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カート・ブラウニング インタビュー@Absolute Skating パート2
Absolute Skating(7月15日付)に掲載された、カナダの元世界チャンピオン、カート・ブラウニングのインタビュー。その後半、パート2をお送りします。(パート1は→こちら
はっきり言って、今回も長いです!しかもカートさんの饒舌ぶりに、わたくしの訳のほうがついていけていないかもしれません…(汗)。が、内容的には興味深いことばかりなので、最後までお付き合いいただけたら幸いです!では、どぞ〜。

元記事はこちら→Kurt Browning: "I just don't think that skating should be predictable." part 2
Text by Tina Tyan  Photos © Tina Tyan & Insight Productions

カート・ブラウニング インタビュー
「スケートは予測不可能でいい」パート2



解説者や指導者でもあるカート・ブラウニングは、スケートを観る者として深い見識や理解をもっているが、基本的には彼は今でも演技者である部分が大きい。ここ数年は、アイスショーのツアーで、アメリカとカナダの都市だけでなく、ヨーロッパやアジアの国々も訪れるようになった。昨年だけでも韓国、日本、中国を回っている。北米以外の国々で滑るのはとても実りの多い体験だと、彼は言う。

「ヨーロッパで滑るのは……なんというか、北米の僕らには僕らが大好きで尊敬している、僕ら世代のスケーターがいるように、ヨーロッパの彼らにも彼らが愛するスケーターたちがいるんだ。ヨーロッパへ行って、向こうの人々に存在感を印象づけることができたら、それはすごくクールだよね

「で、簡潔に言ってしまうと……アジアに行くのはめちゃくちゃ楽しい。お客さんの感じが全然違うんだ。僕らがバスに乗るのを大勢のファンが待ってるんだよ。僕にとってはタイプスリップした気分さ、まるで15年前に戻ったような……すごく楽しいよ!」彼はそう言って笑った。「ジェフリー(・タイラー)と一緒に韓国へ行った時は、とんでもなかったよ。(訳注:歌手のジェフリー・タイラーの歌にのって演技したAll Thatのショーのことだと思われます)あれはすごい体験だった。20年もスケートをやってるとたいがいのことは経験済みだと思ってたけど、あの観客の前で滑った、あの3日間はすばらしかった。僕らみんな、毎晩興奮してた。大興奮だったよ」

カートはここ3年間、CBCの人気番組「Battle of the Blades」(ホッケー選手とフィギュア選手がペアを組んでフィギュアスケートの演技を競う番組)に司会者の一人として出演していた。この番組は視聴率も評判もよかったのだが、今年はCBCの予算削減のため、中断している。これについて、カートは特に意外ではないという。

「CBCはずいぶん思い切ってコスト削減していたから、今年も放送されるとは思っていなかったよ。とてもお金のかかる番組だからね。視聴率はとてもよかったけど、僕にはなんとなくそんな気がしてた。とにかくお金がかかりすぎたんだ」



テレビ番組で司会をつとめ、ショーで世界を回り、セミナーで教え、試合の解説をする――こうしたことが、もう何年にもわたってカートのスケジュールの中心だった。ところが2011年、彼はまったく新しい試みをする。「Celebration on Ice」と「Stars on Ice」という二つのツアーショーで、親しい友人でもある俳優・歌手のジェフリー・タイラーと組んで、振付と総監督を担当したのだ

カートの流儀からすると、もともと二つのショーで振付をするはずではなかったという。Celebration on Iceのほうは、カートがジェフリーとおしゃべりをしている時に、ショーのプロデューサーであるジャン=ミシェル・ボンバルディエに思いつきでメールを送ったことがきっかけだった。さまざまなおもしろいアイデアについてジェフリーと話をしていたカートが、ふとCelebration on Iceの振付が誰になるのか、ジャン=ミシェルに聞いてみたのだという。振付は当初はブライアン・オーサーの予定だったが、その後オーサーの都合が悪くなったため、ジャン=ミシェルがカートに電話して、振付をやらないかと持ちかけた。カートはこれを、ジェフリーとの共同作業ならと、受け入れたのだ。

「すばらしかったよ、僕もジェフリーも共同作業について多くを学ぶことができた。それがStars on Iceでの仕事にも役立ったしね。でも、時間はかかったなあ。ほんとに長い時間、Granite Clubのリンクで過ごしたよ。1日8時間も、振付をしてはメモを取ったりしてさ、そのあとに飲むビールがすごくうまいんだ。でも、楽しかった。ジェフリーはものを創造するのが好きなんだ。僕もそうだと思う。ふたりでとてもユニークなクリスマス・ショーを演出したんだ。スケーターたちが氷上で大騒ぎをして、音楽の生演奏もあって、そんな打ち解けた雰囲気にお客さんはびっくりしていたよ」



Celebration on Iceが半ば偶然ころがりこんできた仕事だったのに対して、Stars on Iceの仕事はよく考えてから決断したという。

「昔、自分自身のツアーをやりたい思ったけどやめたことがあったんだ。でも、何か振付をしたいという気持ちはそのあともずっとあった。それで思ったんだ。キャリアが終わる時にショーに出るとしたら、自分で好きにやれるツアーができたらいいなって。その時には、また『Singing in the Rain』を滑ってみたい。それと、1990年代の中ごろからずっとスーパートランプの曲を使ってみたいと思っていたんだけど、それをとうとう実現させるのもいいかなと。僕のソロじゃなくて、グループでね。やるとしたら、道はひとつしかない、僕がボスになるしかないんだと思っていた。それで、このStars on Iceの仕事をやることになった時――この仕事をもちかけられた時に、1回限りの仕事にしようと思ったんだ。ただ1度だけ、振付のみを担当して、自分のアイデアを実現するぞって。でもそのとおりにはいかなかった。振付の時間が短かったし、冠スポンサーもついてなかったから。それで、また新しいショーの企画を考えなきゃならなくなった。わからないけど来年もまたやるかもしれない。決めなくちゃいけないね。どうなるかな。でも、ツアー側はまた僕に仕事してほしいみたいだから、それはいいことだよね」

自分はキャリアの終盤に近づいているという意識が、近年のカートをつき動かす大きな理由になっているようだ。

わざと忙しくしているんだ。たくさんの仕事を引き受けてね。なぜなら、もうキャリアの終わりにさしかかっているからさ。だから僕はスケートを楽しんでる。どんな風に終わるかはわからない、もしかして膝を痛めてしまうかもしれないし、もういいやって思うのかもしれない、潮時が来るのかも……だからこそ、ショーもやりますって言ったんだ。中国だって、今まで行ったことがなかったから、行きますよって! だからすごく忙しい。忙しすぎるぐらいだ。今年のオフシーズンは、人生で初めて本気で考えているよ、自分のスケーターとしてのキャリアをどうしようかって。もう終わりなのかな、どんな終わり方にしようかなってね

「これが最後の舞台にはならないかもしれない。マイケル・シーバート(Stars on Iceの前振付師)に言われたことがあるんだ。未来のことなんてわからないだろ、もしかしたらディズニー社に(オズの魔法使いの)悪い魔女を演じてほしいと言われるかもしれないじゃないかって。じゃなきゃ、邪悪な魔法使いとかさ…。何がふってくるかわからないんだから、引退したなんて言わないほうがいいんだ。ひょっとするとアシュリー・ワグナーが世界女王にでもなって、『あたしの特別番組で森の仙人役をやってくれない?』なんてことになったら、おもしろいだろ? だよね! だから僕は引退したくない。いろんな選択肢に対してオープンでありたいんだ

引退はしないとしても、今のように精力的に演技する機会は減っていかざるをえなくなるだろう。そうなったあとのキャリアについては、はっきりしたプランはないという。

僕は子供が大好きだし、セミナーはすごく楽しい。だから、セミナーで教えることを本業にする手だてが見つかったら、そうするだろうね。それと、解説者の仕事は続けていきたい。みんなが僕の解説を聞きたいと思ってくれる限り、意義があると思える限りね



これまでソロ・スケーターの振付をしたこともあるし、現在もStars on Iceで振付責任者をつとめてはいるが、振付師を本業にしようとは考えていないそうだ。

振付師にはなりなくないんだ。スケートにはかかわっていきたいけど……たとえばデビッド・ウィルソンやローリ・ニコルみたいに働くのって……ジェフリー・バトルだって今すごく大変なんだよ、たくさんの振付をしてね……。そうなる自分は想像できない。Stars on Iceで振付をやってるのだって、いつか誰かと共同振付をしたり、誰かにまかせたいと思っているんだ。同じ人間が8年続けて振付するようなことは避けたほうがいいと思ってる。振付の仕事は今後も続けたいけど、自分が振付師だとは思っていないんだ。僕にもスケーターたちに分け与えられるものがあると思うし、条件が整えばすごくいい仕事ができるだろう。ただし、条件が整っていなきゃだめなんだ。自分が本職にしたいと思っているものとは違う。僕が目指すものではないんだ

とはいえ、プログラム作りの一員になること、編曲のアイデアを出すこと、特におもしろそうな仕事にチャレンジすることに関しては、やる気は十分にある。

羽生(結弦)がブライアン・オーサーのところに来ることになってね、僕にエキシビションナンバーの振付をやってくれないかと、彼らが頼んできたんだ。僕は思った。それはやりがいのある仕事だ、わかった、ぜひやらせてもらおうってね! いつか演技をしなくなった時、スケートとつながりを持ち続けるために僕がやりたいのは、まさにそういったことなんだ。それとテレビの特番だね。またやりたいなあ。番組づくりは大好きなんだ。特番がたくさんできて、僕が悪い魔女役で出演できたらなあ。男装の魔女だ。そういうの、おもしろいだろうな!」

カートが彼のキャリアでどんな道を選ぼうと、ファンにとっては予期しないことのほうがうれしいものだ。

スケートっていうのは、予測不可能であっていいと思っているんだ。『皆さん、次はカート・ブラウニングです』ってアナウンスがあって、ただそこに座って、決まりきったものを見る――そういうのは好きじゃない。そんなの、昔から嫌いだったんだ」

とりあえず今後しばらくは、ちょっとリラックスするつもりらしい。夏の予定を聞いてみると、カートはこう答えた。

「どうだろうな、妻が『10年計画』と呼んでる作業があってね、うちのコテージのまわりの土地に関することなんだ。100年前に切り開いて牧草地にした土地なんだけど、その時に出た岩がまだそのへんにゴロゴロしていてね、見た目的によくないんだ。僕の大好きのもののひとつに――靴が好きな女性っているよね、それと同じように、僕は石垣が好きなんだ。都市部へ行くたびに、よくわからないんだけど、とにかく石垣が大好きなんだよね。(訳注:都会へ行くたびに石垣を好んで見ている、という意味でしょうか?)それで、コテージのまわりじゅうに自分の石垣をつくっているところなんだ。朝5時に起きて、外へ出て音楽をかけて、ただ岩を積んでいくんだよ。9月になる頃には、夏じゅう岩を持ち上げていたせいで、いつも筋肉モリモリになってるんだ。だから、この夏の予定は、もっと石垣を積むこと、息子たちにローラーブレードを教えること。それと、湖でのダイビングにもたくさん出かけたいね」

(筆者注:このインタビューは5月中旬におこなわれた。カートはその後、まだまだ引退しない決心をしたらしい。というのも、10月に開催されるメダル・ウィナーズ・オープンで6年ぶりに競技することが決まったからだ。ご活躍をお祈りしています!)

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パート1の最初のほうで筆者の方も書いていますが…とにかくエネルギッシュですね!
何か質問されると、ひと言、ふた言で答えるのではなく、とにかくガーッとしゃべりまくる!話したいことがたくさんある、そして話すこと自体が好き、そんな印象です。おなじみのスケート解説でもよくしゃべりますもんね、カートさん!

とにかくインタビュー全編、名セリフのオンパレードではありますが、パート1では「スケートは喜びと自覚をもって滑ること!」という強いメッセージが印象的でした。そして、「今のカナダ女子には喜びが欠けている」という指摘も…。うーむ、たしかに生真面目な印象の選手が多いかもしれません。(対照的にカナダ男子はおちゃめさんが多いような気がするのですがw)
それと、選手の自意識の問題。

「僕はスケーターたちにこう言うんだ。リンクの真ん中に立って、音楽がスタートするのを待ち、その音楽に乗って踊る……細いちっぽけなブレードに乗って、きみのお母さんが作ってくれた衣装を着てね……そんなことをやってのけられるなら、もうほかに怖いことなんてたいしてないんだよって」

これ、いいセリフですね。ほんとに、フィギュアスケートってたったひとりで孤独な戦いを強いられる競技ですもんね。スケートなんてやったことのない私でさえ、なんだかジーンとしてしまいました。

パート2では、演技者・振付師としてのカートさんが語られています。振付でもありあまる才能を発揮しているカートさんですが、根本的には滑ること、演技することが大好きなんですね。
そして…なんと、いつかショーの滑り納め(?)に、あの名作「雨に唄えば」を滑りたいと思っているとは!うわっ、観たい〜!! しかし、雨のふりしきるセットをリンクに再現するのも大変でしょうけど、この高度なプログラムを40代半ばを超えた今、再び滑れる自信があるとは…。まったくすごいお人です。



笑ったのは「石垣が好き」ということ。いまだにたくましくシェイプアップされた強靭な肉体の秘密は「岩運び」にあったのですね!

すごく素敵なインタビューでした!10月のメダル・ウィナーズ・オープンが、ますます楽しみになってきましたよ!!! これはもう行くしかないのかなあ…(ああ、お財布が…)。

JUGEMテーマ:フィギュアスケート
カテゴリ:北米男子 | 12:11 | comments(4) | trackbacks(1) | - | - |
コメント
たらさん、パート2の翻訳もありがとう!
カートさんは本当にエネルギッシュ。
そして、「おもしろいことをやる」「やりたいことをやる」。
カートさんのキャリアこそ、予測不可能。

「雨に唄えば」の滑りは凄いですよね。
はじめて観たときには、たまげました(@@
カートさんの「雨に唄えば」ならば大枚はたいても観たい!!!

10月のメダル・ウィナーズ・オープンは埼玉アリーナですよね。
観たいけど、あそこは広すぎて・・・。
お財布と相談すると、私はテレビ観戦かなぁ。
| coco | 2012/07/19 2:52 PM |
like rock walls?ターシャ・テューダーさんや(風のガーデンで有名になった)上野早由紀さんの、庭にナチュラルな石を積み上げたものをイメージしましたが、コテージの周りじゅうにと言うからには石垣ですね、確かに!
羽生選手の2011GPFカートさんのでヘビロテしてます、演技前からトーク炸裂で少ししか聞き取れないけどスケートと選手への愛情を感じます 「(羽生は)予測不可能な選手」、ワールドでは「(誰がメダルを取るのか)何でも起こりうる、だってこれはフィギュアスケートだから」等の言葉を思い出しました 長くなってごめんなさい
すてきな記事をありがとうございました。 
| 与作の女房 | 2012/07/19 7:49 PM |
>cocoさん、どういたしましてです。最後まで読んでいただきありがとうございます。

 >カートさんのキャリアこそ、予測不可能。

ほんとにそうですね。この分だったら50歳、60歳を超えても演じ続けてくれそうですよね!(ただ、トップ選手をコーチングする姿も見てみたい気がするのですが…)

メダル・ウィナーズ・オープン、ほんと惹かれますよね〜。
しかし、おっしゃるとおり、巨大な会場なんですよね。(しかもお値段が…^^;)
うう、もう少し迷ってみることにします。
| たら | 2012/07/20 2:09 AM |
>与作の女房さん、コメントありがとうございます。

羽生選手のGPF動画、これですよね?http://www.youtube.com/watch?v=jho7n-IEQH0
じつは私もヘビロテしてます!今回も貼りつけようかと思ったくらいでして…。
羽生選手のことを「ベテランの自信とティーンエージャーの膝をあわせ持ってる…彼は危険だ」とすごく好評価していますよね。この時には高橋選手のこともべた褒めでしたし、今年の世界選手権では不本意な結果に終わった小塚選手のことを「最も印象的だった」と言っていました。

>スケートと選手への愛情を感じます

まさにそのとおりだと思います!
| たら | 2012/07/20 2:33 AM |
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