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パスカーレ・カメレンゴ、振付を語る@PSA授賞式スピーチ
今シーズン、数々のメダリストの振付をし、来シーズンはさっそくプルシェンコの振付を手がけることが判明しているパスカーレ・カメレンゴ氏
彼がPSAの「今年の振付賞」を受賞したときのスピーチについて、6月19日付のIce Skating Internationalというところで紹介されています。ここで振付について語っているのが、とても興味深い内容でした。
振付師の言葉というのは、難しい語彙は使わないけれど、意味深いというか、はっきり言って非常に訳しにくい(笑)ことが多いような気がするのですが、今回のカメ先生のお言葉もなかなか手ごわくて…(泣)。わかりにくいところもあるかと思いますが、雰囲気だけでもつかんでいただけたらと思います。では、どぞ〜。

Pasquale Camerlengo a Leader in Programming Declares music, editing and transitions as rudiments of good choreography by Liz Leam

パスカーレ・カメレンゴ
「いい振付の基本は音楽と編曲、そしてトランジションだ。」


パスカーレ・カメレンゴ。Professional Skaters Association(PSA)の2012年「今年の振付賞」を受賞した彼は、フィギュア界で最もホットな人物のひとりとして知られるようになった。そして、それには完ぺきな理由がある。

カメレンゴはイタリアの元アイスダンス選手で、イタリアのナショナルタイトルをもち、オリンピックにも出場した経歴をもつ。彼は昨シーズン、トップ選手たちのために表彰台をねらえるプログラムをつくりだした。例えば世界選手権銀メダリストの高橋大輔(日本)、銅メダリストのペシャラ&ブルザ組(フランス)、全米2位のアリッサ・シズニーとアダム・リッポン、全米3位のハベル&ダナヒュー組などだ。
カメレンゴの本拠地は、ミシガン州ブルームフィールド・ヒルズにあるデトロイト・スケーティング・クラブ。芸術への鋭い理解と、卓越したビジネス意識で、国内・海外の競技世界の頂点へとのぼりつめた。

同時に、彼は意外な純真さも持ち合わせている。そのことは、先月ボストンで開かれた権威あるPSAの受賞式でおこなった受賞スピーチにはっきりと表れていた。
「なんと言えばいいのかわかりません」彼はボストン・パークプラザ・ホテルで聴衆に向かって言った。「みなさん、本当にありがとう、私を信頼してくれて」

カメレンゴを信頼するのはたやすいだろう。特に、その経歴は輝かしいものだ。
1992年アルベールビル五輪でステファニア・カレガリと組んで5位に入賞した彼は、翌1993年にコーチ、振付師として活動を始めた。最初に振付界に進出したのは、故カルロ・ファッシに誘われたのがきっかけだったが、これがのちの成功の予兆となった。カルロ・ファッシは、1968年五輪金メダリストのペギー・フレミングや、ともに1976年五輪金メダリストのドロシー・ハミルと故ジョン・カリーなどを指導してきた伝説的なコーチだった。そのファッシに、イタリアのミランで教え子のスケーターたちの振付をしてほしいと頼まれたのだ。

この至福の時代に、カメレンゴはアメリカのデラウェアに移住した。そして、ロシア国内で二度のタイトルをもつ元アイスダンサーのアンジェリカ・クリロワと結婚。その後、2005年にステラ、2007年にアンソニーという二人の子供をもうけた。
2006年に一家はデトロイトに移った。ここから彼の華々しい活躍が始まることになる
カメレンゴはここで、すぐれたプログラムを量産した。例えば、2008年の世界チャンピオンのドロベル&シェーンフェルダー組(フランス)や、2006年と2007年に世界銀メダルを獲得したデュブレイユ&ローゾン組(カナダ)などのプログラムだ。

その過程で彼は、オリンピックや世界選手権で選手のコーチをつとめていたバージニア州出身のコーチ、オードリー・ワイスィガーとも手を組んだ。ワイスィガーはトップクラスの専門家がアメリカ国内を回って選手の指導、発掘をする「Grassroots to Champions」という活動にたずさわっていて、カメレンゴはこの活動にも深くかかわった。
ボストンでの受賞スピーチの中で、彼はワイスィガーにも感謝の言葉を述べた。「私はある特別な方に感謝をささげたいと思います。それはオードリー・ワイスィガー、彼女が私をこの国につれてきてくれました」

スピーチの中で、カメレンゴは振付というものの意義について語った。「振付とは、その人がスケートというものをどう考えているのかを示す、個人的な贈り物のようなものです

よい競技用プログラムには必要なのは、ある方針に忠実であること、それだけだという。振付には地図などなく、「それは人の心に響く琴線、感情といったものなのです」と彼は言う。

授賞式の会場に立つ聴衆に向けて、カメレンゴは振付について語った。プログラムを作る上で、振付師はスケーターのために何が言いたいのか、何をしたいのか、はっきりしていなければならない。また、ルールについても明確に知っていなくてはならないという。
「今のプログラムはとても難度が高く、選手は最初から最後までずっと演技をし続けなくてはなりません。選手にはスタミナと良質のテクニックが必要です、振付に影響を受けすぎないようにね
プログラムを作る上で最も重要かつ難しいのは、音楽だと彼は言う。ふさわしい音楽を選んだ時点で、「作業の半分は終わったようなものですね」。
「音楽が決まれば、方針が決まります。まずすべきことは、選手のことを本当に理解すること。選手が何を感じ、何をしたがっているのか知ることです」
音楽を決めるプロセスを説明するために、彼は映画「タイタニック」のサントラを例に出した。この曲を使ったプログラムは、客船が沈没して1000人以上が亡くなるという、悲しくデリケートな悲劇のスト―リーを中心に考えるべきだ。また、この映画はラブストーリーなので、ペアやアイスダンスに最も適した音楽だろうという。
「音楽のコンセプトをどう打ち出したいかの考えること、そして選手の性格やその選手のスキルについて考えることが大切なのです。」
音楽の編曲は、振付においてもうひとつの重要事項だ。コーチや振付師が、スケートのエレメンツを理解している編曲者と、直接やりとりするのが望ましいとカメレンゴは言う。なぜなら、エレメンツは曲のリズムやニュアンスと同調していなくてはならないからだ。
「私が頼んでいる編曲者は、スケーターのエレメンツに合うように音楽を組み立てることができます。彼がエレメンツを理解してくれていることは、ものすごく助けになりますね」

プログラムができあがると、選手が曲と完ぺきに同調して各エレメンツの演技をおこなうことが必要になる。
音楽に合っていない演技を見るほどひどいことはありませんし、音楽のビートをきざんでいる演技ほど美しいものはないのです。スケーターが音楽に合ったジャンプを跳べば、ほんとうに“おおっ”となるし、仮にジャンプが完ぺきでなくてもだいたい得点は出るんですよ」

振付ではもうひとつ、力強さも重要だという。加速するつなぎ(トランジション)はリンク面を広く使うことにつながるからだ。これがカギなんだ、と彼は言う。
「つなぎはできる限り複雑なものでなくてはなりません。スケーターは自分のターン、ステップ、エッジ使いのすべてをパワーとスピードへと変換しなくてはならない。そうすれば、プログラムがグローバルな感覚をかもしだすようになるのです

そのとおり、カメレンゴの芸術的な成功の基礎には、彼のグローバルな感覚があるようだ。そしてそれが、彼がこれから進んでいくものの始まりを表しているのかもしれない。

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ううむ…「つなぎがかもしだすグローバルな感覚」というのが今いちわかりにくいですが、彼の語る内容を読むと、シングルでいえば今季の高橋大輔、そしてやっぱりパトリック・チャンをイメージしているのかな、という気はします。
なんというか、びゅんびゅん飛ばして、見る人を壮大なレベルに持っていくというか、地球的規模の大きさのものに包まれる気分にさせるというか…うう、語彙とイメージが貧困ですみません。
やっぱり今は「高速つなぎ」が主流なんですね!ジュニア無双のハン・ヤン君もそうですもんね。…来季のプル様のプログラムがますます楽しみになってきましたよ!!

JUGEMテーマ:フィギュアスケート
カテゴリ:コーチ・振付師 | 14:42 | comments(8) | trackbacks(1) | - | - |
コメント
たらさん初めまして。^^
フィギュアスケートファンで、特に高橋選手を応援しているkaruと申します。
たらさんのことは、先にツイッターで存じ上げていて、ブログの方も拝見するようになりました。
いつも色んな情報をありがとうございます!

パスクワーレの記事、とても気になっていたので翻訳に大感謝です。奥の深い、とても興味深いインタビューですね〜。^^
もし良かったら、拙ブログにリンクさせていただきたいのですが、いかがでしょうか?
| karu | 2012/06/26 5:24 PM |
>karuさん、ご来訪&コメントありがとうございます!

ツイッターで…ひぇー(汗)何か失礼でもありましたらごめんなさい!!こちらこそいつもお世話になっております。
ここにもいらしていただき、ありがとうございますm(__)m

ブログも拝見しました。リンク大歓迎です!
karuさんに比べたらブログ歴は本当に浅いひよっ子ですが、今後ともどうぞよろしくお願いしますね!
| たら | 2012/06/26 8:09 PM |
たらさん、こんにちは。
カメレンゴさんの翻訳、ありがとう!そして、お疲れさま。
世界選手権銅メダリスト鈴木明子選手のFS「こうもり序曲」もカメレンゴさんの振り付けですよね。
ステキな明子選手も忘れないでぇ〜。
鈴木選手のブログによれば、来シーズンのFSもカメレンゴさんの振り付けで、曲はシルクドソレイユの「O」とのこと。
ユーチューブでシルクドソレイユの「O」の曲を聴きながらどんなFSになるのか本当に楽しみになりました。
鈴木選手のプログ
http://ameblo.jp/suzuki-akko/entry-11287647476.html
| coco | 2012/06/26 9:44 PM |
連続投稿でごめんなさい。
「グローバルな感覚」ってわかりにくいですよね。
英語は不得意なので、自信はないのですが、ターン、ステップ、エッジ使いのすべてにパワーとスピードがあり、つなぎが複雑であれば、リンク一面を使って繰り広げられる個々のエレメンツが一体のものとして感じられ、観客をプログラムの世界に引き込むことができるというような意味ではないでしょうか。
つなぎが少なかったりスピードがないと、エレメンツがぶつ切りになり、プログラム全体の世界は感じられません。
もし私が「their programs have a global feel」を訳すとすれば、「プログラムが世界観を醸し出すようになる」か、あるいは日本語らしくちょっと意訳して「観客をプログラムの世界に引き込むことができるようになる」かなぁ。
全くの的外れだったらごめんなさい。
| coco | 2012/06/27 1:26 AM |
>cocoさん、コメントありがとうございます。

>ステキな明子選手も忘れないでぇ〜。

私も思いましたよ!
Ice Skating Internationalって、Internatilnalとついていてもアメリカ中心のサイトなのでしょうがないかなとは思いつつも…やっぱり入れてほしかったですよねえ!!

あっこちゃんブログのリンクありがとうございます。
あっこちゃんとカメ先生、すごく相性がいいみたいなので、どんな新プロになるのか、今からすごく楽しみです。
おお、それとショートが「キル・ビル」ですか!あっこちゃんがユマ・サーマンに!?
あっこちゃん、意欲的ですねー、すばらしい♪
| たら | 2012/06/27 7:03 AM |
>cocoさん、再コメントありがとうございます。

>もし私が「their programs have a global feel」を訳すとすれば、「プログラムが世界観を醸し出すようになる」か、あるいは日本語らしくちょっと意訳して「観客をプログラムの世界に引き込むことができるようになる」かなぁ。

おお、なるほど!私の解釈よりもずっとglobalな解釈ですね!すばらしい。ありがとうございます(*´∀`*)
そうですね、確かに「一体感」といった意味で「グローバル」という言葉を使っているんしょうね。
でもそれだけじゃない「大きなもの」という感じがあると思うんですよねー。ううん、「大きな」でもまだ足りないかな…なんかもう「グローバル」って言うしかないような気がしてきました!!w
| たら | 2012/06/27 7:27 AM |
たらさん初めまして。
2012-2013シーズンが終わり、こちらの記事がどうしても触れたかったカメレンゴさんの振付についてのことだったので、少し時間が経ちすぎましたがコメントを寄せさせていただきます。
まずは素敵な写真と記事、翻訳ありがとうございます。
カメレンゴさんはいま最もクリエイティブなお仕事をされる振付師だと思いますが、同時に、彼の世界観を充分に表現できる選手はとても少ないのではないかと思っています。
才能はあっても、ケガや故障、枠取りの問題等で、素晴らしい振付を試合で体現できない選手もいますし、良い評価を取るために、個性とマッチしなくてもカメレンゴさんに振付を依頼する選手もいるでしょう。それは選手にとって残念であるだけでなく、振付師にとってもショックなこと、本当に、素晴らしい振付と素晴らしい個性、音楽との出会いは一期一会なのですね。
もちろん支えるスタッフの尽力や幸運も必要です。私たちスケートファンは、良い作品を見たとき、本当にたくさんの人に感謝すべきだと思いました。
この記事が書かれた当時にはまだ発表されていなかった鈴木明子選手の「o」は、そういう意味でも歴史に残る貴い作品となりました。来季を最後に引退する彼女は、その大切なシーズンをカメレンゴさんに託すとのことで、どんなプログラムになるのか今からとても楽しみです。
素敵な記事をありがとうございました。
 ※クリロワさんがカメレンゴさんの奥様だとは知りませんでした。ビックリ、でもなるほど、と思いました!
| アヤ爺 | 2013/04/22 10:58 PM |
>アヤ爺さん、はじめまして&コメントありがとうございます。
鈴木選手の「o」は私も大好きなプログラムでした。NHK杯とつい先日の国別対抗戦ですばらしい演技の「o」が見られて、本当によかったと思います。

>振付師にとってもショックなこと、本当に、素晴らしい振付と素晴らしい個性、音楽との出会いは一期一会なのですね。

昔から長くフィギュアを見ている方に比べれば、私はまったく素人でお恥ずかしいですが、それでも毎年見ていると、本当にそうだなあと感じます。
素人目にすばらしいプログラムでも、選手と相性が悪ければ魅力半減ですもんね。ましてや選手のケガや不調で十分に演じられなかったときのガッカリ感…(;_;) 今季のプルシェンコ選手のように「合わない」からとボツにされてしまうケースもあって、振付師としてもとても悔しいでしょうね。
鈴木選手の現役最後のプログラム、今からとても楽しみです!
古い記事を読んでいただきありがとうございました。よろしければまたコメントいただけると嬉しいです!
| たら | 2013/04/23 12:52 PM |
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