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(超遅ればせですが…)あのハーシュ氏が感銘を受けた 羽生くんの五輪金コメント

ご無沙汰してます…と言うのもおこがましいぐらい、ご無沙汰してしまいました。ソチ五輪とっくに終わっちゃいましたね! じつは仕事の関係で今回の五輪、特に後半はほとんど追えなくて(;_;)…今やっと少しずつ追いかけているところです。
で、今さら感たっぷりですが、期間中に気になっていた記事をちょっとずつ載せていきたいと思います。もう需要もないでしょうけど、自己満のためでもありますのでどうかご容赦を…m(__)m

で、ほんとにほんとの五輪金メダリストになってしまった羽生くん。男子フリー後のプレカンで震災のことを語っていましたよね。(日本語でのコメント採録はこちら→羽生「金メダルのここからこそがスタート」スポーツナビ
このとき、震災について質問をしたのが、米シカゴ・トリビューン紙のフィリップ・ハーシュ記者だったようです。


ハーシュ氏の2月23日のツイート。「僕にとってソチ五輪で最も忘れられない思い出は、誰かがやったことではなく日本の羽生結弦が言ったことだ。」
この方、かなり辛口で有名な記者なんです。(2011年ワールドで、怪我のため結果を出せなかったレイチェル・フラットを執拗にたたいていたこともあり…あれは私、いまだに根に持ってます)なので、低調な演技が続いた男子フリーだけに、さぞ辛口記事かと思いきや……

もと記事はこちら→Hanyu wins figure skating gold; Jason Brown 9th By Philip Hersh
(*以下の羽生くんのコメントはもと記事から訳したもので、日本語のものとはちょっと違っています。)


今から15か月ほど前、完成したばかりの「アイスバーグ・スケーティング・パレス」で、ソチ五輪のテスト大会となった2012年GPFが開催されていたときのことだ。ブライアン・オーサーと、彼がコーチになってまだ数か月しかたっていなかった日本の若い選手・羽生結弦が、ふたりで黒海沿いを散歩していた。

そのときのことをオーサーはふりかえって言う。
「僕らはソチ五輪について話し出したんだ。すると、突然彼がこう言ったんだよ。“オリンピックで優勝したい。そしてその次のオリンピックでも勝ちたいんです”ってね」

その1勝目をみごとに決めた金曜日、ふつうなら人生最高の成果に浮かれ騒いでもおかしくないところを、羽生は19歳とは思えない成熟と謙虚さ、そしてこまやかな感受性をもって、この勝利について語った。
日本男子初の金メダリストとなったことは、故郷の仙台(2011年3月11日の大震災により莫大な被害を受け、羽生自身も被災している)にとってどんな意味を持つでしょうか――羽生に対してこんな質問が飛んだ。すると、彼はすぐさま、じつに印象的な言葉で答えてみせたのだ。

「はい、僕はこうしてオリンピックの金メダリストになりましたが、このメダルが被災地の復興を助けられるわけではありません」羽生は通訳を通してそう話った。「今は自分が無力だと感じています。僕は何の貢献もしていないんだなって」

「この金メダルをとるために、僕は一生懸命努力をしてきました。僕にとってはすばらしいことなのかもしれません。でも、オリンピックの金メダリストになれたからこそ、僕にとってこれがスターティングポイントになるんじゃないかなと思います。復興のために自分にできることがあるんじゃないかな、と思っています」

羽生がフリーでひどい転倒をしたこと、カナダのパトリック・チャンが五輪のタイトルを目前に自滅してしまったこと、アメリカのジェイソン・ブラウンが銅メダルのチャンスを逃してしまったこと、そして男子フリーが全体的に残念な出来だったこと――。勝敗が重視されすぎるスポーツ界ではめったに出会えないような視点を、羽生が与えてくれた今、そうしたことすべてが取るに足らないことだったように思えてしまった。

羽生は280.09で優勝。2位のパトリック・チャンは275.62。3位のデニス・テンは255.10でカザフスタンのフィギュア史上初のメダルを獲得した。ブラウンはSPでは3位と1点差未満の6位だったが、フリーでは複数のミスが出て11位、総合では238.37で9位に終わった。

震災に襲われたとき、羽生はちょうどリンクで練習中で、スケート靴をはいたまま避難せざるをえなかった。自宅が被害を受けたため、避難所となった体育館で家族と3日間過ごした。生活もスケート人生も激変してしまった彼は、練習場所とその費用を求めて奔走することになった。仙台で育った2006年トリノ五輪金メダリスト・荒川静香をはじめ、たくさんの人に助けられたという。
「僕がここにこうしていられるのも、日本で僕を支えてくれた多くの人のおかげです」羽生はそう話した。「今度は僕から何かお返しができるんじゃないかな、恩返しができるんじゃないかな、と思っています」

震災後、羽生はトロントに移り、オーサーの指導を受けることになった。仙台がそうした状況だったためでもあり、日本スケート連盟が韓国のキム・ヨナを金メダリストに導いたオーサーなら羽生のとてつもない才能を磨いてくれるだろうと期待したためでもあった。
そして、トロントに移って2年足らずで、羽生は1948年のディック・バトンに次ぐ若き五輪金メダリストになったのだ。(バトンはその次の五輪でも優勝している)

 

羽生はSPで卓越したすばらしい演技をし、100点の大台を超える101.45をマークした。カナダ男子初の金メダルをねらう世界3連覇中のパトリック・チャンに3.93の差をつけて首位に立った。
だが、フリーでチャンの直前に滑った羽生は、2つのジャンプで転倒、コンビネーションも乱れた。これでチャンはミスを1つしても優勝できる状況になった。

しかし、チャンは、冒頭の4-3はしっかり決めたものの、3度大きなミスを犯した。4-3の次に跳んだ4Tと3Aの着氷で手をつき、さらに最後のジャンプである2Aが乱れたのは痛かった。
「僕らみんな、きつい演技になってしまったね」とチャンは言った。「勝負は誰がよりミスが少ないかで決まったんだ。僕はミスが1つ多すぎた」

羽生の出来を見ていれば、2つめのクワドを跳ばない選択肢もあっただろう。しかし、フィギュアが計算力がものを言う競技になった今の時代でもなお、選手とコーチたちは頑固にプランを変えようとしないものだ。
「オリンピックに来たら、もうガンガンやるしかないんだよ」とチャンは言った。

チャンの失敗は五輪フィギュア史上もっとも驚くべき失敗だったかもしれない。五輪銀メダルを2度獲得したオーサーを含め、あと一歩で金に届かなかったカナダ人世界チャンピオンたちの系譜に連なる結果となってしまった。

ジャッジはすべての選手のミスを容赦なく罰した。羽生をはじめとしてミスが連発した男子フリーだった。
「自分の演技には満足していません」と羽生は話した。「緊張していました。でも、僕は金メダルが取ることができたし、日本国旗を上げることができました。それは誇りに思っていいことだと思います」



kyu
 あたたかい記事じゃないですか…(;_;)
確かに、羽生くんのフリー演技は今季ワーストと言っていいぐらいでした。実際、海外メディアでも「2度転倒の金メダリストなんて」という声も出ています。(ただし、あくまで期待の大きさを表すもので、羽生くん個人をおとしめているとか、金メダルは不当だったという声ではないと思います)
でも、このプレカンの発言がハーシュ氏の心をここまで動かしたのは大きいと思うんです。日本では羽生くんが震災がらみで取り上げられすぎている印象があるけれど、五輪という大舞台で、英語で発信(通訳さんを通してですが)されない限り、世界には届かなかったでしょうから。
海外になかなか伝わらないんですよね、日本のフィギュア情報って…。

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カテゴリ:羽生結弦 | 06:11 | comments(10) | trackbacks(0) | - | - |
コメント
たらさん、ごぶさたしています。
私もしばらく浦島太郎状態で…ようやく情報に追いついてきた感があり、そろそろ通常営業にもどれそうですw

この記事、とても興味がありました。
翻訳していただけてとても嬉しいです。
ありがとうございます。

こうして海外含め多くの方に震災のことを知ってもらうことは、結弦くんがずっと願っていたことでしたよね。
私も仙台に住む人間として、とてもありがたく思います。

結弦くんは金メダリストの発言がいかに影響力が大きいかを知っています。
仙台のリンクが金メダルを取った荒川さんの言葉で復活へ大きく動いたのを見ていますから…。
だからこそ「金メダリスト」になりたかったんだと思います。
いろいろなことに耳を傾けてもらえるように。
自分の言葉を通して震災や復興に心を寄せてもらえるように。

結弦くん自身被災していて、心には震災を振り返りたくないほどの大きい傷がまだ残っているはず…でも、それでも故郷のためにいろんなものを背負っていくことを決意したんですよね。
並大抵の決意じゃないと思います。
思いの強さが分かるだけに、結弦くんの言葉を聞くたびに涙が止まらなくなります。
19歳…もっと肩の力を抜いて自分のために…もっと楽に生きてもいいんだよって言ってあげたくなったりもします。

でも、これは結弦くんの決意の行動だと思うので、その思いを無駄にしないように私も自分にできることを頑張ろうと強く思いました。
そしてこれからもずっと、一生懸命、結弦くんを応援していきますよ^^

発信してくれた結弦くんに…取り上げてくれた記者さんに…そして翻訳してくれたたらさんに…
感謝したいと思います。
ありがとうございました。
| rinotti | 2014/02/28 12:11 PM |
こんばんは〜〜!
お疲れさまです!いつも翻訳ありがとうございます!

ハーシュさん、ほんと、ゆづの言動に感動したんだろうね。
いつもの辛口が消えている!(笑)
金メダル獲ったけど、これからがゆづ君にとっては勝負どころ!
とにかく、健康で怪我なく幸せな選手生活を送ってほしいな。
パトリックはワールドにくるのかな?
もう一度ワールドで男子世界一の真剣勝負をみてみたいですね!

ありがとうございました!
| みかん | 2014/02/28 7:13 PM |
初めまして。
最近お邪魔して、少しずつ遡って読ませていただいている者です。

記事の翻訳、ありがとうございます。

海外の記者の方にもあの羽生くんの想いが伝わったのなら、本当に本当に良かったと思います。

あの記者会見の全容を知った時、「何故人生で一番晴れがましい瞬間であるはずの記者会見が、こんなに重たいものになってしまったのか」と、かなりショックでした。
彼が並大抵ではない覚悟で、すべてを捧げてきたのを知っているからこそ、歓喜の会見であってほしかったのかもしれません。
日本のメディアが殆どスルーだったのも、余計にその思いを強くしていました。

でも、たらさんの翻訳された記事を読んで、多くの人に、彼の抱えている物背負っている物、故郷への想いが伝わったのなら、あの会見はとても意味のあるものだったんだな、と、今は嬉しく思います。

長々と失礼しました。
また、お邪魔にならないようにお邪魔したいと思いますw
| やまぽん | 2014/02/28 8:19 PM |
>rinottiさん、コメントありがとうございます。

仙台在住の方からすると、なおさら感慨深いでしょうねえ。ほんとに、ここまでよくがんばりましたよね。

>だからこそ「金メダリスト」になりたかったんだと思います。いろいろなことに耳を傾けてもらえるように。自分の言葉を通して震災や復興に心を寄せてもらえるように。

そうですね。私も羽生くんがそういう思いを抱き続けていることはわかっているつもりだったんですが、ここまで強いものだったんだなあと、今回改めて感じました。
もう震災にからめるのはやめて、とか、しょいこまないで、とか、簡単に言えないほど強い決意を、羽生くんは自ら背負って立ち続けているんですもんね。
| たら | 2014/03/01 8:09 PM |
>みかんさん、コメントありがとうございます。

きっともっと軽いコメントを予想して質問したんでしょうね。ハーシュさんらしくもない記事ですよねえ(笑)
パトリックはまだワールド出場を決めていないようです。来てほしいですけど、彼のプライドもあるでしょうから、じっくり待つことにします。
あ、札幌のショーへの出演は決定しましたね!
| たら | 2014/03/01 8:09 PM |
>やまぽんさん、初めまして!コメントありがとうございます。

確かにフリー後のあの会見は、表情も重たかったですよね。異例の会見だったからこそ、ハーシュ氏も衝撃を受けたんでしょうね。
胸をはれる演技じゃなかった、くやしい、という気持ちが「無力感」という言葉になってしまったんじゃないでしょうか。でも、そのおかげでかえって彼の気持ちがストレートに出たんじゃないかな、と私は思っています。
「お邪魔」だなんてそんな全然ですよ〜! またいつでもお立ち寄りいただけたらうれしいです^^
| たら | 2014/03/01 8:10 PM |
初めまして。
金メダルをとっても祝福以外のコメが多い羽生さん気の毒です。Pも認めてるようにより多くミスした人が負け。
羽生さんにメダルあげないで誰にあげるの?ですよね。
(一部ファンの人達が凄いけど)
震災の事を語る彼を批判する人も多いみたいですが、
彼のおかげで再び思い出して3,11を迎えた方も多いですよね。自分が死ぬかもしれない、と思ったことない人には解らないですよね。
フギュアと関係ない事ばかりコメしました。
Pさんこないけど、ワルド羽入選手には頑張って欲しいです。
後なぜPさんがインスタにUPしたのか謎です。
| くるり | 2014/03/16 2:43 PM |
>くるりさん、初めまして&コメントありがとうございます。

羽生くんなら大丈夫だと思いますよ。ややネガティブな論調であっても、まともな記事なら選手自身を批判するものではないでしょうし。それに、過酷な試合で勝ちをつかむのがどんなに大変なことか、そのために普段の努力がいかに大切か、羽生くんも他の選手たちもよくわかっていると思いますから。
パトリック、「僕がなぜ衣装をいじっていたか気になっていた人たちへ」と書いてましたね。カナダに帰国後、そうとう聞かれたのかもしれませんね。
| たら | 2014/03/16 11:56 PM |
詳しい解説ありがとうございます。
ソチでの男子フィギュアは残念な結果とは思っていません。
前回 バンクーバーより レベルアップした熱い戦いで技術も芸術性も最高の戦いであったと思います。
確かに転倒等はありましたが 高得点の出る構成に挑みそして
芸術的にも魅せられました。
多くの選手が自分の最高の演技とは言えなくてもできる範囲で最高の演技をしてさらに挑戦する過程であることが期待できるのはすばらしいと思います。
一番気の毒に思えたのはパトリックチャン選手 本来もっとすばらしい演技ができる選手と思います。
チャン選手がリンクの上の立った美しさに魅せられましたが緊張 プレッシャーの感じられる演技でした。
| フィギュアファン | 2014/03/20 3:29 PM |
>フィギュアファンさん、コメントありがとうございます。

そうですね。おっしゃるとおり、選手全員、それぞれの技術と表現の限界に挑んだハイレベルな大会でしたね。だからこそ、転倒やミスが相次いでしまったのかもしれませんね。
パトリック・チャン選手は今シーズンずっと、最後の五輪で最高の演技をするイメージトレーニングをしていたんですよね。それにずっと以前から、カナダでフィギュア人気を盛り上げるために自分が金を取りたいんだとも言っていました。
それだけに落胆は大きかっただろうなあと思うと、私も残念でたまらない気持ちになります…
| たら | 2014/03/21 9:34 AM |
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