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パトリック・チャン、「ラ・ボエム」と新プロ「四季」を語る @skatecanada
当ブログとしては異例の2日連続更新! しかも2日連続パトリックでございます(笑)
カナダスケート連盟のサイトに、今季の新フリー「四季」についてだけでなく、昨季の「ラ・ボエム」や去年からの環境の変化などについて、パトリック自身がたっぷり語っている記事が掲載されていました。(Hanaさん、教えていただきありがとうございます!)

元記事はこちら→Patrick Chan unleashes Vivaldi at Thornhill Summer Skate 8/19/2013



「パトリック・チャン、Thornhill Summer Skateでヴィヴァルディを初公開」

この夏、彼はコロラド・スプリングスで荷物をまとめ、デトロイトへと引っ越した。コーチのキャシー・ジョンソンと二人で、荷物をたっぷりつめこんだ2台の車――屋根の上には彼の自転車が積まれている――で小さなキャラバンを結成して、アメリカ中西部の大平原をえっちらおっちら走り抜けた。荷物をすべてほどき終えたのは8月も半ばになってからだった。チャンとジョンソンはこの移動を休暇旅行も兼ねさせることにしたのだ。通常なら2日で移動できるところを、途中でカンサス・シティやシカゴに立ち寄った。これはチャンにとって新しい始まりだった。これからはデトロイト・スケーティング・クラブのスケーターだ。

8月18日にトロント近郊で開催されたThornhill Summer Skateで、彼が初公開したオリンピック用プログラムは、新しいものであると同時に古いものでもあった。曲はヴィヴァルディの「四季」。チャンが2006-7シーズンの世界ジュニアで2位になったときに使った、華やかで豊かなイタリアバロック音楽の作品だ。2007-8シーズンには世界選手権デビューの際にこの曲をスウェーデンで再び使い、9位になった。このときの振付はローリー・ニコル。今回はデビッド・ウィルソンだ。

「ヴィヴァルディではいい結果をたくさん出してきたよ」とチャンは言う。「このプログラムを最後に滑ったとき、自分でわかっていたんだ。もう一度オリンピックで滑るんだろうなと」
プログラムのもともとのバージョンは、オズボーン・コルソンからチャンへの最後の贈り物だった。2006年に90歳で亡くなったコルソンは、コーチと振付師を兼ねるのが常だったが、2006-7シーズンには、フリーをローリー・ニコルに振付けてもらうよう初めてチャンに勧めたのだった。

つまり、ヴィヴァルディの新プログラムは、チャンにスケーティングスキルを教えたコルソンに捧げるものになる。チャンはこの新しいバージョンのことを「自分のGreatest Hits」[*ヒットメドレー、ぐらいの感じでしょうか]と呼んでいる。過去に使った曲の音色と主題を組み入れ、さらにずっと昔、コルソンが彼のために考案してくれた基本的な動きも入っているからだ。

「突拍子もないことをやるつもりはないんだ」とチャンは言った。「今シーズンは限界に挑むようなことはしない。今季はそれをやるべきシーズンじゃないんだ。今季は心地よいと思えるもの、スケートを楽ませてくれるもの、ベストなスケートをさせてくれるものへと立ち戻るシーズンだと思う」
曲を選んだのはチャンだ。彼は振付にも参加し、とりわけ以前のプログラムで気に入っていた振付のパターンや親しみのあるちょっとした動きを入れる役割を果たした。巧妙な細部の振付やターンや動きはたっぷり入っているが、いわば履き心地のいい靴のような感覚のプログラムなのだ。それでも高度なプログラムではあるため、ペース配分や自分に合うリズムをつかんでいかなくてはならない。



ショートは昨シーズンのものを持ち越すというが、これは当然だろう。ラフマニノフの「エレジー変ホ短調」を使ったショートでは、3月のカナダ・ロンドンでの世界選手権で98.37という世界最高点をたたきだした。今回Thornhillではショートは滑らず、フリーだけだった。早い時点で観客とジャッジの前で披露し、ソチ五輪にむけて勢いをつけるためだ。

今回の出場選手には復活してきた織田信成もおり(スタンディングオベーションを受け、優勝した)、まるでグランプリシリーズの試合に近い感覚だった、とチャンは言う。
そしてチャンが演技をおこなうと、客席を埋めた観客たちは、チャンの才能を見せつくすよう作られたプログラムの中で、彼の卓越したブレード使いを目撃することになった。完璧な演技ではなかった――3回転のジャンプのいくつかが2回転や1回転になった――が、チャンはフットワーク、スピン、つなぎをきちんと実行することだけを意図していた。チャンのパワーに見合うリンクはどこにもないのだろう、小さなホッケー用リンクではジャンプは壁ギリギリになってしまった。4回転ジャンプは2本決め、そのうち1本は3Tとのコンビネーション。今年は4回転への入りのパターンを変えて跳びやすくなったという。そう、ジョンソン・コーチによると、チャンにとって4回転はますます簡単なものになっているそうだ。

オリンピック用プログラムの初披露だけあって、心理的なプレッシャーはあった、とチャンは認めた。緊張していたし、みんなが気に入ってくれるか気になっていたという。それでも、自分が気に入っているのだから、みんなも気に入ってくれるはずだと思っていた。それはそのとおりだった。観客は彼にスタンディングオベーションを送った。

世界選手権ではミスを連発してフリーで2位に甘んじるなど、昨季は苦しんだシーズンだった。チャンは「実験的なシーズン」だったという。いつもは毎年新プロは1つだけだが、昨シーズンはジェフリー・バトルとデビッド・ウィルソンという2人の新しい振付師のもとで、プログラムを2本とも新しくした。ウィルソンがチャンのために初めて振付けたのが「ラ・ボエム」だったが、じつは苦闘していたんだと、チャンは今、認めている。
「ラ・ボエムは大好きだったよ。でも、それは僕じゃなかったんだ」
彼とウィルソンは去年はまだお互いのことがよくわかっていなかった。だが、今はわかり合っている。

チャンによると、ラ・ボエムは「やたら長く感じた。編曲のしかたもそうだし、ステップもいつもよりちょっと遅く感じた。最後のコレオシークエンスもそれほど速くノリのいいものだとは感じられなかった」という。今度の新しいプログラムでは、最後におこなう彼自慢のステップで、観客とジャッジを乗せ、そしておそらく彼自身も乗せていくものになるはずだ。

デトロイトでは穏やかで自由な気分で過ごしているという。リンクメイトには元全米チャンピオンのジェレミー・アボットやアリッサ・シズニー、同じカナダのエラッジ・バルデなどがいる。
「みんな、ものすごく仲良くやっているよ」とチャンは言う。「みんながお互いの役に立っているんだ。本当にそうなんだよ。僕ら全員が一緒に高め合っているんだ」
「お互いにいい刺激になっているよ。そして、エラッジとの練習でこんなに笑ったことは今までなかったよ」リンクメイトと一緒にディナーを食べに行ったり、ビデオゲームをすることもある。チャンはクラシックでビッグな「アメ車」が大好きという点でも、まさにぴったりの街にやってきたのだ。

シーズンでこれほど早く試合に出たことも、4回転ジャンプを決められたことも、今までなかったことだった。
「すべていい方向に進んでいるよ。トンネルの奥に光が見えてきたところなんだ」
彼は今、責任感を感じている。おそらくカナダ男子初の五輪金メダリストになることへの。




 いろいろ興味深いことは多いけれど、ファンにもファンじゃない人にも人気が高かった去年のフリー「ラ・ボエム」について語っているところが、個人的には特におもしろかったです。
「滑りにくかった」と言っているのは読んだことがあるんですが、冗長に感じていたんですね。ウィルソンともいまいち呼吸が合っていなかった模様。まあ、私はそれでも「ラ・ボエム」は大好きだったんですが、こうやって今振り返って分析できているということは、今年の新プロがよほどフィットしていて、ウィルソンともいい関係が築けている、ということなんでしょうね。
初見では「うーん」と思った「四季」ですが、動画を10回ほど(笑)見てみた結果、今はけっこうポテンシャルがあるプロなんじゃないか(上から目線ですみません…^^;)と感じています。ソチではどんな「作品」になるのか、本当に楽しみ!
…しかし、話は違いますが、ソチ五輪がほぼ確定している選手はしっかり行程が描けてうらやましいよなあ…。

JUGEMテーマ:フィギュアスケート
カテゴリ:パトリック・チャン | 10:59 | comments(8) | trackbacks(0) | - | - |
コメント
 たらさんこんばんわ。どうしたんですか〜どと〜の記事アップ、嬉しいんですけど。

 >ソチ五輪がほぼ確定している選手はしっかり行程が描けて

ですね。ピーキングだって、オリンピックに合わせればいいんですから。日本選手は、GPSも全日本も頑張らないと勝ち抜けない(うっうっ)
 パトリックと「四季」の関係について、「王道、きたー!」としか思わなかったのですが、彼にとって大切な曲だったのですね。先日、ちびパトリックの動画をご紹介いただきましたが、パトリックが背負う責任感を子供の頃のワクワクに変えてくれる魔法の曲になるかも知れません。
 
 デトロイトへの引越しキャラバンの話も面白かった。
 誰かさんにもこんなゆったりした時間をすごして欲しいけど、無理だろうなあ。

 ところで、どうしてもアノ話になってしまうのですが、GPSでは「パリ散」と「エレジー」が2回もガチンコ!全日本では日野君と羽生君が曲違い「ロミジュリ」。
 そしてアメリカ女子ワグナー選手も「ロミジュリ」ウイルソン振り付けですよね?クラクラしてきました・・・。
| よのにょ | 2013/08/22 8:09 PM |
こんばんは!みかんです!

たらさま、パトリック情報ありがとうございます!しかも、動画付き!
翻訳、お疲れ様です&ありがとうございます。

いやあ、正直、このフリーなら、日本男子も勝てる可能性あり!とおもっちゃいました。

パトリックファンのみなさん、ごめんなさいm(__)m

振付は、素晴らしいんですよ。

でも、パトリックの個性はバロックじゃないって思うんです。もちろん、私見ですが。私からみると、バロック的スケーターは大ちゃんですね。あと、ヴィヴァルディを滑りこなせるのは、ステファンかジェフかって印象です。たしかに、昨年の「ラ・ボエーム」のほうが彼の個性にあってた気がします。

そういう意味では、ジェフの振付センスはスゴイなって思います。

パトリックは音楽性が際立って高い選手じゃないと思うんですね。まったくないわけではないのですけど、なんというか、大ちゃん、ステファン、ジェフに比べると、かなり劣る。その辺のことをよく理解して、彼のスケーティングを最高に生かす振付をしたジェフって、ほんと、スゴイと思います。

ただ、この「四季」を滑りこなしたパトリックを見るのもすごく楽しみではあるのです。

いやあ、どうなっちゃうんでしょうか?オリンピック!
今から、ドキドキですよね〜。
| みかん | 2013/08/22 8:17 PM |
たらさん、早速ありがとうございました。
私はファンなのでファンの欲目もあるでしょうが、パトリックは滑りで音楽を表現するのは断トツだと思います。
出だしの片足で半円を描くところからうっとりしてしまいました。
ただ個人的には今回のフリーは、上半身の動きがもうちょっと柔らかくなれば…!と思う箇所がいくつかありました。
ラ・ボエームは良かったですよね。
エキシも色々なジャンルを滑ってるし音楽表現の幅は広いと思ってます!(←突っ込みが入りそうですが)

日本のように代表争いはなくても、彼が背負ってるプレッシャーは半端ないことでしょう。
カナダ悲願の金メダル、三連覇の世界王者、それに毎回起こる得点騒動…
(私はただ応援するだけですが、想像しただけで胃が痛くなりました。)
そのプレッシャーに打ち勝って、ソチで素晴らしい演技が披露できるよう願ってます!
それにしても、コルソンコーチとの逸話はいつも泣けますね。
| Hana | 2013/08/23 6:54 AM |
 たらさんの過去記事で改めて確認しました。アシュリーはプロコフィエフでした(日野君と一緒)

Hanaさんへ(たらさんスペースお借りします)
>彼が背負ってるプレッシャーは半端ないことでしょう
 確かにそのとうりですね。フィギュアスケートはどんなに用意周到に準備をして試合に臨んでも、何がおきるかわからないスポーツだもの。でも、バンクーバーの忘れ物を取りに行くために、パトリックなら頑張ってくれると思います。
 
 もちろん、うちの(どこの!?)勝ちたがりのボクも頑張りますヨ!
 
 
 
 
| よのにょ | 2013/08/23 1:40 PM |
>よのにょさん、コメントありがとうございます。
もちろん、その国を1人で背負って立っている選手には、想像を絶するプレッシャーがかかるでしょうけれど、これから半年のプロセスを描けるという強みはあると思います。

ところでアノ話…昨シーズン高得点を争った「パリ散」と「エレジー」がカナダとフランスで二回とも当たるというのは、とっても興味深いことになりましたね!
パトリックは同じプロを2年続けて滑ることに慣れているでしょうけど、羽生くんは果たしてどうでしょうね? 振付けも衣装も手直しするらしいので、1シーズン前向きで新鮮な気持ちを持ち続けることができれば、点はさらに伸びるかも…。もちろん他の選手も奮い立つでしょうし、これはものすごい戦いになりそうですね!
| たら | 2013/08/23 5:44 PM |
>みかんさん、コメントありがとうございます。
みかんさんとHanaさんのコメント拝読して、「フィギュアにおける表現とは何か?」という永遠の課題が…(^_^;)
パトリックは確かに肩や腰でリズムをとって踊るタイプじゃないというか、もっと平たく言えばディスコ(←死語?)でノリノリで踊れるタイプではないけれど、スケートの伸びの強弱で音を表現し、ターンの強弱でリズムを作りだすというか…うーん、私にはうまく言えないですけど、独特の音楽性を持っている選手だと思うんです。
確かにこの「四季」は、私も最初に見たときには「弱い」と思ってしまいました。観客を沸かせるドラマチックさに欠けるんじゃないかと。でもこの「四季」、きっとシーズン終わりにはがらりと変わっていると思いますよ。理由は私の勘ですが…(^_^;)
ただ、オリンピックという場では観客を沸かせたほうが強いかもしれない…いったいどうなるんでしょうね!?
| たら | 2013/08/23 6:03 PM |
>Hanaさん、コメントありがとうございます。そして記事を教えていただき、改めてありがとうございました。

>パトリックは滑りで音楽を表現するのは断トツだと思います。

私もまったく同意です。ただし…

>音楽表現の幅は広いと思ってます!

これはどうだかわかりません(笑)フィギュアってつくづく人によって好み、解釈、判断がものすごくわかれる難儀なスポーツですよねえ。
パトリックの得点騒動…特にニースで起こったブーイングと、その後のコーチとの別離は、さぞ辛かっただろうなと思います。それだけに「四季」を選んだ想いが胸に迫りますよね。
まあ並々ならぬ自信と自負と図太さも持ち合わせているパトリックなので、きっといいプログラムにしてくれると期待しています!
| たら | 2013/08/23 6:43 PM |
>これはどうだかわかりません(笑)
あぁ、やっぱり突っ込まれました(笑)
エレジーみたいなクラシックは勿論、マニッシュのような男っぽいのも帽子プロのような小洒落たのも似合ってた(ラボエームでは感情表現までアップしたし!)ので、意外と幅広いな〜とおもったんですけどね^^;

人によって好みが分かれるところがこのスポーツの魅力(そして時にはストレスの元…)なのかもしれませんね。

>よのにょさんへ
コメントありがとうございました。
オリンピックを目指す全選手にとって良いシーズンであって欲しいですね。
そしてソチの大舞台では1人でも多くの選手が実力を発揮できますように!
| Hana | 2013/08/24 7:37 AM |
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