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(今回も超遅ればせですが…)ジョン・カー、ソチ五輪男子SPを語る
もうね、需要がないことはわかっているんですよ。でも、Absolute Skatingにアップされた、ジョン兄さんのこのレビューはけっこうおもしろかったので、ぜひ記事にしたいと思っていたもので…。やや辛口だったりもしますが、基本的にフィギュアへの情熱あふれるレビューだと思います。五輪のシーンを思い出しながらおつきあいいただけたら嬉しいです。
ちなみに、スコットランド出身の元アイスダンス選手のジョン・カーですが、名字のKerrは本当は「ケアー」と発音するんだそうです。でも日本では「カー」でおなじみなので、ここでは「カー」でいきたいと思います。

元記事はこちら→Olympics 2014 - John Kerr shares his thoughts and grants awards after men's short program


「ジョン・カー ソチ五輪・男子SP感想と、〇〇で賞」


やあ、Absolute Skatingを読んでくれているみんな。僕の名前はジョン・カー。すばらしい姉のシニード・カーと組んで、オリンピックに2回出場、ヨーロッパ選手権銅メダル2回、全英選手権7度優勝の経歴をもっている。これらはすべて、僕がアイスダンスで達成したものだ。その僕がなぜ男子SPのレビューをやろうとしてるのか、不思議に思う人もいるんじゃないかな? 僕にもわからないんだ。でもとりあえずやってみるよ。

最初はSPの上位5、6人について書くつもりだった。ところが、多くの選手がメダルを(まあ、少なくとも銅メダルを)ねらえる位置につけているので、対象を少し広げてみたいと思う。

競技に出ていないときでさえ、エフゲニー・プルシェンコ(いつから「y」を入れてPlyushchenkoってつづるようになったんだ?)は、今大会で最大の話題の的になっていた。大会前には多くの人が、エフゲニーは団体戦には出場するが個人戦は「怪我を理由に」欠場するんじゃないか?と噂していた。6分間練習のときから、彼が腰に問題をかかえていることは明らかで、きっと演技はできないだろうと思わざるをえなかった。個人的には、彼は団体戦後に個人戦から身をひくべきだったと僕は思っているけれど、彼ほど偉大な選手になると、地元の大観衆の前で欠場するのはかなりのインパクトだっただろうことは理解できる。残念ながら、彼はお辞儀をして手をふりながら観客の前から去っていったわけだが、彼がリンクを去った瞬間、会場の空気がちょっぴり冷めてしまったのは確かだった。

エフゲニー欠場というトラウマを乗り越えるために、観客にはあきらかに何か印象的なできごとが必要だった。そしてそれは、不運に見舞われたジェレミー・アボットだった。僕はジェレミーとは数多くの試合やショーで一緒にすべってきたけれど、彼は本当に氷上のアーチストなんだ。だが残念なことに、大きな国際試合ではベストの演技ができないという評判が彼にはあって、この大会も例外ではなかった。冒頭のクワドでひどい転倒をしてしまって、ぞっとするようなその一瞬、演技を続けることはできないなんじゃないかと思われた。永遠とも感じた時間(おそらくわずか10秒ほどだったんだけど)の後、彼はなんとか立ち上がると、そこからラストまで完璧な演技をやってのけた。この演技に観客はあたたかい歓声でこたえた。ロシア人が大部分を占める観客が、ロシア人以外の選手にこれほどあたたかく接したことに、僕は本当に感動したものだ。

ジェイソン・ブラウンというのは、じつにすばらしい新しい才能だ。ジャンプもよく、卓越したスピンをもち、観客とコネクトできる本物の才能をもっている。プリンスの「A question of U」にのった彼の演技を、僕は心から楽しんだ。僕自身、昔この曲ですべったことがあったし、彼がすべてのエレメンツを完ぺきに決めたからだ。クワドなしで上位6位に入ったことは、僕にとっては少々驚きだったが、スピンやステップや演技構成点で得点を積み上げることの大切さがよく現れた結果だった。とはいえ、ブライアン・ジュベールが第1グループに入らなかったのは、彼にとってちょっぴり幸運だったと僕は感じた。

羽生結弦が団体戦と同じぐらいすばらしい演技ができるかどうか、そこに疑いの余地はあっただろうか? 彼自身はまったく疑っていなかったに違いない。高く舞い上がるジャンプ、速いスピン、そしてすばらしい振付で、団体戦よりさらに輝くような演技を見せた。本当に落ち着きはらった、自信あふれる演技だったため、この19歳の少年が初めてのオリンピックで競技していることを忘れてしまうほどだった。SPで100点の大台に乗ったのは驚きでもなんでもない。最大の舞台でのすばらしい演技には、世界最高点が出て当然なのだ。

結弦のあとに続いたハビエル・フェルナンデスには、不幸な結果になった。彼はトロントで結弦のリンクメイトであり、現ヨーロッパ・チャンピオンだ。ハビエルは時おり氷上でのっそりしているように見えることがあるけれど、特にホイペット(小型の競争犬)にも似た結弦の演技の直後では、まるで歩いているように見えてしまった。曲はラリー・クリントンの「Satan takes a holiday」。プログラムをよくすべりきったものの、3つのジャンプのうち2つでミスが出たのは痛かった。それでも3位にとどまれたのは、個人的には少々ラッキーだったかなと思う。

パトリック・チャンが上手いことはわかっていた。でも、去年カナダの「スターズ・オン・アイス」で彼と一緒にツアーに出て、彼がどれほど優れているのか、僕は初めて実感したものだ。ハリファックスでツアーのリハーサルをしたときのこと。その日、彼のスケート靴が届かなかったため、僕の使い古しの壊れたダンス靴を貸すことになった。すると彼は、その靴をはいて、30分の間に5種類のトリプル・ジャンプを立て続けに決めたのだ。ラフマニノフの「エレジー」で演じる彼のSPは、ただただ崇高だった。唯一のミスは3Aのステップアウトで、これで結弦にリードを許すことになってしまった。金メダルはこの2人による頂上決戦となり、あとの選手は銅メダルを争うことになった。

ブライアン・ジュベールはさすがだった。4度目の五輪出場にして、間違いなく彼のベストの演技を見せた。彼はすばらしいジャンプの能力をもつパワフルなスケーターだが、ときに動きが固く、機械のように見えてしまうことがある。若いライバルたちに比べると、ステップやスピンに必要な柔軟性にも欠けている。でも、ジャンプがうまくいっているときの彼には、観客をプログラムに引き込む力がある。僕は彼のプログラムを大いに楽しんだし、プルシェンコが棄権した中、間違いなくベテラン世代を代表する演技だった。

僕はデニス・テンの大ファンなのだが、彼のSPは偉大な演技というには1歩足りなかった。デニスは結弦に匹敵するカリスマ性とスケーティング・スキルの持ち主だけど、それにふさわしい自信は身につけていないようだ。クワドは空中に上がったところまではすばらしかったが、自信のなさが足をひっぱったようだ。さらにコンボが2回転になったことでも失点した。それでも、振付はピカ一で、プログラムはあっという間に終わってしまった気がした。特にすばらしいのはステップ・シークエンス。彼の巧みなブレードさばきがよくわかるステップだった。SPは9位だが、3位までわずか3点差。もしもハビエルにミスが出れば、デニスが銅メダル候補のダークホースだと思う。

男子SPの最大の驚きは、ドイツのピーター・リーバースだったに違いない。団体戦のときもよかったけれど、個人戦ではさらにいい演技を見せた。美しいジャンプ、まあまあのスピン、そしてしっかりまとめた振付で、なんとオリンピックのSPで5位につけた。正直になろう、だれがこんなこと予想していた? 彼はなめらかなスケーティングの持ち主でもないし、表現力豊かなほうでもない。でも、最高の舞台で最高の演技をやってのけたのだ。

僕にとって、エフゲニーの欠場を除いてもっとも残念だったのは、高橋大輔だった。最初のクワドはひどい出来だったし、3-3のコンビネーションでもうひとつダウングレードをくらわなかったのはとてもラッキーだった。誤解しないでほしいんだけど、僕は大輔の大ファンだ。でもこのSPの演技は、彼本来の非常に高いスタンダードからすると、標準以下のものだった。彼はすばらしいスケーティング・スキルの持ち主だし、とてもなめらかな動きができる選手だが、このプログラムはなぜか僕の心を動かさなかった。もともとスピンがあまりよくないこともあり、クワドがダウングレードとなったことと合わせると、大輔がSP4位につけたことに、僕は少々とまどってしまった。

多くの選手に銅メダルの可能性があり、金メダルはパトリックと結弦の一騎打ちになったことで、男子のフリーはとてもおもしろい試合になるに違いない。

選外として、というよりお楽しみとして、いくつか賞を与えてみようと思う。

●将来楽しみで賞:マイケル・マルティネス
●キスクラで目障りだったで賞:ミーシャ・ジー
●ジョニー・ウィアー風「ねえ僕を見て」賞:ミーシャ・ジー
●ベスト・ヘアー:フローラン・アモディオ
●ワースト・ヘアー:ミーシャ・ジー
●「衣装なんてどうでもいいもんね」賞:アレクセイ・ビシェンコ(オリンピックなんだがらシャツのすそは出さないでくれよ!!!)
●「衣装なんでどうでもいいもんね」賞・次点:ビクトール・ファイファー(手袋をしていることを忘れてしまったのだろうか?)
●「オヤジでもまだモテモテ」で賞:ブライアン・ジュベール
●「シャツが一番ふわっとしてた」で賞:パトリック・チャン
●ワースト音楽:ミハル・ブレジナ(「山の魔王の宮殿にて」の最悪のバージョンだ)
●ベスト音楽:ケビン・レイノルズ(演技はステキからほど遠かったけど、AC/DCはいつだってステキだ!)
●「サスペンダーの正しい着用法がわからない」で賞:アブザル・ラキムガリエフ(きっとカザフ風の着用法なんだろうね)
●「プリンスに一番訴えられそう」で賞:ジェイソン・ブラウン


汗 …ええと、ジョン兄さんはミーシャがお気に召さないんですかね?(笑) まあ、ほかの賞もわけわからないんで、あんまり他意はないのだと思いますが!
あと、「もしもハビエルにミスが出れば、デニスが銅メダル候補のダークホースだと思う。」…ズバリでしたね!さすがジョン兄さん!

ちなみに、Absolute Skatingに写真を提供しているカメラマン氏のサイトはこちら→男子SPお写真

JUGEMテーマ:フィギュアスケート

カテゴリ:2013-14シーズン | 17:49 | comments(11) | trackbacks(0) | - | - |
コメント
たらさんこんばんわ。
需要あります!ありがとうございます!

 結果を出した選手には賞賛を(ゆづホイペットw)、実力を発揮できなかった選手には敬意を表しつつ冷静な評価を(大輔さん泣)。そしてユーモアを忘れないのは古きよきイギリスの伝統を受け継いでいるのでしょうね。辛口でも読んでいて不快感はありませんでした。

 ミーシャw いやよいやよも好きのうち?
ビザ 取れたでしょうか。
| よのにょ | 2014/03/03 9:13 PM |
同サイトにある姉のレビューも同じく辛口でしたよ!
| もん | 2014/03/03 9:59 PM |
たらさん、こんばんわ〜

需要あります!あります!←岡部さん解説風

カー姉弟の演技、好きでした。逆リフト!きっぷのいいお姉さんの尻に敷かれる弟wと思ってたのに、こんなにユーモアある人なんですね。

現役選手と近いから、批評も面白いですね。

羽生君とも2011年THE ICEで、確か共演してたらような…。私、名古屋に観に行きましたから。
あの時の少年が…って、カー弟君も感慨深く思ったかな?覚えてないかな?

テン君銅メダル予測、流石ですね。

因みに、ミーシャへの批評、私と気が合いそうですW
まだまだ、五輪ネタ楽しみにしています。では!


| りっちゃん | 2014/03/03 10:00 PM |
こんにちは(^_^.)たらさん!

需要ありますあります〜!
すごいいい記事でしたね♪翻訳ありがとうございます。
ジョン兄さんのウィットに富んだ言い回しがステキ(笑)
特に
「シャツが一番ふわっとしてた」で賞:パトリック・チャン
ってなんですかねコレwww

妙にツボです、おかしいわ〜(^O^)

FSの記事もあるんでしょうか??
辛口ジョン兄さんがどう評しているのかコワイですが。
| うしとら | 2014/03/04 9:06 AM |
たらさん 初めまして。

いつもは楽しみに拝読しているだけですが、「需要がない」と
思われると困るので(笑)、出てきてしまいました。

この記事といいハーシュ氏の記事といい、日本のメディアでは
仲々見られない、読み応えのある記事をご紹介頂き、
感謝感謝です。

元記事と並べて読み比べ、「おお〜、こういう意味なのか!」と
こちらも大変勉強になります。

羽生選手のことを「kid」という人、多いですよね。
19歳だからなのか、見た目なのか、気になります…。
(私にはテン君の方が、、、)
| どんぐり | 2014/03/04 9:21 AM |
こんにちは!

翻訳、ありがとうございます!
需要ありますよ〜♪

日本の記事ってあまりこういう批評がないですし、あっても日本人選手のものだけだから、読ませていただくのが楽しみです。

しかし、○○賞って……日本だけじゃないんですね、へんてこな賞つくるのww
ミーシャ、お嫌いなのでしょうか……?
| やまぽん | 2014/03/04 2:45 PM |
ご返事遅くなりまして申し訳ありません。

>よのにょさん、コメントありがとうございます。

ちょっぴり辛口ですけど、いかにもジョン兄さんが笑顔で語っているような文章ですよね。まっちー評も聞いてみたかったなあ。
ミーシャ、ワールドのための日本のビザ取るのに苦労してるみたいですね。何かどこへ行くにもいつも苦労してるイメージありますよね。無事に取れますように!


>もんさん、コメントありがとうございます。

団体戦のレビューですよね。はい、姉弟そろって愛ある辛口ですよね!


>りっちゃんさん、コメントありがとうございます。

需要あってよかったです^^
私もカーズ大好きでした! 羽生くんとはTHE ICEの海賊役で共演してましたよね。
あのときの少年が金メダリストですもんねぇ。きっとジョン兄さんも感慨深いことでしょう。
ミーシャ評、じつは私も…。いえ、目立とうとすることはフィギュアスケーターとして大事なことですけどね!w


>うしとらさん、コメントありがとうございます。

そう、「ウィット」。まさにその言葉がぴったりですよね、ジョン兄さんの文章。
パトリックのシャツの「ふわっと」は、やっぱりジョンも気になってたんですねえ。
残念ながら、FSは違う方がレビューしてるんですよ。
パトリックのFSのシャツについてジョンが何と言うのか、ぜひ読んでみたかったなあ(≧∇≦)


>どんぐりさん、初めまして。コメントありがとうございます。

海外の記事って、日本では考えられないぐらい辛口だったりするんですよね。
日本でもどんどん書いてくれたらいいのに…ファンが怖いかしら(^_^;)
むこうでは20歳すぎぐらいまではけっこう「kid」使う気がします。
あ、テンくんは確かに若々しいですよね…w
またぜひお立ち寄り&コメントいただけたら嬉しいです!


>やまぽんさん、コメントありがとうございます。

需要あると言っていただけて嬉しいです。調子に乗ってもうちょっと「遅ればせシリーズ」続けてみようかと思ってます。
〇〇賞、おかしいですよね。なんだかよくわからないのもあって。
ミーシャもそうですが、ジョニーのことも…? いやいや、ジョン兄さんらしい愛ある辛口ってことにしておきましょう!
| たら | 2014/03/05 12:43 AM |
突然のコメント失礼致します。

この度、ソチオリンピックで沢山の感動を与えてくれたフィギュアスケーター達に笑顔のお返しをと思い、有志の集まりで『スマイルプロジェクト』を発足いたしました。
ブログ主様やこちらにいらっしゃる皆様に、是非ともご参加していただきたく案内させていただいた次第です。
詳細は以下になります。

http://www.smile-project.info/

寄付はできない方でも当プロジェクトの主旨にご賛同いただけるようでしたら、各選手へのメッセージのみ承っておりますので是非、愛あるメッセージをお待ちしております。
尚、ご質問等につきましては、当ブログにて対応いたしますのでご安心下さいませ。
【お問い合せ:info@smile-project.info】

スマイルプロジェクト
| スマイルプロジェクト | 2014/03/06 2:01 AM |
はじめてコメントさせていただきます!

こちらのブログに来てから、大好きな
フィギュアの海外の情報やいろんな選手の
情報が見れてとてもうれしいです☆
しかも、こちらは選手の批判や悪口がないのが
いいですね!
他のブログでは、批判というかもうすでに
悪口にしかなってないものも多くて。。。
批判も、愛情があればまだいいのだけれど
もうただただ根拠のない嫌悪感に溢れているものが
多かったので、ここは安心して見ていられます(笑)

こういう人たちの感想って面白いですね!
ちょっとしたストーリーがあるのも選手ならではですね♪

ミーシャ君はネットの動画でEXかなんかで大ちゃんたちと
一緒に滑っている姿を見た事があるんですが、とっても
活発でお茶目な印象でした。
みんなとじゃれるのが好きって感じでアテンションもらう
のが好きなのかもしれませんね(笑)
私的には、大ちゃんたちも楽しそうだったし微笑ましくて
かわいいなと思いましたw

お仕事忙しそうですが、また新しい記事楽しみにしています♪
| mika | 2014/03/06 6:16 AM |
>スマイルプロジェクトさん、リンクありがとうございます。

大変申し訳ありませんが、個人的には賛同できかねる部分があり、参加は見送らせていただきますが、ご案内どうもありがとうございました。
| たら | 2014/03/07 12:57 PM |
>mikaさん、コメントありがとうございます。

おほめいただき恐縮です。励みになります。ありがとうございます^^
フィギュアってそもそも見る人の主観が入るスポーツだから、どうしてもいろんな気持ちを持ってしまいがちですけど、それは見るほうの問題であって、選手にはなーんにも関係ないんだと、常日頃これだけは忘れないようにしたい!と思っています。
ミーシャ、いい意味で「アテンション好き」ですよね!
社交性抜群だし、いろいろな国や文化に精通しているみたいだし、ミーシャ見てると「世界はせまい〜小さな世界〜」という感じがすごくします。
ワールドでも大活躍してほしいです!
| たら | 2014/03/07 1:15 PM |
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