「ミニ全日本」と言われたグランプリファイナル男子からわずか2週間。全日本の直前というこの絶妙(?)な時期に、ファイナルを制した高橋くんのインタビューがGolden Skateにアップされまた。ライターはおなじみのタチアナ・フレイドさん。12月19日付の記事です。
「高橋、シーズン後半に向けてギアを上げる」
日本の高橋大輔は、史上最も華やかな経歴をもつ男子スケーターだ。そのすばらしい履歴に、今また新しい歴史的なタイトルが加わった。今月はじめ、ISUグランプリ・ファイナルを制した初めての日本男子になったのだ。そのほかの「初」には、日本男子初の世界選手権優勝(2010年)、オリンピックメダル(2010年銅メダル)、世界ジュニア優勝(2002年)がある。
オリンピックの舞台となるソチで、26歳の高橋は、自身の究極の夢であるオリンピック金メダルに向けて、新たな一歩を踏み出した。ファイナル優勝は彼にとって大きな自信になっただろう。しかし高橋のコメントは、例によって一筋縄ではいかないものだった。
「これが自信になったかどうか、はっきりとは言えませんが、自信につなげていけたらいいなとは思います。もちろんこの順位と結果はうれしいです。またひとつ、日本男子初というものに関わることができたので」
だが、オリンピック銅メダリストである高橋にとって、フリーで一番重要だった瞬間は、ふたつ目の4Tを降りた瞬間だったという。
「今シーズン、そしてあの怪我以降、ふたつ目のクワドを着氷できたことは練習でもなかったんです。それができましたからね。これでさらにのっていけるかなと思うし、自信になるといいですね。自分は降りられるってわかりましたから。一歩前進したんじゃないかと思います」
ファイナル男子には史上初となる日本選手4人が登場した(残りはカナダのパトリック・チャンとスペインのハビエル・フェルナンデス)が、高橋はその中の最年長だった。ショートで首位に立ったあと、彼は「若手」には負けたくないと冗談めかして語っていた。実際、負けはしなかったものの、本当に勝ったわけでもないと感じているという。
「優勝はしましたけど、フリーで3位でしたからね。勝てたわけじゃない。自分の課題や問題が見えたので、ここで学んだ教訓が自分をもっと成長させてくれるといいなと思っています」
過去何度も全日本選手権を制してきた彼にとって、大事なのは勝ち負けだけではないらしい。
「むしろ男子シングル全体の流れ、波ですね。置いていかれたくないんです。しっかりついていきたい。追いつけなくならないように、出遅れないようにしたいです。今はほかの選手たちと同じラインに立っていると思うので、自分もまだついていってるんだぞ、というところを見せたいですね」
彼の次の試合は、今週札幌で開催される全日本選手権だ。
「ちょっとスタミナに不安があるので、追い込みすぎないようにしたいです。演技をうまく調整して、ふたつのクワドを着氷し、アクセルをよくしていきたいと思っています」
「全日本では会場とその雰囲気を楽しみたいですね」全日本に向けた準備について聞かれて、彼はそうつけ加えた。
全日本では、ファイナルでともに戦った羽生結弦、小塚崇彦、町田樹、そしてそのほかの選手たちと合いまみえることになる。高橋は世界選手権のメンバー入りを確実にしたいだけでなく、2月の四大陸選手権にも出たいと考えている。四大陸は彼の地元の大阪で開催されるからだ。
今年3月、ニコライ・モロゾフと共に、二人が再び手を組むと発表したときには、ちょっとした騒ぎになった。高橋は2008年までモロゾフをコーチとしていたが、あまり友好的とは言えない別れ方をしていた。
「もちろん、きれいな別れ方ではなかったですね。でも、今一緒にやっていると、本当に気まずいことがあったのかなって時々思ってしまうんです。僕らは今、自信をつけようとしているところです。もちろん、彼に対しても自信をもって信頼できるようになりたいですし、僕らはお互いへの信頼感も築こうとしているところなんだと思います。今はそれがちょっぴり形になり始めたところかな。それが僕らに見えてきたところだと思います」
高橋は長年一緒に組んでいる長光歌子をメインコーチにしているが、練習や試合ではモロゾフのコーチングも受けている。
「練習ではちょっとした変化もありますね。僕は彼(モロゾフ)に、何か具体的なものとか課題とかを求めているわけじゃなくて、肝心なのは一緒にやるってことなんです。彼は僕に、オリンピックの金メダルを目指して一緒にやる気はあるかと聞いてきました。もしもそれがうまくいかなくても、それでいいんです。実際に挑戦してみない限り、うまくいくかどうかなんてわからないから。」
高橋はモロゾフとのことについて、さらに言葉を続けた。
「彼は僕が金メダルを取れると思っているんです。彼のほうから僕にアプローチしてきた。つまり、僕に対して期待しているってことです。少なくともその期待には応えたいと思っています。お互いの関係の中で僕は試されているんだと思うし、そういういい緊張感は自分にとって必要なものです。この緊張感が自分に役に立つでしょうし、今後も続いていくといいなと思っています」
今、自分に何パーセントの力があるのか、自分ではわからないという。
「うーん、自分がどこまでやれるかわからないので、その質問には答えられませんね。いつも、これが限界だ、ここまでだって思うんですが、周りの人がみんな言ってくれるんです、“いや、もっといけるはずだ、限界を押し上げなさい”って。それを聞いて僕も、もっといけるかもしれないぞと。練習をしていると、今やってることよりもう少しやれるぞ、という感覚が欲しくなるんです。僕は今どこにいて、どこまで来ているんでしょうね」
ソチではオリンピックの会場を経験することができてよかったと、高橋は言う。
「まずはオリンピックのリンクと会場を知りたいと思っていました。もしオリンピックに出場できることになったら、これがプラスに働くだろうなと。たとえウォームアップ・エリアとほかのエリアが違ったとしても、少なくとも(この場所を)知ることはできました」
ソチに来たことは刺激になったという。
「この会場を知ったことで、もう一度ここへ戻ってきたいとちょっぴり思い始めました。これ(この気持ち)が自分の中にあることは否定できないですね」
「もちろん理想ですが、ここ(ソチ)で引退できたらいいなと思っているんです」
彼はそう明かした。その理由は、彼にとってロシアが特別な意味をもつ場所であるからに違いない。
「僕にとって、ロシアはターニングポイントだったんです。2011年のモスクワの世界選手権で、僕は大失敗をしてしまい、散々な演技をしてしまった(スケート靴のねじが取れたせいで演技の中断を余儀なくされ、結果は5位だった)。オリンピックに出たいと心から思ったのはそのときだったんです。“よし、ソチを目指そう”…モスクワでそう言ったのが2年前です。この場所がこれからも僕にとって特別な意味を持つ場所であるといいな。“最後の演技はあそこだった”と言えるようにね」
では、引退後、彼は何をしたいのだろうか?
「コーチか先生になりたいですね。なんらかの形でスケートにかかわっていきたいです。」
とはいえ、自分をショースケーターとしては見ていないらしい。
「(引退したら)きっともう自分のスケートにはあまり興味がなくなるんじゃないかな」
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「大ちゃんの口調じゃない!」と思われた方、ごめんなさい〜・゜・(ノД`)・゜・
大輔さんの言葉を英訳し(この時点でかなり苦労があったものと思われますがw)、それをさらに日本語にするという苦行ゆえ…内容だけ読み取っていただけましたら幸いです。
よけいなコメントはいたしませんが、ひとつだけ気になったのは…大ちゃん、東京ワールドは!!??
ソチ五輪のあとの世界選手権は東京(または埼玉)ですよね?それが最後の舞台かと勝手に思い込んでいたのですが(あ、もちろん五輪もワールドも出場未確定であることは大前提ですけどね)……。
って、今の時点で心配するのは早すぎですね。まずは全日本!!!
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