暑いですね! めったに風邪をひかない私ですが、よりによってこの猛暑の中風邪を引いてしまいまして。夏風邪はお腹にくると言いますが、本当にめっちゃ来ちゃいました…消耗した〜。みなさんもどうぞお気をつけて!
さて、カナダのレジェンド、
カート・ブラウニングのロングインタビューがAbsolute Skatingに掲載されていました。
今年、プロに転向後20年になるそうで、これまでのプロとしてのキャリアのこと、今のスケート界のことなどなど、たっぷりと語ってくれています。今年4〜5月の「Stars on Ice」カナダツアーの合間に取ったインタビューだそう。
…すみません! 最初に言い訳してしまいますが、カートさん、相変わらずのマシンガントークで! とにかくガンガンまくしたてているのが文字から伝わってくる文章なので、正しく意味を取れていないところもあるかもしれませんが、どうかお許しください。もし誤解・誤訳など気づかれたら教えていただけるとありがたいです〜(←毎回このパターン(^_^;)
かなり長めのインタビューなので、前編と後編の2回に分けて掲載したいと思います。まずはプロフィギュアの世界について語った前編からどうぞ〜。
元記事はこちら→
Kurt Browning - twenty years a pro and still going strong
「カート・ブラウニング:プロ20年を経てなお現役」【前編】
20年前、カート・ブラウニングは正式にプロに転向した。五輪の出場資格をもつアマチュア選手を引退して、プロとしてのスケートに専念することにしたのだ。
現役時代の彼のキャリアは、どこから見ても成功にいろどられたものだった――世界初の4回転ジャンパーであり、世界選手権では金メダル4回に銀メダル1回、五輪に出場すること3回――だが、プロとしてのキャリアはさらに別次元だ。以前開催されていたプロフィギュア選手権では圧倒的王者。その後もスケーター・解説者・振付師としてフィギュアスケートに多大な貢献をし、優れたアーチスト、エンターテイナー、そして革新者として広く知られている。プロになって20年の今でも、アジアやヨーロッパ、北米の数々のショーで精力的に滑り続けている。
そんなカートが、「スターズ・オン・アイス(SOI)」カナダツアーの忙しいスケジュールの合間に、自分のキャリアについて、そしてスケート全般について語ってくれた。
Q:プロ20周年おめでとうございます! 20年も精力的に滑り続けることになるだろうと、自分で予想されていましたか?
カート:いやいや、そんなこと思ったこともなかったよ。でも、それは無理だろうと思っていたからじゃない。そんな心配をする必要がなかったんだ。スコット(・ハミルトン)が滑り続けている姿を見ていたし、ブライアン・ボイタノだって僕より年上だけどずっと続けていた。ヨゼフ・サボフチクだって、ブライアン・オーサーだってそうだった。しかも、今名前をあげたうち2人はまだショーで滑っているんだから。ね、僕はまだ一番お兄さんってわけじゃないんだよ。
Q:プロとしてのキャリアで一番のハイライト(輝かしい思い出)は何でしょう?
カート:ショーが終わって飛行機に乗り、きれいなスチュワーデスから飲み物をもらう瞬間だね。それと、スコット・ハミルトンやタラ・リピンスキー、スティーブン・カズンズ
(イギリスの男子選手。1992年から3度五輪に出場)、ゴーシャ・サー(1993年と95年に全米選手権で優勝した旧ソ連出身のアイスダンス選手)やそのパートナーのレネー・ロカ、クリスティーン・ヒューとダグ・ラドレ
(カナダのペア選手。2人で1988年と92年に五輪出場)、クリスティ・ヤマグチにカタリナ・ビット…そんなすごく偉大な人たちと、一緒に飛行機で飛び回ったことだね。みんな大スターたちだ。僕らはスターだったんだよ。本物のスターだった。そんなライフスタイルを知り尽くしていたんだ。
申し訳ないけど、最近の子たちがけっして味わえないような生活だった。いや、今の子たちだってみんなすばらしいスケーターだよ。今年のSOIトロント公演には1万人の観客が入ったんだ。みんな確かにスターだし、人気者だ。でも、当時とは全然違ったんだよ。当時はすごい熱気だった。
でも、今年のSOIは、十数年ぶりにあの熱気に一番近いものを感じたショーだった。リンクにただよう雰囲気がね。バンクーバー五輪後ではなく、今年のSOIがそうだったんだ。パトリック(・チャン)は本当に特別だった。彼のスケーティングは特別だった。そしてテッサ(・バーチュー)とスコット(・モイヤ)も特別だった。そう、今年は昔の雰囲気にちょっぴり近いものがあったんだ。プライベート・ジェットはなかったけどね。
でもまじめな話、ショーが終わったら送迎用のプライベート・ジェットが待ってたんだぜ。とんでもない。とんでもない話だよ。ニューヨークのマディソン・スクエア・ガーデンでSOIの公演をしたこともあった。ブルース・スプリングスティーンみたいな本物の有名人がわざわざ僕らを見に来てさ。この先、フィギュアスケートがあの当時の半分でも有名になることって、僕が生きているうちにあるのかなって思うよ。
Q:韓国ではどうでしょう?
カート:韓国ではそれを感じたね。ただ、僕は熱気を作り出した側のひとりではなかった。あれは韓国で創り出された熱気だった。自分がその一部になれてうれしかったよ。けっして忘れない経験だと思うし、ずっとスケートを続けてきたおかげでキム・ヨナの時代にリンクの中心に立つことができて、ほんとに幸運だったと思っているよ。そうだね、あれもハイライトのひとつだ。
[*カートは2011年と2013年のAll That Skateショーに出演しています]
他のハイライトといえば…個人的な思い出がたくさんあるよ。まだ4回転が希少価値だった時代に、たまにショーで4回転を跳んだこと。トリプル・アクセルを降りたときには、いつだって大興奮した。その後3日間、宙に浮いているような気分だったものだよ。まあ、僕の個人的な思い出にすぎないんだけど。
でもほんとに、たくさんの思い出が幾重にも重なっているんだ。例えば、「トラスト・イン・ミー」(カートがSOIで滑るプログラムのひとつ)でいい演技ができたときは、自分とお客さんの間に何かが生まれるのを「感じる」んだ。それがハイライトなんだろうな。もしひとつだけ選ばなくてはならないとしたら、それなんだと思う。僕はずっとそれを追い続けているんだ。あのプログラムを滑りながら、観客が僕と一緒に盛り上がっていくのを感じる…「ハイ」になる瞬間。僕はそれを求めているんだ。それが自分に必要なもの。そうだよ! それがおそらく最高のものなんだ。観客と一緒にビリビリ盛り上がって、調和していく。しかも、それがリアルだとわかってる。「〜と思う」じゃない、わかっているんだ。それが僕が求めているもの。それが僕の「ハイ」だ。
Q:あなたがプロとして活躍してきた20年の間に、プロフィギュアの風景は大きく変わりましたね。北米で人気が頂点に達し、その後衰退して他の国々に移っていくところを見てこられました。このことについてどう思いますか? プロフィギュアはスケーターや、フィギュアスケート、フィギュアファンに何をもたらしてくれるのでしょう?
カート:今の質問の最後の一文を聞いて、僕の胸に響いてくるものがあったよ。それを聞いて思ったのは、今はプロフィギュアなんて存在しないも同然だってこと。少なくとも20年前の、プロスケーターだけの大会が16000人もの観客を集めた時代のプロフィギュアとは違うんだ。グランプリ・シリーズが始まったときが、プロフィギュアが本格的に凋落し始めた頃と一致するような気がする。このふたつ(GPSとプロフィギュア)にはなんらかの因果関係があったんだろうなと思わざるを得ないよ。それに、ちょうど1990年代に華々しく活躍したスケーターが、みんな引退し始める時期でもあった。そのせいもあっただろうね。
あの時代がもう終わったことはわかってるよ。でも最近は、ワールドや五輪のタイトルをもっていないスケーターも、お互いに協力し合って、勢いをつけてきているんだ。才能があって、自分の何かを見せたいという気持ちをもったスケーターたちが、演技を披露できでる手段を見つけつつあるんだ。簡単なことじゃないけど、フィギュアファンにぜひ目をとめてもらえるといいな。世の中には本当にすばらしいスケーターがいるんだから。
プロフィギュアが他の国に移っていることについては、まあ、フィギュア人気というのは世界中を移っていくものだからね。それでもまだ、人気の中心は現役選手であって、プロではないと思う。マオ(浅田真央)とヨナが、彼女たちが手にした名声をどう使っていくのかは、楽しみなところだね。ヨナはもう滑ることを完全にやめたという話を聞いたけど、もしそれが本当なら、エンターテイメントとしてのフィギュアの成長にとって、大きな打撃になるだろうな。
Q:プロスケーターの試合が成立する余地はまだあるでしょうか?
カート:今はないと思う。プロスケーターと定義できるスケーターが十分にはいないからね。才能あるプロスケーターたちがいることは認識されてきていると思うし、若手の振付師にとっては、このインターネットの時代が力になっていると思う。インターネットは彼らが知識を得たり、自分の実力を世の中に示したり、人々に認知されてフィードバックを得たり、という場になっている。これはフィギュアスケートにとって助けになっていると思うよ。動画を初めて見て、「へえ、このスケーター、いいじゃない!」ってなるような、すばらしいスケーターはたくさんいる。そんなスケーターたちにSOIに出てもらうのもいいだろうね!
今問題なのは、僕らの時代にくらべてアマチュアの選手たちがお客さんの目に触れる機会が少ない、ってことなんだ。1年で100回も公演すればたくさんのことを学べる。今の現役選手は僕らの頃よりたくさんの試合には出ている。だからある意味、彼らはすでにプロフェッショナルなんだけど、彼らには試合が何より大事だから、試合以外のことはちょっと二の次になってしまうんだ。僕らが全盛の頃は、SOIの第2部でどんなプログラムを滑るかは、五輪のフリーで何を滑るかみたいな、それほど重要なことだった。プロだけのイベントが成立するほどチケットが売れるスケーターは、今はそれほどいないと思うな。
(後編へ続く…)
ちなみに今年のSOIよりファン撮影動画「Trust In Me」→
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SOI2014のプロモーション動画→
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マシンガントーク、きちんと通じているでしょうか…?
いやーしかし、カートが語る20年前の北米でのフィギュア人気、というかスケーターのセレブっぷり、すさまじいものがありそうですね。あのレジェンドたちがプライベートジェットの機内で、きっとシャンパンでも飲みながら
(←イメージです)夜な夜なつるんでいたとは…