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川スミ、狂気の愛とスロークワドサルコウでスケアメ優勝! Icenetworkより
ソチのために用意していた渾身のフリーで、スケート・アメリカで圧巻の優勝に輝いた、ロシアの川口悠子&アレクサンドル・スミルノフ。テレビ放送はまだ来週なので、私も動画でしか見れていませんが、ものっすごい演技でしたね!(しかしエース対決煽りばっかりするぐらいなら、ペアとダンスの優勝チームぐらい放送してもバチは当たらないのよテレ朝さん)

Icenetworkにこの大会のペアについての記事が上がっていましたので、川スミについて書かれた前半だけ訳したいと思います。

元記事はこちら→Kavaguti, Smirnov use throw quad to clinch gold



「川口&スミルノフ、スロークワドで金メダルを守る」

苦悩と、無我夢中と、スロー・クワドサルコウの間のどこかで、川口悠子は記憶が飛んでしまったのだという。

川口とアレクサンドル・スミルノフのフリーの曲は、チャイコフスキーの「マンフレッド交響曲」。この曲の力にあふれたテンションに耐えられるよう、コーチのタマラ・モスクビナは2人に情熱的なストーリーを与えた。2人がこのプログラムを滑るのは2シーズン目だ。川口によると、これまで数えきれないほど何度も何度も通し練習をやってきたそうだ。

「(今日の演技の)始めのほうでは、私は気が狂ったさまを演じていたんですが、その後は夢中になってしまいました。毎回、滑るたびに違った演技になるんです」川口はそう話す。
スミルノフのほうは、川口よりは記憶がはっきりしているそうだ。
「これが僕が彼女を愛するストーリーです。でもその愛が報われない愛であるために、僕は正気を失っていくんです」

物語のあらすじはわからなくても、その情感は十分に伝わる演技だった。中世の小鬼のような衣装とヘアスタイルで現れた小柄な川口と、超マッチョなスミルノフ。2人は信じがたいほど難しいエレメンツ――3T〜3Tのシークエンス・ジャンプ、スロー・クワドサルコウ、そして3つの高難度のリフト――を次々と決めながら、メロドラマの俳優たちさながらに感情を噴出させた。スミルノフがこぶしを握り締め、天に懇願するシーンもあった。

そして、それはすべて功を奏した。2人が過去に滑ってきた穏やかなプログラムよりも、その激しい苦悩の演技は彼らによく似合っていた。フリーの結果はパーソナルベストとなる140.00。総合では2位に25点もの大差をつける209.16で、2人はGPS6勝目、スケート・アメリカでは初の勝利を手にした。

リンクでの苦悩の表情は、記者会見では一転、笑顔に変わった。スミルノフの膝の怪我のためにオリンピックシーズンを棒にふった2人は、競技に戻れた喜びにあふれていた。

「私にとっての(競技を続けようという)モチベーションは、スケートが大好きなことです」32歳の川口はそう話した。
「たぶん自分がやりたいことを、まだやりきっていないんだと思います。だから私はスケートを続けるのでしょう。パートナーの怪我のために、私たちはたくさんの試合を逃してしまいました。そのことが(競技を続ける)理由なのかもしれません」

スミルノフは先週息子が生まれたばかりだ。スケート・アメリカでは息子の存在が励みになったという。
「僕は息子のために滑っていました。集中できたのは息子が助けてくれたおかげです。この大会でスロー・クワドサルコウをあれほどきれいに決めることができて、とてもうれしいです」と、29歳のスミルノフは話した。

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「記憶が飛んでしまう」というのはちょっと大げさな表現かもしれませんが、原文では"I got lost."「無我夢中でわからなくなってしまった」という感じです。そこまで没入していたんですね。まさに鬼気迫る演技でした!





清らかで柔らかなSP「タイースの瞑想曲」から一転、激しくドラマチックなフリーの迫力がものすごいです。上でスミルノフが話しているように、追い求める男と逃げようとする女が、愛憎のもつれから狂い合っていくストーリーなんですね。
動画では遠目にしかわかりませんが、演技を終えた悠子ちゃんの放心した表情がすごい。サイドバイサイドのスピンがそろわないなど、ちょっとしたほころびはあるものの、現代アメリカのリンクを完全にヨーロッパのゴシック的世界に変えてしまった、すさまじい演技でした。言ってもしかたないことなんですが、ああ、この演技をソチで見たかった…(;_;)
このテンションで、しかもこの高難度のエレメンツを、今後試合のたびにやっていくのは心身ともにかなりの負担になりそう…。これは町田くんのフリー「第九」でも感じたんですが、トップのアスリートたちが自分の心と体に課していることのものすごさに震える思いがした演技でした。早くテレビで見たい!

そして、今日おこなわれたエキシビションの動画を、さっそく上げてくださった方が。これもすごい! リンクに横たわる悠子ちゃんを吊り上げる出だしから、凝った大技のオンパレード。どことなーく、うさんくさーい雰囲気も中毒性あります。



次戦はNHK杯。このフリーをこの目で見られるんだと思うと、楽しみで怖くてゾクゾクしてしかたありません!!

JUGEMテーマ:フィギュアスケート
カテゴリ:ペア | 15:10 | comments(10) | trackbacks(0) | - | - |
新ペア誕生!マリッサ・カステリ&マービン・トラン
(『2014-15新プロ情報』の記事へのリンクを右の「News!!」欄に貼りました。よろしければぜひご活用くださいませ〜♪)

全米2連覇のマリッサ・カステリ&サイモン・シュナピア組がペアを解消して数週間。北米系の掲示板では新パートナーの存在がささやかれていましたが、ついに発表来ました。
やっぱりマービン! そう、成美ちゃんとの電撃解散で多くのファンの涙を誘い、その後新パートナーと組むもオリンピックを逃すなど、なかなかむくわれなかった”私たちの”マービン・トランくんが、とうとうスポットライトの当たる場所に!!
…といっても、まだ不確定要素があるらしいんですよね。ああ、早くマービンに幸せになってほしい!

6月10日付のIcenetworkの記事です→Castelli, Tran teaming up despite logistical hurdles




「カステリ&トラン、地理的なハードルを乗り越えてペア結成」

じつはマリッサ・カステリには内心、マービン・トランとの話が実らないでほしい、という気持ちがあったという。こういうパートナーシップにはたくさんの事務手続き、長い待ち時間、ひんぱんな長距離移動が必要になるからだ。
ところが、一度トランと滑ってみたところ、とてもよかったのだという。

「最初は2人で滑りたくなかったんです」カステリはそう打ち明けた。「でも、とりあえず滑ってみたら、“またもう一度やってみてもいいかな”ってなったんです」
2度目のトライアウトの結果、2人はパートナー同士になった。

カステリは、過去8シーズンにわたってサイモン・シュナピアと組んできた。アメリカ代表として2014年ソチ五輪にも出場した。ただ、シュナピアと別れた後には、早く氷に戻りたいがために急いで新パートナーを決めるようなことはしたくない、と発言していた。長い目で見て確実に合うパートナーを探したいと考えていた。

カステリもトランも、このペアが成立するためには辛抱強く手順を踏んでいかなくてはならないことはわかっている。けれども、2人が氷上でつかんだ感触はすばらしいもので、それだけの苦労をする価値があると思えたのだという。

23歳のトランはカナダ人だ。このシーズンはナターシャ・ピューリッチをパートナーに迎えたが、2014年カナダ・ナショナルでは4位だった。ピューリッチの前は6シーズンにわたり、日本代表として高橋成美と組んでいた。高橋&トラン組として2012年世界選手権3位までのぼりつめた。

カステリも同じく23歳。シュナピアとのペアで2度全米チャンピオンになっており、ソチ五輪の団体戦ではチームUSAの一員として銅メダルを獲得した。ソチの個人戦では9位、さいたまの世界選手権では11位だった。2人ですばらしい成績を残してきたが、以前から性格的に衝突することも多く、5月にペア解消を発表したばかりだ。シュナピアは現在、ディーディー・レンと組んでいる。

カステリはIcenetworkの取材に対して、カナダ代表になるつもりはまったくなかった、と話した。「だって私は根っからアメリカ人なんだもの」

トランは現在、カナダチームを離れることについて、スケート・カナダ(カナダのスケート連盟)からの返事を待っているところだ。6月末に開かれる次回のスケート・カナダ理事会で、トランの所属について決定されることになっている。トランは最低1年間は国際試合に出場できなくなる見通しだ。トランが出場した最後の大会は、ピューリッチとともに5位に終わった四大陸選手権だった。

トランがどの国の代表になるのかは、連盟の役員たちの今後の判断待ちだが、本人たちはもう2人で練習を開始している。練習拠点はカステリがキャリアの大半を過ごしてきたボストンと、カナダのモントリオールの両方になる。ボストンでのコーチはボビー・マーティン。ただ、大半の時間はモントリオールで、ブルーノ・マルコットをコーチとして練習する予定だという。
カステリ&シュナピア組を振付けていたジュリー・マルコットが、カステリ&トラン組の来シーズンのプログラムの振付をおこなう予定だ。カステリが言うには、ジュリー・マルコットはすでにSPの構想は終えているものの、フリーはまだ最終決定していないそうだ。

トランは、ボストンとモントリオールの行き来には6時間かかるけれど、ちょうどいい「絆を強める時間」になるね、と冗談まじりに話した。
2人はボストンとモントリオールの両方でトライアウトをおこなった結果、相性がぴったりだとわかったのだという。
「私にとってラッキーだったのは、マービンがやるべきことをしっかりわかっていたことよ」とカステリは言う。「課題はいくつかあるけど、2人の間には自然ないいタイミングがあるの。最初は違う人と滑るのがとても怖かったけれど、もう今はマービンと滑っていて居心地よく感じるわ」
「トライアウトの出来には僕もびっくりしているよ」と、トランも言う。

この件でカステリのハードルになるものの1つに、フランス語があるだろう。モントリオールはフランス語圏だからだ。フランス語はどのくらいできるのか聞かれると、カステリは笑って答えた。「ゼロも同然よ」幸いトランは堪能だ。
カステリは、トランとは7年間からいい友達だったし、この新しい冒険を楽しみにしているそうだ。

トランもこのパートナーシップに期待している。国籍の違いは多くのペアが乗り越えてきたことだから、という。
「今のところ、感触は最高さ。僕は楽観視しているよ」

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エルモ ええと…確認できていないんですが、「最低1年間は国際試合に出場できない」って、規約でそうなっているんでしょうか? 今年1月の四大陸から数えて、少なくとも来年の1月までは国際試合に出られない、ということだと考えていいのかな。
ともあれ、マービンに新しいパートナーが、それもマリッサという有望なパートナーが見つかって、本当によかったです。しかし心から安心できないのは、またまた国籍問題がつきまとってしまうこと…。でもそれをわかっていてもなお、相性がぴったりだというのだから、これはすばらしいペアになる可能性大、ってことですよね!?
ただし…この記事で気になったのはマリッサの言葉の数々。実は嫌だったとか、「カナダ?ありえないわよ。だって私はアメリカ人だもん!」とか、けっこうストレートな性格なんですね。なんかマービン、最初から尻にしかれてないか?ヘ(゚∀゚ヘ)
いずれにせよ、今月末の会議でまちがってもダメ出しとかしないでくださいよ、連盟さん!

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カテゴリ:ペア | 12:32 | comments(0) | trackbacks(0) | - | - |
Jackie Wongの2012年ベストプロ 第3位「高トラのワールド・フリー」(;_;)
twitterをやってる方ならご存知の方も多いかと思いますが、examiner.comというところでフィギュア記事を書いているジャッキー・ウォンさんという記者さんがいます。
このジャッキーさんが最近、"Top 35 programs of 2012"というシリーズ記事をアップされてました。これは彼の独断と偏見で、2012年の1年間に演じられたプログラム――つまり昨シーズンと今シーズンのプログラムがごたまぜなんですが――からベスト35を選んでしまおうというもの。
1月5日に発表された第1位は(予想どおり?)大輔さんの国別対抗戦フリー!なんですが、堂々の3位にランクインしたのが、高トラの世界選手権フリー。この回の記事が、短いけれど、なかなかに泣ける記事なんです。(ていうか、明け方にアップされた記事と動画に思わず号泣してしまった私です…)

元記事はこちら→Top 35 programs of 2012: #3 It was all so promising




ジャッキー・ウォン2012年のベストプログラム 

「それは未来への可能性にあふれていた…」
第3位 高橋成美&マービン・トラン 2012年世界選手権フリー

僕がこのプログラムを第3位に選んだことが意外だったとしても、それは当然だ。だって、僕自身にも意外だったんだから。

もともと、とても意義深い演技ではあった。でも、今から数週間前にふたりがペアを解消したことで、この演技はずっと大きな意味をもつことになった。
世界選手権で銅メダルを獲得したことは、高橋&トラン本人たちにとって重要だっただけでなく、日本という国にとって画期的なできごとでもあった。日本には世界トップクラスのシングル選手はいるものの、ペアの歴史は存在しないも同然だったからだ。
だが、そもそもの最初から誰もがなんとなくわかっていたのは、トランが日本国籍をもっていないという事実だった。来年にせまったオリンピックに出場するためには日本国籍が必要だ。けれども、日本の移民政策からすれば、トランにそれが与えられることは難しいだろうと思われていた。

このことがペア解消の主な理由かどうかは、本人たちにしかわからない――「公式」にはそれが理由ではないとされている――が、国籍とオリンピックの問題が今回の決断にまったく関係ないと考えるのは愚かなことだろう。

去年の世界選手権が、ふたりにとっては、永遠に最高の成績になってしまった。今ひとつ安定性を欠くことが多かった彼らだが、このときはショートとフリー両方のプログラムをしっかりとまとめあげて、一躍表彰台に乗った。彼らはすばらしい音楽的センスをもった最高にエレガントなペアであり、ここ10年間に登場したもっとも心躍るチームのひとつだった。

「たられば」の話をすればきりがない。でも、ふたりにはこれからずっと、この忘れられない瞬間が存在することになった。キス&クライでふたりが見せた表情は、プライスレスだった。


演技直後、ユーロスポーツ解説者が"What a future they have!"(なんて将来有望なふたりなんだ!) …futureという言葉がもうね…・゜・(ノД`)・゜・

 成美ちゃんとマービンくんが、きっと考えに考えて出した最善の結論を、私は支持したいと思ってます。でも、この瞬間を思い出すたびに、きっとずっとずっと涙してしまうんだろうなあ…。



ちなみに、ジャッキーさんが選んだベスト35はこちら(鬼のようなリンク貼り、すごいです!!)
このうち20位までを一覧にしてみました。

1 高橋大輔 2012年国別対抗戦フリー
2 ボロソジャル&トランコフ 2012年世界選手権フリー
3 高橋&トラン 2012年世界選手権フリー
4 羽生結弦 2012年NHK杯ショート
5 アシュリー・ワグナー 2012年四大陸選手権フリー
6 高橋大輔 2012年全日本選手権フリー
7 羽生結弦 2012年世界選手権フリー
8 浅田真央 2012年グランプリファイナル・フリー
9 ジェレミー・アボット 2012年全米選手権フリー
10 キム・ヨナ 2012年NRW杯ショート
11 デービス&ホワイト 2012年国別対抗戦フリー
12 ウィーバー&ポジェ 2012年世界選手権フリー
13 アリョーナ・レオノワ 2012年世界選手権ショート
14 エフゲニー・プルシェンコ 2012年ヨーロッパ選手権フリー
15 アシュリー・ワグナー 2012年TEBフリー
16 ロス・マイナー 2012年NHK杯フリー
17 ハビエル・フェルナンデス 2012年グランプリファイナル・フリー
18 パトリック・チャン 2012年ロステレ・フリー
19 バーチュー&モイヤ 2012年世界選手権ショート
20 ケイトリン・オズモンド 2012年スケートカナダ・ショート

以下はデュアメル&ラドフォード、コストナー、鈴木明子、グレイシー・ゴールド、リプニツカヤ、ラジオノワ、町田樹などなど。「あの人が入ってない!」「あのプロがない!」とかいろいろあるとは思いますが、まあジャッキーさん、去年の1位がパトリックの2011年世界選手権ショート、一昨年はヨナのオリンピック・フリーだそうなので、「勝者のプロ」がお好きなのは間違いなさそう…。でも、振り返ってみれば名演の数々ですね!!!

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カテゴリ:ペア | 10:58 | comments(6) | trackbacks(0) | - | - |
高橋&トラン インタビュー@goldenskate
最近、海外でも注目度急上昇の成美ちゃん&マービンくん
5月6日付のgoldenskateにふたりの記事があがっていました。4月の国別対抗戦のあとにおこなわれたインタビューのようです。インタビュアーはおなじみのタチアナ・フレイドさん。
元記事はこちら→Takahashi and Tran prepare for next season with new confidence

「高橋・トラン組、新たな自信とともに来シーズンへ」

日本の高橋成美&マービン・トランは4月、2012年世界選手権で銅メダルを獲得し、歴史をつくった。シニアの世界選手権でメダルをとった初の日本ペアになったのだ。
若いふたりはその3週間後、2012年国別対抗戦で日本チームの金メダルにも貢献した。
 
「じつは(世界選手権のメダルは)まだ実感がわかないんです」21歳のトランは語った。「確かにちょっとラッキーだったとは思います。それでも、僕らはメダルを目指して戦った。あそこに立つことができて、それを達成できたことはすごくうれしいです」
世界選手権で銅メダルをとれたことで来シーズンにむけてはずみがつくと思う、そうトランが言うと、20歳の高橋もうなずいた。
メダルを取って、自信が持てるようになりました。以前は練習でも試合でも、ちょっと気おくれしていたんですが、今はもっと自信がつきました。この自信は私たちをさらに成長させてくれると思います
 
世界ジュニアで2度メダルを獲得したふたりは、今回のすばらしい結果がプレッシャーになるとは感じていないという。
「まったく逆です」とトランは言う。「国別の練習をしているとき、僕らは本当に自信を感じていました。今までは有力選手と見なされていても、トップの選手にくらべると何だか場違いな気がしていました。今はしっかりとそこに立って、メダルを目指して戦えると感じています」

それでも、初出場だった2011年の世界選手権では9位。たった2度目の挑戦で表彰台に乗れたことに、ふたりは驚いているという。
「コーチ(リチャード・ゴーティエ)はいつも言ってくれていました、君たちには力があるって」と高橋は言う。「私たちのことを信頼して、いつかメダルを取る、チャンピオンになれるって思ってくれていました。でも私たちでさえ、今その言葉どおりになるとは思ってなかったんです
 
「きっといつか自分たちの時が来るだろうなとは思ってました」トランも言う。「でも、アリオナ(サフチェンコ)とロビン(ゾルコビー)、マキシム(トランコフ)とタチアナ(ヴォロソザル)、そして(チン)パンと(ジャン)トン…彼らはもう長いこと活躍し続けています。僕らの時代の大物たちで、ずっとトップにいる人たちです。ぼくらは彼らの次の世代だと思っていました。でも、今はこの世代の一員なんだと思い始めています
 
高橋&トラン組は、日本のペア競技の新しい1章を開こうとしている。彼ら以前では、ISUの大会で表彰台に乗った日本のペアは、川口悠子&アレクサンドル ・ マルクンツォフ組が、2001年の世界ジュニアで日本初のメダルとなる銀メダルをとっただけだった。
しかし、この日本人とロシア人のペアは、シニアで頭角を現すことはできなかった。ふたりはペアを解消し、川口はアレクサンドル・スミルノフと組んで、ロシア代表として競技する道を選んだのだった。
 
高橋&トラン組の活躍によって、シングルばかりが人気だった日本で少しだけペアも注目されるようになった。世界選手権が終わると、ふたりは日本メディアにひっぱりだこになった。もちろん日本のフィギュアファンも、より関心を持つようになったという。
 
「スローとかリフトのこととか、ペアがどんな競技か知らない人が多かったんです」と高橋は言った。「でも、国別ではたくさんのお客さんがペアを見てくれました。前は“がんばってね”って言われるだけだったのが、“いいトリプルツイストだね”とか“リフトがすごく静かですね”とか、要素や技術的なことを言ってくれるようになった。前よりペアを好きになってくれている気がします」



日本のファンは以前から、フィギュアについてすごく詳しいんですよ」トランも言う。「そこがすばらしいんです。フィギュアで今何が起こっているか、よく知っています。彼らが僕らのフィールドにも注目してくれるようになったのは、すごくわくわくしますね」

トランによると、ジュニア時代、ふたりがジュニアのトップクラスだったにもかからわず、シングルの日本人ジュニア選手たちにばかり注目が集まったことがあったという。
「国別が終わった今、人々の目はペアに向けられつつあるような気がしています。(シングルばかりが注目される)この状況がちょっとでも変わるといいな」

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カテゴリ:ペア | 12:22 | comments(0) | trackbacks(0) | - | - |
高橋&トラン組の振付師インタビュー@icenetwork
世界選手権で高橋成美&マービン・トラン組が銅メダルをとって以来、地上波テレビでペアについての特集がたくさん放送されている、という前代未聞の日々が続いています。

ふたりの今シーズンのプロ、2本ともとても素敵ですよね。そのプログラムを作った振付師のジュリー・マルコットさんに、おなじみのicenetworkがインタビューしています。

元記事はこちら→Creating programs: Marcotte talks choreography By Vladislav Luchianov (04/17/2012)

「プログラムを作る:マルコット、振付を語る」


フィギュアスケートの振付師が、試合の時にテレビに映ることは少ない。振付をした選手がメダルを取ってもめったに話題にされないし、メディアに取り上げられることもあまりない。
しかし、プログラム――のちに氷上で演じられて、ファンは初めて鑑賞することになるの――を作る作業は、まず振付師の心や知性、感情から生まれるアイデアから始まる。さらに、本当にすばらしいプログラムを作る過程は、そのシーズンが終わるまで続くものだ。プロの振付師たちの創造性や独創力は、まずスケーターやコーチに届けられ、やがてメダルをとったり観客から愛されたりといった結果をもたらすことになる。

カナダ人振付師のジュリー・マルコットは、そうしたプロの一人だ。彼女のすばらしい仕事は、2012年世界選手権で日本ペア初のメダリストとなった高橋&トラン組の成功に不可欠のものだった。また、カナダのペア、デュアメル&ラドフォード組の5位入賞にも大きな役割を果たした。

Icenetwork.com(以下IN):ジュリー、あなたはワールド銅メダルの高橋&トラン組と、やはりすばらしい演技で5位に入ったデュアメル&ラドフォード組のプログラムを振付けましたよね。彼らの世界選手権での演技をどう思われますか?

マルコット:どちらの演技についても、非常にうれしく思います。彼らにはそれぞれ、この1年間さまざまなことがありました。どちらのプログラムも、各ペアの希望や夢を反映したものだったと言えるでしょう。振付師にとっては夢のようですね!
 
IN:若い日本ペアは母国でペアの歴史を作りました。こんな成功を予想していましたか?
 
マルコット:成美とマービンにはすばらしい資質があるんです。それは、ふたりが演技すれば魔法を生み出せるということ。それを考えれば、どんな成果が出ても不思議ではありませんでした。実際そのとおりになりましたしね。
 
IN:彼らとの仕事ぶりを聞かせてもらえますか?

マルコット:ふたりとの仕事は、彼らのごく初期のころに始まって、ずっと続いていたものだったんです。もうふたりと私との間にしみこんでいました。お互いに理解し合って、深い信頼感があるんです。言葉ではうまく言えないですが。

ふたりのことはmy little candies(私のかわいいキャンディーちゃんたち)って呼んでるんですよ。彼らと仕事できるのは神様からの贈り物です。今季のプログラムについては、ふたりがペアとして、人間として、歩んできた道のりを反映するようなコンセプトを探していました。文字通り世界中を旅してきて、ようやく出会ったふたりです。それぞれがはらわざるをえなかった犠牲も大きなものでした。そこで、「何があろうと不可能なことはない」というコンセプトにしたんです。思いついた曲が(ショートの)「イマジン」でした。ぴったりでしょう、世界はひとつになれる、という曲ですからね!あとは自然にできていって、そこにふたりが感情を注ぎこんでくれました。
 
フリーのほうは、ある意味ショートと対になったプログラムでした。曲はAndre Mathieu作曲の「Concerto de Quebec」。演奏は、このすばらしい作曲家の存在を私たちに教えてくれたAlain Lefevreです。ケベックは成美たちが出会い、その後の道のりを歩んできた場所です。この選曲がぴったりだと当初から感じていました。
 
IN:シリアスなプログラムの場合、若い選手には曲の感情や感覚を解釈しきれないことがありますよね。これについてはどういう指導をしていくんですか?
 
マルコット:私にとって解釈とは、それがどういうタイプの感情であったとしても、リアルであること、ただあるがままでいることなんです。ですので、ふたりには、彼らがごく自然に「ただそうでいられる」よう、あるがままの自分を受け入れるよう指導しました。リアルな感情の中に入っていって、それを身体の動きを通して伝える。私はこれを「感情的に裸になること」と呼んでいます。
 
IN:これでシーズンは終わりですが、振付師にとっては新シーズンの始まりですよね?新しいプログラムを作るのはどのくらいの期間が必要なのですか?

マルコット:プログラム作りというのは長い作業です。氷の上に乗るずいぶん前から始まります。ぱっと頭に浮かんだ映像から始まります。いったん氷に乗ったら、あとはその映像をまとめるだけです。高橋&トラン組、デュアメル&ラドフォード組の場合は、1年の大半の期間、週2回私のところへやってきます。そこで細かい部分を確認したり、スケーティングスキルを向上する指導をしたり、振付の手直しをしたりします。振付の作業は、シーズンの最後に選手たちがフィニッシュポーズをとるまで、続いていくものなのです。
 
IN:振付師として、世界選手権ではだれの演技が印象的でしたか?

マルコット:すばらしい演技はたくさんありましたよ。バーチュー&モイヤ組のフリーは魔法のように繊細でした。パトリック・チャンのスケーティングの美しさと完ぺきさ、そして息の飲むほどの音楽性。あとは高橋大輔、彼の(プログラムに)入り込む深さと感情表現は、もうwow!ですね。ほかにもたくさん!
 
IN:今の採点方法が振付師にとってしばしば頭痛のたねになるのは、もう誰もが知っていることですよね。そうした採点ルールにどうやって創造的アイデアを合わせていくのですか?

マルコット:採点基準は、その道のプロの人たちが作っていくものだと思っています。そうやってよいプログラム、完ぺきなプログラムができていく。私は特に制約は感じていません。採点基準があったほうが、完ぺきなプログラムには何が必要か、だれもが明確にわかると思います。
続きを読む >>
カテゴリ:ペア | 14:47 | comments(2) | trackbacks(0) | - | - |
ピナ・バウシュと、三宅純と、サフ&ゾルと
ピナ・バウシュという、ドイツ人舞踏家・振付師のことを、私はほとんど知りませんでした。バレエやダンスについてはほんとに無知なんですっ

だけど、この映画の予告編には強くひきつけられるものがあって、ぜひ観たいと思っていました。
今、公開中の『Pina/ピナバウシュ踊り続けるいのち』という映画です。


2009年に死去したドイツの世界的舞踊家・振付家のピナ・バウシュと、そのダンス作品を描いたドキュメンタリー。監督は『ベルリン・天使の詩』などのヴィム・ヴェンダース。ピナが長年にわたって芸術監督を務めたヴッパタール舞踊団のダンサーたちが、舞台だけでなく街中、公園、砂漠などに立ち、躍動的なダンスを披露する。映画のオフィシャルサイトは→こちら

これがねえ……すごくよかったんですよ!
まず音楽がいい。映像もすばらしい。そしてダンスが…なんていえばいいんでしょ、すごく完成された動きでありながら、直接こっちの頭と心に入り込んでくるというか…相手を愛したい、自分を愛してもらいたい、というせつない感情があふれんばかりというか…ああ、うまく言えん!

で、このサントラを今季のフリーに選んでいるのが、ドイツのペア、アリオナ・サフチェンコ&ロビン・ゾルコビーです。金メダルを獲得したグランプリファイナルの演技をどうぞ〜。



映画を見てからあらためて見ると、ピナ・バウシュ的な振付がちりばめられたプロだったんですね!
出だしで棒きれのように倒れこむ女性を男性が支えたり、1:35あたりのダイブする女性を男性が抱えたり(これ、氷上でやるのはすごく難しいでしょうね!)、3:50あたりのリフトから抱きしめ合うところとか。
なんといっても、人間同士が求め合うせつなさみたいなのが、すごく表されている気がします。

まだスケートシーズンに入ったばかりの昨年10月始めに、ロビンがこのプログラムのことを語ったインタビューがありました。(原文はこちら→Absolute Skating

「この曲はコーチの提案で、2人で映画を見てみて、これはいけるかもと決めたんだ。けれど、スケートにダンスを取り入れるのが大変で、ダンサー兼振付師から約2か月間のスタジオレッスンを受けた。これまでピアノ曲で悲しみを表現するといったプロが多かったけど、これはそういうものとは違うまったく新しいプログラムなので、お客さんに評価してもらえるかなあ…」

と、不安そうに語っているとおり、ペア競技っぽくない動きがたくさんあって、本当に難しかったんでしょうね。でも、あえて芸術の領域にチャレンジするこのペア、さすがだと思います。3週間後にせまったワールドでは、いよいよこのプロの完成形が見られるはず…すごく楽しみです!!

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ちなみに、この音楽をつくったのは三宅純さんという日本人の方なんですって!こちらもびっくりでした。(ほんと無知ですみません…

映画のメインテーマになっている「Lilies of the Valley」という曲。このリズム…病みつきになっちゃいそうだよ。


劇中とエンディングでかかる「the Here and After」という曲も中毒性高いです。

最近はヘビロテでこの2曲ばっかり聴いてますっ!


JUGEMテーマ:フィギュアスケート
カテゴリ:ペア | 17:36 | comments(4) | trackbacks(0) | - | - |
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