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セクシーすぎる「カルメン」〜バーチュー&モイアFD
スケート・カナダで「カルメン対決」となった、金メダルのバーチュー&モイア組(カナダ)と銀メダルのカッペリーニ&ラノッテ組(イタリア)。前者のコーチがマリーナ・ズエワ、後者のコーチがそのズエワと喧嘩別れ(?)したイーゴリ・シュピリバンドということで、ずいぶん話題になっていました。

このバーチュー&モイア組の「カルメン」について、Rosie DiMannoさんというカナダ人コラムニストが記事を書いています。これがかなり、なんと言いますか、ちょっと悪ノリがすぎるというか、しかもカナダ至上主義な記事でして……まあそんな記事だと思って読んでいただけたら幸いかと思います。
 

「バーチュー&モイア、エロチックなフリーで金メダル獲得」


それはスコットとテッサのエロチカだった。

題して『愛のカルメン』。18禁のアイスダンス。大人のためのフィギュアスケート。
 
スタンダードな曲を、まったく新しく想像し直し、大胆に振付した、湯気がたつほどホットなバージョン。みごとに演じきったのは、大人の成熟を見せ始めている2人。もはやチャーミングな演技でバンクーバーの金メダルを取ってしまったかわいらしい2人ではない。
 
フィギュアスケートでさんざん使い古されてきた曲から、どうやって新機軸を引きだすことができるの? そう思っている方は、答えが見つかったことになる。そう、これが答えだ。
 
ドラマチックで、とても親密で、これみよがし。あからさまにセクシーに解釈された「カルメン」は、土曜日の夜のWFCUアリーナで、会場中をクライマックスにたたきこんだ。
 
観客は明らかにYoutubeに投稿された練習動画を見てきたらしい。テッサ・バーチューとスコット・モイアが最初のポーズをとると、音楽が始まる前から、期待にみちた口笛やかけ声が飛んだ。
 
それから数秒後、テッサがその手をスコットの股間のあたりに置いた。スコットが思わせぶりに指をテッサの内腿にはわせると、テッサはまるで何かを熱望するかのように背中をそらせ、ストリッパーのポールダンスさながらに下半身をくねらせた。
 
「セクシーだった? セクシーじゃなかった?」2人のコーチ兼振付師のマリーナ・ズエワは、演技後、記者たちに詰め寄った。「どんなことでもセクシーすぎるということはありえないわ。もちろんセクシーよ、だってこれはカルメンだもの」
 
それは、ボブ・フォッシー(『シカゴ』『スウィート・チャリティ』などのブロードウェイ・ミュージカルの演出家)が演出したらこうなっただろうというカルメンだった。フォッシーお得意の、腰を突きだしたり体をくねらせたりといった動きがいっぱいだった。
 
こんなカルメンは今までなかった。官能的な表現力と、うっとりするほどの技術力。実は、金メダルを獲得した驚異的なフリーの演技が終わってから表彰式までの間に、テッサはわきへ寄って、ちょっぴり吐いてしまったという。それほど肉体的にも気持ち的にも大きな負担がかかるプログラムだったのだ。
 
「そういう要素なくしてカルメンを滑ることはできないと思います」そう語るテッサの黒い衣装は、胸のカットがおへそのあたりまで大きく開いていた。「とても性的で、なまなましさもある。それを私たちは描き出そうとしています。動きのひとつひとつに意図があるんです」
 
そして、そうした動き――華々しく複雑なリフト、リスクをともなうフットワーク、最先端のスピンやツイズル。目もくらむほどのスピード。スコットの首に脚を巻きつけるテッサ。テッサの腹部に顔を押しつけるスコット。
 
使い古された動きはひとつもなく、すべてがスリルに満ち、スタイリッシュだ。
 
「明らかに、僕らのカルメンに対する解釈には性的な面があるね」とスコットは言う。「モダンダンスのダンサーや振付師とたっぷり練習をして、動きがより自然に見えるように努力した。僕らに訴えかけてくるプログラムなんだ」
 
もうひとつ、まるで異なった「カルメン」――こちらは一般向けバージョン――が、2人の演技の直前に演じられた。銀メダルを獲得したイタリアのナショナルチャンピオン、アナ・カッペリーニ&ルカ・ラノッテ組だ。だが、こちらのほうは対照的に生ぬるく、おもしろみに欠け――正直、味気ないものだった。
 
ショートダンスでは、驚くべきことにわずか0.01ポイント差だった両ペアだが、フリーではカナダペアがイタリアペアを大きく引き離した。ショートでは、スコットがリフトでもつれてしまい、テッサのスカートの中に顔を埋めてしまったのだ。(「うん、僕は毎日そんな目にあってるからね」スコットはふざけてそう言い、すかさずテッサに「氷の上でね」と言い返された)
 
フリーダンス 104.32  総合 169.41。
 
このショートとフリーをもってすれば、シーズン終わりまでに総合で200点越えできる自信がある、とズエワは言う。
 
「今年はすべてのエレメンツが新しく、とても難しくなっているわ」彼女は強いロシア語なまりの英語で語った。「リフトのポジションも、これまでにない変え方をしているの。2人はオリンピック・チャンピオン、ワールド・チャンピオンなのだから、この競技に新風を吹き込まなければならないもの」
 
今回のフリー演技中、テッサは一度、あきらかなミスをした。つまずいてしまい、何とか転倒せずに持ちこたえたのだ。だが、ズエワは一笑に付した。「ミスですって? ミスがなくて何ができると言うの?」

翻訳すれば、リスクを冒さなければ栄光はない、という意味だ。
確かに2人のリフトのいくつかは、アイスダンスでどこまでやれば許されるのかという境界線を挑発するものかもしれない。特に、テッサがスコットの腕の中に飛びこむリフトなどはそうだろう。
 
だが、ズエワはそんな心配もどこ吹く風だった。
 
「許される? だってカルメンだもの。許されるわよ」

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…では2組のフリーダンスの動画を。こちらはテサモエ。


Rosieさんお勧めの色っぽい出だしももちろん見どころですが、3:20 4:35あたりから終盤にかけての異様に迫力たっぷりの部分がすごいですね! テッサが鬼のような顔になってる…(^_^;) あまりにも激しい動きにちらほらミスが出ていますが、それでもなお、すさまじいものがあります。個人的にはこの2人、技術も踊りもバツグンだし、容姿端麗だし、完璧なんですが、なんとなくきれいすぎるなあ…という印象があったのですが、これは強烈。ズエワさんが言うように、リスクを冒して高みに昇ろうというガッツがひしひしと感じられますね。これ、完成形はすごいことになるでしょ!

そして、こちらがカペラノ。


解説者が、「バーチュー&モイア組と曲がかぶったのは偶然でしょうか?」と聞かれて、「うーん、なんとも言えないけど、みんながよく使う曲ですからね…」とお茶をにごしていますね。これもすごく素敵だと思うんですが、テッサたちの血気迫るプログラムに比べたら幼い感じはどうしても…。でも、ロマンチックさはこちらのほうがあると思うので、今後どんどん磨いていって、Rosie女史をぎゃふんと言わせてほしいです!
*動画が削除されていましたので新しいものと差し替えました。一部文章の内容と動画の演技が合っていない箇所がありますが、ご了承ください<(_ _)>

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カテゴリ:アイスダンス | 12:22 | comments(4) | trackbacks(0) | - | - |
コメント
興味深い記事の翻訳をありがとうございます。
やっちさんがソニア・ビアンゲティさん(元ISUにいらした方らしい)のブログを翻訳してくださっており、たらさんの記事と比較してみるとなかなか面白い。http://ameblo.jp/stain-love/entry-11396363675.html
いずれも技術はテサモエが上という評価ですが、芸術性についてはソニア・ビアンゲティさんはカペラノ、Rosieさんはrテサモエに軍配を上げており、全く逆。
芸術性の評価って、つまるところ好みってことですよね。

「秘すれば花」という言葉が示すように、日本人はあからさまなのは下品と感じ好まない人が多いような気がする。
二組の評価はいかに?
| coco | 2012/11/07 1:11 AM |
>cocoさん、コメントありがとうございます。

ご紹介ありがとうございます。やっちさんの記事は私も拝見していました。
「BGMとしてカルメンが流れている悲しいエンディングのカルメンとは別のラブストーリー」
うむむ、なるほどー。確かにテサモエのほうはカルメンというより「テサモエ!」という気がしないでもない…。
この「カルメン対決」、さまざまな解釈ができそうで興味深いですよね。
私は個人的にはテサモエの強烈さに衝撃を受けてしまったのですが、シーズン通して何度も見るとカペラノのほうが味わいが出てくるかもしれませんね。今後の熟成が楽しみです!
| たら | 2012/11/08 3:44 AM |
こんにちは。
今更な書き込みで失礼します。

3年前くらい前からアイスダンスが好きになり、なかでもテッサとスコットのファンになった者です。
いつもテッサの笑顔に元気をもらっているのですが、なかでもこのカルメンは大好きなプログラムです。
当時のインタビューの様子など、とても楽しく拝見しました。
コーチの話などまではもう何年も前のことですので、初めて聞く話でとても興味深かったです!
また感想や翻訳記事など、楽しみにしています!(^^)/
| Tomo | 2017/07/09 11:44 PM |
>Tomoさん、過去記事にコメントありがとうございます。
昔の記事を見つけて読んでくださるのはとても嬉しいことです! 最近は更新とどこおり気味、とりあげる選手も偏り気味になっているのを改めて反省…また読んでいただけるよう頑張らなくては!
テサモエはこの頃すでに最高の技術を持っていると思っていましたが、復帰後の演技を見ると今のほうがさらに洗練されている感じがしますよね。どこまで伸ばしてくるんでしょうか?恐ろしい限りです^^;
| たら | 2017/07/10 10:56 AM |
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