波乱万丈の中国杯男子は、優勝候補とは目されていなかった
町田樹が
高橋大輔を破るという驚きの結果となり、日本選手のワンツーフィニッシュで終わった。ロシアのセルゲイ・ボロノフが銅メダル。
第2グループの6分間練習が始まってまだ1分も経たない頃、アメリカの
アダム・リッポンと中国の
ナン・ソンが正面衝突した。リッポンはすぐに立ち上がったが、ソンは立ち上がれない。彼は頭をおさえて氷の上にうずくまり、ほかの選手が気づくまで長い時間がかかったように見えた。ボロノフがかけよって助け起こそうとしてから、ようやくレフリーが笛を吹き、練習を止めさせた。
「たしか、方向転換してジャンプに入ろうとした時に、ナン・ソンも僕もお互いに気づいたんだと思います」リッポンは後からそう振り返った。「2人ともお互いを避けようとしましたが、同じ方向に行ってしまい、正面衝突してしまったんです」
「助け起こそうとしたんですが、彼がふり払ったため、練習を続けることにしました。彼がひどく痛んでいることは誰の目にも明らかでした。その後、僕にできることは自分がやるべきことに集中することだけだったんです」
ソンはスタッフに抱きかかえられてリンクを去り、ほかの4選手もいったんリンクを出た。数分後、練習は再開されたが、ソンは病院へ搬送され、脳震盪と診断された。中国の連盟関係者によると、その後ソンの状態はよくなりつつあるが、その夜は経過をみるため病院にとどまったという。
この出来事のあと、
リッポンは第2グループの一番手として滑ることになった。
曲は「ジ・インクレディブルズ」。冒頭の3Aが1回転になってしまったが、3Sと3Loを着氷し、後半の3Aも成功した。その後2つの3回転の後、ダウングレードされた3Lzでステップアウト。フリー4位となる133.67(技術点61.81/構成点71.86)で、総合205.48で4位となった。
22歳のリッポンは、6分間練習でのアクシデントが演技に影響したと思う、と語った。「僕は、ひとつひとつの経験からたくさんのものを学んでいっていると思います。(新コーチの)ラファエル(・アルトゥニアン)と望む初めての試合だったし、対応しなくてはならないこともたくさんありました。アメリカに帰って、NHK杯に備えて練習を積みたいと思います」
次は
ボロノフ。「ロミオとジュリエット」の最初の4Tに成功。その後も6つの3回転とレベル3を獲得したスピンとステップをきめた。元ロシア・チャンピオンのボロノフは144.03(73.59/70.44)、総合217.61で3位。
ボロノフは、6分間練習での出来事でひどく動揺してしまったという。
「あのアクシデントの後に滑るのはかなりきつかったです」25歳のボロノフは語った。「僕の目の前で起こったんですから。頭から追い払うことができなかった。フリーではほとんどのエレメンツがうまくいったものの、2本目の4Tをとりやめるなど、いくつか変更した箇所があったんです」
22歳の
町田のフリーはストラビンスキーの「火の鳥」。3Aに続いて3Lz3Tをきめ、ほかに4つの3回転に成功。4Tでは転倒したが、よく練り上げられた、見ていて楽しいプログラムを披露した。フリーで153.44 (76.66/77.78)、総合236.92をマークして、表彰台のトップに立った。
「金メダルを取れてとてもうれしいですが、演技の内容は悪かったです。もっとよくしていかないと」と町田は語った。
「ソチでのグランプリ・ファイナルに出られるチャンスをもらえて、驚いています。ファイナルまで1か月あるので、それまでに向上できたらと思っています」
スケート・アメリカで3位、中国杯で1位となった町田は、グランプリのスタンディングの首位に立ち、ファイナル進出をほぼ確実にした。
ショートで1位だった
高橋は最終滑走。フリーで2本の4回転にチャレンジしたが、1本目はダウングレード、2本目も回転不足とみなされた。現世界銀メダリストの高橋は、その後立て直し、3Aを含む4つの3回転をクリーンにきめたが、回転不足となった3Loで失敗。スピン3つとステップですべてレベル4をとり、146.96 (65.30/82.66)をマークしたが、町田には及ばず、総合231.75で2位に終わった。
「ひどい演技をしてしまいました」26歳の現日本チャンピオンの高橋は言った。「もっと練習しなきゃだめですね。NHK杯まであまり時間もありませんし」
「いくつも問題を抱えていたし、練習もうまくいっていなかったので神経質になっていたんです。自信を失っていました。練習のときから、ふだんの自分ではなかったですね。次はもっといい演技ができればと思っています」
カナダの
ケビン・レイノルズは4Sを着氷し、3つの3回転をクリーンにきめたが、3A-3Tの着氷が乱れ、2Fで転倒。総合202.07で5位だった。
フランスの
ブライアン・ジュベールは、午前の練習中に棄権を決めた。理由は腹痛と発熱だという。
「先週の日曜日に出たニース杯のEX後から、具合がおかしくなったんだ」現フランス・チャンピオンのジュベールはそう言った。「ニースで風邪を引いてしまい、その後(中国杯に来る)空港でも機内でも最悪だった」
ジュベールのコーチ、アニック・デュモンによると、ジュベールは機内で3度も気を失っていたという。
「状態が上向くといいなと思っていたんだけど、ショートの出来は悲惨だった。これ以上続ける意味がなかったんだ」とジュベールは語った。「原因はまったくわからない。2年前も同じことがあって、回復まで3週間かかったんだ」
ジュベールは急きょ飛行機を変更して、日曜日の午前中に中国を発つ。故郷ポワチエに帰って医師に見てもらう予定だという。
++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++ ナンソンくんとリッポンくんの衝突は、
動画もあがっていますが、本当に怖かったですね!
診断は脳震盪とむちうちだそう。その後、深夜にナンソンくんが微博で「何が起きたのか覚えていない。誰か教えてほしい」というようなことをつぶやいていたので、すごく心配だったのですが、幸い次の日には中国杯のバンケットに出られるほと快復したようです。首にコルセットを巻いた痛々しい姿ではありますが。
おなじみの@love_chinaさんのつぶやきによると、このバンケの席上でリッポンくんがナンソンくんに謝罪したそうです。地元選手を負傷させることになってしまったリッポンくんにも、ずいぶん辛い試合になってしまいましたが、あたたかい雰囲気だったようでちょっと安心しました。ただ、ナンソンくん、次のフランス大会出場はかなり微妙かもしれませんね…。一刻も早く快復しますように!
そして…町田くんの優勝は本当におめでたい!ショートもフリーも見事な演技でした!本当に強くなりましたね!…なのですが、気になったのは高橋くんの状態。いったいどうしちゃったの!?
このことについて、ロシアのsport-expressというサイトの記事で、
セルゲイ・ボロノフくんがひと言だけですが、こんなコメントをしています。ロシア語から英語への機械翻訳なので、正確でないところもあるかと思いますが、ナンソンくんや町田くんについてのコメントも含め、ざっと取り出してみました。
(元記事→
http://news.sport-express.ru/2012-11-03/545835/)
ナン・ソンとリッポンの衝突時にはものすごい音がして、気分が悪くなるほどだった。素早く自分がやるべきことを考えなくてはならなかったけど、とても怖かった。―でもナンを助け起こしに行ったんですね?
ほかに何ができる?あんな状況ではどの国の選手であろうと関係ない。それとも、素通りしてクワドやアクセルのことを考えるべきだったとでも?―高橋大輔とは一緒に練習していますが、あんな結果になると予測していましたか?
いいえ、練習しているときはとても安定しているように見えていた。おそらく演技の前にスケート靴を変えたせいではないか。
―町田樹の優勝は意外でしたか?
おそらく、いいえ。僕はこの選手をずっと見ていたけど、彼のジャンプが好きだ。ジャンプ技術を持った選手だ。
…心なしか大輔さん、ショートもフリーもちょっと滑りにくそうかなあという気がしたのですが、やはり靴問題、なのでしょうか?ううっ、靴の問題というのは本当にやっかいだよなあ(;_;) でも、靴だけが問題ならかえって希望がもてるかも。次のNHK杯まで時間がありませんが、しっかり立て直してこれますように!! 祈!!!
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