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ウィルソンからキムヨナへの はなむけの言葉 【ATS2014記者会見より】
ソチ五輪で引退を発表したキム・ヨナの最後のショー、「All That Skate2014」が終わりました。
その最終公演のあとにおこなわれた記者会見の写真です。





みんな涙涙涙…ですね。特に、現役時代の前半には涙を見せることはほとんどなかったヨナさんが、真ん中で大泣きしています。韓国の記事によると、振付師のデビッド・ウィルソンが語った言葉を聞いて、キム・ヘジンなどほかの選手が泣きだし、それを見てヨナさんもこらえきれなくなったそうです。

そのウィルソンの言葉を、ファンフォーラムの方が韓国語から英語に訳してくださっていました(→こちら)。英語→韓国語→英語→日本語なので元の言葉からは若干ずれているかもしれませんが、とてもあたたかく、素敵な言葉でした――


彼女がお別れの演技をするのを見ていて、僕はほろ苦い気持ちになりました。
ヨナはこれから、人生で一番大事な時期を迎えようとしているんだと思います。
そして僕は今、ヨナのためにうれしく思う気持ちと寂しい気持ちがいりまじった感情を抱いています。
僕は彼女のことをとても誇りに思うし、今まで彼女と一緒に過ごしてきたことを幸せに思っています。
ヨナがATSショーで、自信にあふれ、おだやかに、美しく優雅に演技しているのを見られたことは、僕にとって大きな喜びでした。
すばらしい時間であり、人生の思い出でした。

これまで振付師として22年間やってきた中で、とりわけ特別だと思う人間関係が2つあります。ひとつは僕の親友であるセバスチャン
【←ウィルソン自身の振付師でもあったセバスチャン・ブリテンのことでしょうか?】、もうひとつがキム・ヨナとのものです。
ヨナを抱きしめたいです。称賛と励ましの気持ちをもって、「よくがんばったよ」と言いながら。

ヨナがトロントを去ったあと、僕は彼女のことがとても恋しくて、まるで赤ん坊のように泣いていた時期がありました。
僕の母がこんな話をしてくれたことがあります。
母が僕を育ててくれた理由は、僕を自分のそばに置いておきたいからじゃない、僕を世界に送り出すためなんだと。
これこそまさに、今僕がヨナに対して持っている気持ちです。
彼女の明るい未来を、彼女がどんな人生を送っていくのかを、僕はとても楽しみにしています。
これまでヨナとの間に結んできたパートナーシップは、僕にとってほかの何よりも大好きなものでした。

あなたの振付師としてあなたと一緒にいられたことは、僕の人生で最高の経験のひとつでしたよ。




ヨナが「トロントを去ったあと」、ウィルソンは寂しくて大泣きしていたと…。
名だたる選手と仕事をしてきたウィルソンですが、彼にとってヨナは特別な存在だったんですね。そしてヨナにとっても、引退のときに泣きながら抱き合うのは歴代のコーチではなく、振付師のウィルソンだった…。ちょっと感慨深いものがあります。

試合では鉄のメンタルっぷりを発揮してきたヨナですが、バンクーバー五輪での国と国民からのプレッシャーは半端なものではなかったと、のちにオーサーも語っています。そのオーサーとも気まずい別れ方をし、自分の意志に反して国のために現役を続けざるを得なかった中で、ウィルソンはずっとそばにいてくれた…。ヨナの演技は、質の高さとは別にいつも似たような印象という意見は確かにありましたし、私もほかの振付師とのプログラムを見てみたかったですが、ヨナとウィルソン――普通の「師弟関係」とはちょっと違う、特別な関係だったのかもしれませんね。

ショーの動画から、最後のプログラムとなった「Nessun Dorma」だけお借りします。


JUGEMテーマ:フィギュアスケート
カテゴリ:アジア(日本以外)男子&女子 | 04:44 | comments(16) | trackbacks(0) | - | - |
コメント
こんにちは。素敵な翻訳をありがとうございます。
ATSの会見お写真をいくつか目にして、状況は良くわからないながら
ああ、キムさんもこんなに穏やかな顔で泣いたり笑ったりできるようになったんだなあ
としみじみしていました。
ウィルソン氏のコメントを詳しく知ることができて良かったです。
彼らの精神的な繋がりが、これほど強固なものだったとは思っていませんでした。
それを思うと、彼女がオーサー氏との関係をこじらせたのは、当時の私の印象以上に
彼女にとっても周りにとっても重大で致命的で悲しいことだったのだろうな、と切なくなります。
でも、いつか仲直りしてくれないかな、と微かな希望もまだ捨てていません(笑)

オーサー氏といえば、記事にまったく関係ない話で恐縮ですが、羽生くんの来季のフリーがボーン振付
とか何とかいう話が、まさに韓国から(なぜか)流れてきていてのけぞりました。
楽しみです。先の不透明な選手が多い中、楽しみだと純粋に思えることが嬉しいです。
若いっていいなあ……。

返信はお気になさらず。
| aoi | 2014/05/07 5:03 PM |
はじめまして。ま、と申します。
先の世選直前からブログなどを始めてしまったご新規さんです。
いつも黄ブログを拝見かつ影ながら応援させて頂いております。

自分はヨナ選手を語るほど存じ上げていないのですが、実はちょうどこちらでもキム・ヨナ選手の引退ニュースを取り上げようとしておりましたらこんな素敵な記事が。
今まで、贔屓の選手を追うのに夢中でちゃんとヨナ選手のことを考えたこともなかったのですが、やはり強かったなーと思っています。ソチ後、垣間見える穏やかな顔になんでかしら、ほっとしていました。

拙宅はまだまだとっ散らかっておりお恥ずかしい限りですが、よかったらこの記事を紹介させてください。どうぞよろしくです。
おお、夜が明けて来た・・
では。たらさんの益々のご活躍とご健康を祈りつつ。退散。
| | 2014/05/08 4:56 AM |
たらさん お久しぶりです

ブログはずっと読ませていただいてました
今回の素敵な記事をありがとうございます

ヨナ選手はとてもシャイな人だと聞いたことあります
だから、ウィルソンとは何かしら気があったのでしょうね
ソチ五輪でも、SP.FPともノーミスで素晴らしかったです
精神的にも強いなあ・・と感心しました
彼女の演技が観られなくなるのは少し寂しい気がします

今季限りで多くの選手が引退されますが、又、新しい若い選手が
育っていくのを見るのも楽しみです(^o^)

ぼちぼち、ゆっくりでいいので、長く続けて下さいね
公平で優しいたらさんのブログが大好きですから(^O^)



| まーまりん | 2014/05/09 12:55 PM |
>aoiさん、コメントありがとうございます。ご返事遅くなりましてすみません。

「バンクーバーまでは表彰台で泣く選手の気持ちがわからなかった」なんて言ってましたもんねぇ。ソチでもフリー後、号泣していましたね。感情をオープンにできるようになったんだなあと、私もしみじみしちゃいました。
オーサーの件、ほんとそう思います。もしもいつか彼女がコーチになったら、オーサーと仲良く火花を散らしてほしいなあ。
シェイリーン・ボーンの記事はびっくりでしたね。シェイリーンもATSショーに出ていたので、ヨナの引退について聞かれたインタビューだったみたいですが、まさか羽生くん振付の話が出るとは! 
はい、楽しみだと思えることは幸せですよね…。
| たら | 2014/05/09 3:18 PM |
>まさん、はじめまして!コメントありがとうございます。

ブログ拝見しました。ご返事遅くなりまして申し訳ありませんが、ご紹介いただきありがとうございます。これからも楽しみにチェックさせていただきますね^^
私も観戦を始めたのがわりと最近なので、生で彼女を見たことがないんですよ。それがものすごく残念で。
ソチではすごくおだやかな顔をしていましたよね。でもショートの直前だけは(言い方は悪いですが)鬼のような顔になっていました。あれが試合の緊張感、そして彼女の強さなんだなーと、改めて思ったのでした。ああ、生で見たかった!
今後も機会がありましたら、またコメントいただけると嬉しいです^^
| たら | 2014/05/09 3:19 PM |
>まーまりんさん、コメントありがとうございます。

確かオーサーも言っていましたよね。最初はとても内向きな子だったと。
今でもすごく社交的な性格ではないような気がします。ときに冷たそうとか思われてしまうのはこのあたりかな…私も似たところがあるので、ちょっとわかる気が(^_^;)
ウィルソンはそんな彼女の心を開いてあげた人だったんでしょうね。
やさしいお言葉ありがとうございます。はい、ぼちぼちやっていきたいと思います!
| たら | 2014/05/09 3:21 PM |
ご承認、ありがとうございます。
お返事も待たず、昨日深夜に勝手に上げさして頂きました。
またいきなりご挨拶文で誤字までやらかし、申し訳ない!

生、観たかったですねぇ・・・
それ以前にこちら、久しぶりの現場へ赴くために、腹筋はじめました。ウソです。でも寒いはなんだで、観るのも気合とパワーいりますもね。やっぱり準備運動しよう・・

はい。ヨナさんの鬼の面、ほんとに。あの集中力は恐れ入る。
が、どなたでもアスリートのそういう瞬間て嫌いじゃないです。
この記事のように、彼、彼女らの優しい瞬間や、ふにゃっとしていたり集中!したりしている様々な情景をこれからも見守りたいっす。

たらさんも、美と健康に支障のきたさない範囲で、どぞ、マイペースに。
自分も呑気に頑張ります。今後ともよろしくです。
| | 2014/05/09 11:21 PM |
いつもROMしていますが、はじめてコメントさせて頂きます。Twitterで写真だけが回ってきてウィルソンは一体何を言ったのだろう、と気になっていたのでこちらの記事はとても助かりました。ありがとうございます。

テレビで見るヨナはいつもクールで演技でも難しいことを簡単そうにやってしまっていましたが、私たちに見えないところで本当に大変な努力を重ねてきていたのですよね。

たらさんがコメントでおっしゃる通り競技でのヨナは怖くてまさにラスボス!という感じでしたが(そんな彼女も結構好きです)本当はシャイで内気な女の子なのでしょうね。写真からそれを温かく導いていったのであろうウィルソンとの絆を感じてこちらまで涙がでそうになりました。ウィルソンのお母様の考え方もいいですね。

このショーでのヨナは今までにないような艶っぽさがあってなんとも言えず美しい。ぜひとも生で見たかったです。
| シャヲリエル | 2014/05/10 11:57 AM |
>まさん、再コメントありがとうございます。ご返事遅くなりまして申し訳ありません。ご紹介いただき感謝です。

はい、ヨナさんに限らず、試合前後のスケーターの表情って引き込まれるものがありますよね。生観戦はもちろん魅力的ですが、帰宅してからテレビで見直すのもまた楽しみなので、フィギュア観戦ってほんと体力、気力、時間、やりくりする努力が必要でほんと大変!わざわざ好きこのんでやってるんですけどね(^_^;)
こちらこそ今後ともよろしくお願いいたします。
| たら | 2014/05/12 5:43 PM |
>シャヲリエルさん、初めまして。コメントありがとうございます。ご返事遅くなりまして申し訳ありません。お役に立てましたらよかったです!

幼い頃のヨナは練習の鬼だった、という記事だったか動画ニュースだったか、見たことがあります。そしてトリプルアクセルが跳べずに自信をなくしていた彼女に、君はアクセルは跳ばなくていいと、ほかの部分を伸ばし、自信をつけさせたのがオーサーやウィルソンだったそうです。
ウィルソンの母の言葉、すてきですよね。ウィルソンにとってヨナは大切な娘みたいな存在だったのかもしれませんね。
更新がなかなかできない当ブログです(汗)が、またコメントいただけましたら嬉しいです!
| たら | 2014/05/12 5:54 PM |
たらさん こんばんわ。
いつもご迷惑を掛けて申し訳ありません。
こりもせず、お邪魔します。

 デイビットのプログラムは「点取り」印象が強いです。でも、そこに彼の求める世界があって、ヨナは高い技術があったからそれを表現できる選手だったのかな。
 それにしてもここまでの強い絆があるとは月並みな表現ですが感動しました。
 バンクーバーのショートが忘れられません。
| よのにょ | 2014/05/17 11:04 PM |
>よのにょさん、ご返事遅くなりまして申し訳ないです。

ご迷惑とかやめて〜(*´∀`*) いつもいつもありがたいと本当に思っているんですよ。
ウィルソンが点が出るプロが得意かどうかは、ちょっと私めにはわからないですが、同じクラシックでもミュージカルっぽくなるというか、やっぱり北米テイストな気が個人的にはしてます。だからヨナとかジェフとか、日本では織田くんや小塚くんに合っていたのかなと。
ヨナの「007」は本当にいろんな意味ですごかったですね。
| たら | 2014/05/20 11:36 AM |
いつも翻訳を読ませてもらっています。長文翻訳はすごい労力と集中力がいると思います!感謝です♪
特にキム・ヨナ選手とデイビッド・ウィルソンの繋がりはよく記事で読んでいたので今回の翻訳もとても興味深かったです。彼のコメントはすごい賞賛の嵐って感じで3枚目の写真を見るとキム・ヨナ選手がとても気持ち良さそうな顔で聞いているのが見えますね。(意地悪な見方をしてしまうのですが、「もっと言って、もっと言って〜」という顔で悦に入っているように見えます)
逆に凄いヨイショしてる感が見えちゃって(周りの選手も含め)キム・ヨナ選手が裸の王様に見えちゃうのです。
勿論、実績はあるし韓国では大スターですが誰も批判しないし、批判した方が大バッシングされるみたいな感じにはかなり違和感を持ってしまいます。
まあ、色々な意味でネタは尽きない人。。。
日本選手を勝手に論争の渦中に巻き込んでくるところなども含めちょっと純粋にスケート選手として見れない感があり残念に思う選手なのです、自分的に。。。
もし女子の後継者が育たなかったら平昌でまた電撃復帰するのではないかと思ってます。

| ポンタ | 2014/05/22 2:08 PM |
>ポンタさん、コメントありがとうございます。

3枚目の写真、そんなふうに見えますか?(笑)私には胸いっぱいで涙をこらえきれない表情に見えますけどね。
日本ではあの「妨害発言」以来、彼女にネガティブな感情をもつ人も多いですが、あのときも煽ったのは韓国のマスコミと、その後感情的になってしまった双方のファンだったんですけどね。(あの発言自体は褒められないものではないと思いますが)
おっしゃるとおり韓国ではとてつもない大スターですし、ソチ五輪の女子金メダル問題など、「ネタが尽きない人」ではありますね。
平昌で復帰は…私はないかなあ。それより聖火の最終ランナーとして登場するんじゃないでしょうか?
| たら | 2014/05/23 11:43 AM |
はじめてコメントをさせていただきます。こちらのブログとても素敵でした。私、キムヨナ大好きなんです。優雅な滑りが好きです。その優雅さからとびだすダイナミックなジャンプは圧巻です。それに、彼女のしっかりとした頭のよい大人の女性としての発言や、スケートを休止中の社会活動をみても、すばらしい女性だなと思っています。日本の選手も見習えば…と思ってしまいます。けっして派手なひとではないように思いますが、自然に人のためになる活動を試行錯誤しながら続けているのではと思います。スケートは天才な上にこんな活動までやってのけるのは貴人ではないでしょうか。日本では誰かと比べて嫌っているような発言を耳にしますが、私は日本人だけど、スケートすばらしい感動を受けますし、歩みも立派。もう、脱帽しかないてす。どうでしょう?
| みき | 2015/01/03 7:52 PM |
>みきさん、はじめまして!コメントありがとうございます。ご返事が遅くなりまして申し訳ありません。
脱帽…はい、私も同じです(^▽^)
以前は国を背負って立つプレッシャーからか、内面を押し殺していた印象がありましたが、ここ数年は表情もやわらかくなり、率直に自分の意見を言うようになって、「自立し、充実した大人の女性」という感じがすごくします。
日本のスケーターでも、例えば荒川静香さんなどにも同じものを感じるけれど、ヨナさんの場合もっと社会的な存在としての自分を常に意識している気がします。
ソチでの演技は本当にすばらしかったし、その後ジャッジを巡って大騒動が巻き起こる中でも冷静な態度を貫いたのは立派でしたよね。また彼女の演技を見られる日は来るんでしょうかね…。
| たら | 2015/01/06 9:41 AM |
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