼は言ってたのよね。「じつはスケート・アメリカ以来クワドは着氷していないんだ」って。スケアメって8月よ!最終的には跳ぶ必要があるから入れたんでしょうけど、体調に問題があったのになぜ無理にクワドを入れたのかしら。

PJ:ジャーナリストのリン・ラザフォードがツイッターで言っていたわね。「基礎点の高いクワドなしで勝つのは難しい。無良のクワドは12.01、一方ジェレミーのは2.2だった」って。約10点もの差よ。

T:もしアボットがクワドを抜いて、今自分にできることをやれば優勝できていたかもしれないわね。でも、(無良)崇人についてはひとこと言わなくっちゃ。驚くべきスケートだったわ。TV放送でも話したわよね、選手の中には氷上に立ってポーズをとって、とても冷静にエネルギーを抑えながら滑る人もいるけど、彼はそうじゃない。力をぬいてエネルギーを抑えたりなんかしないの。プログラムの最初から最後まで攻めていたわ。彼にとって画期的なすばらしい演技だった。彼にも賛辞を送りたいわ。

K:無良にはそれができるチャンスがあまりないしね。日本選手は国際試合で力を発揮するチャンスがあれば、そのチャンスをフルに生かさなくてはならない。国内の競争がとても激しいからね。



T:アボットはクワドを跳べないとわかっていたのに、なぜクワドを入れたのかしら?

K:単純に言ってしまえば、「クワドなしのスケーター」と思われたくなかったのかもしれない。自分では着氷できる可能性を感じていたのかも。実際過去には跳んでいたんだしね。彼は最前線の選手のリストに残っていたかったのかもしれない。それによって、プログラムの残りの部分をだめにするリスクがあっても。

T:佐藤有香振付による、とても、とても美しいプログラムよね。

PJ:もうひとつ考えられるのは、彼はたとえここで優勝しても、ファイナルには行けないのよね。それなら失うものは何もないわ。

K:そう、そういった個人的な感情かもしれない。それかその両方か。…じゃあ、戦略の話をしよう。クワドを跳ぶべきか否か。PJが得点の話をしたよね。ジェレミーのフリーは、フィギュアスケートに精通している人が大喜びするように作られたプログラムなんだ。最後のトリプルサルコウの入りなんて、とても難しいんだよ。そんなところに難しい入りのサルコウを入れてどれだけ得になる?リスクに比べると得点的なメリットは少ないんだよ。でも、それはとても美しい瞬間なんだ。トリプルアクセルからステップを挟んですぐもう一度アクセルを跳ぶところもある。このフリーには地雷がたくさんあるんだよね。僕はこのプログラムが大好きだし、それをやろうという彼のガッツも大好きさ。もし彼がこのプログラムを完璧にやりおおせたら、この先ずっと酒をおごってもいいぐらいだ(笑)。

T:戦略という話でいえば、たとえばフローラン・アモディオ。振付師のモロゾフの戦略で、プログラムのある部分まで来ると、スローダウンして息をととのえるの。力を回復してから、残りの3回転をすばやく跳んでいくのよね。でも、そのジャンプはステップと連動していなくて、ただ滑っては跳び、滑っては跳びなの。一方アボットは、ジャンプの前後にとても複雑なステップがついている。パトリック・チャン高橋大輔ならこのことが得点にはねかえってくるけれど、アボットはジャンプミスのせいで今はまだあまり評価されてないのよね。

K:でも、それをやる価値はあるよ。

PJ:私もそう思うわ。

K:勝ちをねらいに行くっていう点では賢いとは言えないけど、スケートファンとしては、ジェレミー・アボット、君はすばらしいよ。
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カテゴリ:2012-13シーズン | 12:48 | comments(2) | trackbacks(0) | - | - |
2012年NHK杯 男女SP結果+動画
2012年NHK杯、アイスダンスと男子、女子のSPが終わりました!すみません、いまだ勉強中のダンスはまた改めてということで、とりあえず男女の結果だけ。それぞれ上位3人の動画だけ貼らせていただきます。


男子SPプロトコル→こちら







 トップ3人はみんな、すばらしい演技でした。さくっと感想のみ。

スケアメの神演技はもしかしてちょっぴりまぐれかも、とか思ってしまっていた羽生くん、本当にごめんなさい。あなたは正真正銘のスタースケーターでしたね。完璧ジャンプに加えてスピン、ステップすべてに余裕があって、スケアメの得点からするともっと点が出てもいいと感じるくらいでした。(ん?もう感覚おかしくなってますかね?w)このプロ、最初は身の丈に合わないというか、振付けのジェフのテイストと違うんじゃないかという印象があったけど、完全に「ゆづるの散歩道」。プロをどんどん進化・深化させていける力はものすごいものがあるよなあ。

高橋くん、プロの前半の振付をフレンズ・オン・アイスの時のオリジナル・バージョンに少し戻して、ねっとりしたグルーブが戻ってきた気がします。正直、やりにくい曲だろうなあと思うけれど、強引にねじふせてしまうのはもうさすがとしか言いようがないです。

ハビくん、いやもう、演技を見るたびにどんどん洗練されていく気がします。最初の4回転の美しいこと。率直に言うと、もっと点が出てもいいと思いました。ぶっちゃけ、これがN杯でなければ2位だったんじゃないかという気がします。(←あくまで私の感覚です。あしからず!)トップ3で唯一アウェー、そしてキスクラに1人で座らされながらも、羽生くんの演技後に拍手を送っていたのがとっても印象的でした。優しい人は強いです。



女子SPプロトコル→こちら







 真央さんのステップの躍動感、ハンパなかったですね。今季のフリーの「白鳥の湖」も、EX「メリー・ポピンズ」もそうですが、バレエだったりミュージカルだったりという作品を、たった1人で演じて見せてしまう力がここまであったとは!このSP、あまりキュートなので「ジュニアっぽい」という意見もあるようですが、いやいや、ジュニアにはこの演技はできませんよねぇ。正直、多少点は出過ぎかなあという気がしないでもないですが、納得の1位でした。

大人っぽくなった未来ちゃん、可憐だけど確かな技術と芯の強さが感じられるジジュンちゃん。ふたりもすばらしかった。特に未来ちゃんの復活はうれしい。

でもね、明子ちゃん…スケカナでも点が抑えられ気味でしたけど、ホームの日本でもそうなんですね。SP「キルビル」、どうもジャッジにウケがよくないのでしょうか?ルッツが1回転になったのは確かに大きなミスだけど…。まあ、2位までそれほど点差はないので、フリーで十分追い上げ可能だと思うのですが。

……というわけで、大好きな選手たちがそれぞれ極上の演技を披露してくれたというのに、なんだか悲喜こもごもで、やるせないというか、どっと疲れてしまった男女SPでした。あああ、フィギュアスケートってフクザツ…。

JUGEMテーマ:フィギュアスケート
カテゴリ:2012-13シーズン | 02:20 | comments(4) | trackbacks(0) | - | - |
カートとPJのポッドキャスト「NHK杯」から鈴木明子&羽生結弦&浅田真央の話
ここのところ、ちょっと私用で遠出してまして、いつも以上に更新が遅れてしまいました。いつも同じことばかり言って恐縮ですが、せっかく訪れてくださった方にはほんとにすみません…。

さて、すっかりおなじみのカナダCBCの「Aftershow Podcast」。
第5回目となる今回は「NHK杯ふりかえり」です。今回、トレイシー・ウィルソンさんはお休みで、カート・ブラウニングとPJ・クウォンさんの2人だけです。
待ってました!と言いたいところですが、今回は女子の結果について、やはりちょっと突っ込んだやりとりが展開されていました…。この中から、明子ちゃん、羽生くん、真央ちゃんについて話している01:50~10:00の部分だけご紹介したいと思います。このあともまだまだ白熱した議論が続いていくので、本当は最後まで訳せたらよかったのですが、今回も10分ほどで力つきてしまいました…涙。
(例によって、細かいところ、聞き取れなかったところは少し抜いたり省いたりしています。もし誤りなど発見されましたら教えていただけたらありがたいですm(__)m)

ポッドキャストへのリンクは→こちら

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「カートとPJ、2012年NHK杯を語る」

K:さて今週だ。日本で行われたNHK杯で、君が一番好きな瞬間はどの瞬間だった?

PJ:鈴木明子ね。私はあのフリーが大好き。彼女の良さを十分に発揮させるプログラムだと思う。彼女は時々ほかの選手の影に隠れてしまうのよね。もちろんワールドメダリストではあるけれど、目立つ演技をする選手や、華やかなキャリアの選手に比べたら…

K:14歳で、新鮮な選手とかね。

PJ:そのとおりよ。



K:明子は27歳。だけど僕にとっては新鮮だ。

PJ:でも時々忘れられてしまうことがあるの――ところで、彼女のフリーの衣装はとても素敵だった。あの衣装、本当に大好き。

K:だよね。

PJ:ほんとにゴージャスよね――でも、パスカーレ・カメレンゴがすばらしい仕事をして、彼女の長所を強調するプログラムをつくりあげた。

K:アイスダンスの振付師として有名な人だよね。

PJ:シングル選手ともすばらしい仕事をしているわ。特にフリーの後半、彼女は勢いにあふれ、スピードに乗っていた。そして喜びにみちた強さがあった。それが私にとって一番の瞬間だったわ。

K:もし彼女のフリーをまだ見てない人がいたらyoutubeとかにあると思うよ。そう、とても美しい瞬間だったね。彼女があそこで示したのは、大げさに腕を振り回したりしなくてもいいということ。僕は「身ぶりのための身ぶり」というのが嫌いなんだ。ジャッジにアピールするために腕を振り回す選手も多いけどね。

PJ:そうね。

K:彼女の動きの高潔さ、落ち着きが僕は好きだ。最初の10秒と最後の10秒がすばらしいブックエンドなんだ。振付の明瞭さがすばらしく美しい。ここでちょっと興味深いことがある。このフリーはあまりにもすばらしいから、全体の3分の2あたりで明子は仕事モードになるんだよね。ジャンプに集中していくんだ。プログラム後半のジャンプは得点が1.1倍になった。だから今季は、スピンをふたつ続けて、少し休んでから後半のジャンプに取りかかるっていうのがトレンドになっている。賢い作戦なんだけど、この後半のジャンプのときに、彼女はほんの少しプログラムとのコンタクトを失ってしまうんだ。文句をつけるほどじゃないんだけど、あれほど見事な演技を見せられると、振付とのコンタクトがもろくも消えてしまうのが見えてしまうんだ。でも、その後またコンタクトをちゃんと取り戻すけどね。

PJ:もうひとつ、彼女についてちょっと不満を感じるのは、試合での不安定さなの。スケートカナダでもNHK杯でも、ショートは5位だった。何やってるの?て感じよ。ショートが5位だったせいで…

K:今回も優勝を逃したよね。

PJ:そうよ。どちらもフリーは1位だったのに。

(4:24〜4:46 中略)

K:じゃあ、手短かに僕の一番好きだった瞬間、行こうか。そのあとでまた明子の話に戻ろう。僕の瞬間は羽生結弦。それは彼が勝った時ではなく、彼が転んだ瞬間なんだ。

PJ:なんだかわかった気がするわ。



K:彼はスピンでよろめいた。疲れていたんだね。彼は感情的になりやすい数日間を過ごしていたから。故郷の仙台に戻っていた。震災の日、彼はリンクにいて、揺れの中恐怖を感じながら四つん這いでリンクから這い出した、その仙台に戻ってきて、優勝した。驚くべき瞬間は、彼のバッテリーが切れかかっていた終盤にやってきた。ジャンプで転んでから、フライングスピンでよろめいた。なんとかエッジはつかんだものの、立ち直るパワーは残っていない。そっと手をついたあと、静かに転倒してしまった。そこから、ものすごく素敵な笑顔(the sweetest smile)を浮かべながら立ち上がったんだ。カメラが狙っていたのかどうかわからないが、その顔がアップでカメラに抜かれた。その時、思ったんだ。「ここにスポーツがある」って。

PJ:なるほど。

K:それはふくれっ面じゃかった。ふくれっ面をすることもあるよ。彼は転倒すると演技に戻るまで長い時間がかかることが多いんだ。でも今回はミスをしても演技をし続けた。転倒の影響をまったく引きづらなかったせいで、見る者がこのプログラムを愛し続けることができたんだ。あそこにいた子供たちにはものすごくいい勉強になったと思うよ。僕は一緒にショーに出る子供たちに必ず言うことがある。地元の子たちは、スポットライトを浴びて世界チャンピオンなんかと滑るのは初めてだから、緊張しまくって、ああ転んじゃったってなってしまう。それで僕は言うんだ。君がリンクで必要としているものは衣装と笑顔だけだよって。

PJ:そうね。

カ:やるべきことをやろうって。だからそう、それが僕の一番好きな瞬間だった。とてもいい教訓を与えるものだったし、僕が彼のファンであり続けることができるようにしてくれた。よくやったよ。


羽生くんについてのカートの話だけ抜いた動画がありました。the sweetest smileというセリフを、ばっちり羽生くんのスローモーションに合わせてあるという芸の細かさ。ううむ、スローで見るとよけいsweetですねえ。
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カテゴリ:2012-13シーズン | 12:48 | comments(15) | trackbacks(1) | - | - |
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